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榊原 英資青山学院大学特別招聘教授

就活生向け!
榊原英資の“グローバル視点”経済展望

<第18回>2017.5.2
トランプ大統領の経済・外交政策

2017年1月20日に就任したドナルド・トランプ新大統領は、選挙中から減税と積極的な公共事業によってアメリカ経済を活性化させることを約束してきた。こうした公約を受けてダウ平均は2016年10月の1万8142ドル(月の終値)から上昇して2017年2月には月の終値で2万ドルを突破し、その後2万ドル台で推移している。USドルも強含んで、2016年10月に月間平均で1ドル103.8円だった円ドルレートも次第に上昇し、2016年12月には月間平均で115.9円に、その後も2017年3月までは113~115円のレンジで動き、トランプ大統領の政策への期待感から株価も為替も上昇した。



ただ、シリアのアサド政権の化学兵器使用疑惑から、4月に入ってのシリア攻撃、さらにはアフガニスタンのISに対する「大規模爆風爆弾」の使用等からトランプ政権の外交・軍事政策に対する国際的な懸念も高まってきている。シリアのアサド政権を支援するロシアとの関係も「冷戦後最悪」とも言われる危機的な状況に入ってきている。アメリカのティラーソン国務長官は4月12日モスクワを訪問し、ラブロフ外相に続いて、プーチン大統領とも2時間余りにわたって会談を行った。この会談について、ロシア大統領府の報道官は「建設的だった」と述べる一方、米露関係が危機的な状況から脱することができるかどうかはトランプ大統領の出方次第だという立場を示した。 



また、トランプ大統領は「ドルは強くなりすぎていると思う」と述べ、輸出に不利なドル高へのけん制を続けている。「アメリカ・ファースト」を政策の基本に据える大統領にとって最も大切なのは国内の雇用の増大。ドル安によって輸出を増大させ、雇用に刺激を与えることを望んでいるといわれている。こうした懸念から、保護主義的貿易政策に傾いており、OECDのグリア事務総長はトランプ政権の貿易政策は世界経済に悪影響を与えかねないと懸念を示し、自由貿易の推進を強く訴えた。



トランプ大統領は選挙中から対中貿易赤字を問題視し、米中関係の悪化が心配されていたが、4月6日~7日フロリダの別荘で習近平国家主席と会談し、米中関係は大きく改善したと中国国内では報道されている。又、トランプ大統領も習近平主席と多くの時間を共にしたことで「習氏が好きになり、尊敬するようになった。彼は特別な男だ。彼は(北朝鮮に)全力で対処するだろう」と述べている。また、4月13日ポンぺオCIA長官はワシントン市内で講演し、「(中国の取り組みを)頼りにしている」と強調、中国の北朝鮮政策に期待を示している。



トランプ大統領は選挙中は日本の駐在米軍の負担増額を要請し、在日米軍の撤退も視野に入れていたという。ただ同盟国としての日本を大切にするという姿勢ははっきりしており、日米の安全保障上の関係が大きく変化することはないだろう。そして大統領就任後は在日米軍の駐留経費の増額は要求していない。既に日本が7割から8割負担しているということを認識したのだろう。しかし、アジアの防衛について日本にさらなる役割を求め、駐留米軍の支援を強めることを要求してくることになりそうだ。



日本にとってより深刻なのは、トランプ政権が対日貿易赤字を削減しようとしていることだろう。前述したように保護主義的政策をとる可能性もあるし、日本側に対米輸入を増加されるために様々な要求をしてくることも考えられる。このために、麻生太郎副総理兼財務大臣とペンス副大統領の間で「経済対話」が行われることになったのだ。クリントン政権が1993年に成立した時も日米包括経済協議が行われ、激しい交渉の結果、日本は公共事業の拡大、土地税制の見直し、大店法の規制緩和等を行った。



今回の経済対話では、「マクロ連携」、「経済協力」、「貿易枠組み」の3部会が設けられ、次官級がヘッドになって交渉することになっている。アメリカ側はUSTRが交渉を担当することになるが、かなり激しい要求が突きつけられることになるだろう。特に農業分野では、牛肉輸入制限の撤廃や米等一部農作物の高関税の大幅引下げ等が求められることが予想される。おそらく日本政府は、難しい決断を迫られることになるだろう。

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Profile

榊原 英資
Eisuke Sakakibara

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶應義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学特別招聘教授。近著に「資本主義の終焉、その先の世界」、「中流崩壊 日本のサラリーマンが下層化していく」、「仕事に活きる教養としての『日本論』」、「日本経済『成長』の正体」、「榊原英資の成熟戦略」など。