金融を目指すすべての学生へ キャリタスファイナンス 金融ビジネスの価値・魅力が見つかる!就活生のためのサイト

金融ビジネスの価値・魅力が見つかる!就活生のためのサイト

  • articles 注目記事
  • Column 識者によるコラム
  • Guide 就活ノウハウ
  • Event イベント
  • Event イベント

会員登録

Login

Ranking

プロの視点

榊原 英資青山学院大学特別招聘教授

就活生向け!
榊原英資の“グローバル視点”経済展望

<第15回>2017.3.8
高成長を続けるインド経済

インド経済はこのところ7%台の成長を続けている。2014年に前年6.64%から7.24%上昇、2015年は7.56%、2016年もIMFの推計(2016年10月の推計)によると7.62%を達成するという。実は、2014年までは中国の方が成長率は高かったのだが(中国の成長率は2013年7.80%、14年7.30%)2015年には6.90%とインドの成長率を下回ることになってしまった。IMFの予測では2016年も6.59%と予測されており、穏やかだが次第に成長率が下がってきているのだ。



過去数十年、主要国の中で最も高い成長を達成したのは中国だった。1979~2008年の30年間、中国の年平均成長率は9.8%とインドの5.8%を大きく上回っていた。(この時期、トップテンはすべてアジアの国、ナンバー2はシンガポールの7.0%、ナンバー3はベトナムの6.6%、ナンバー4はミャンマーの6.5%、ナンバー5はマレーシアと韓国と台湾で6.3%、その後ラオス6.1%、タイ5.8%と続く。インドはナンバー10だった。)



2010年代に入り、中国を始め多くのアジア諸国の成長率が次第に低下する中で、インドは高い成長率を維持し続けた。前述した10のアジア諸国の中で現在最も成長率が高いのはインドで、2015年は7.56%の成長を達成した。(ちなみに、2015年のシンガポールの成長率は2.01%、ベトナムは6.68%、ミャンマーが7.03%、マレーシアが4.97%、韓国が2.61%、台湾が0.65%、ラオスが7.56%、タイが2.82%となっている。)インドはベトナム、ミャンマー、ラオス等の後発の国々とともにその成長率を上昇させていった。



インドの2015年の人口は13億1000万人だが、2100年には16億6000万人になると推計されている。(国連人口推計2015年7月)2015年時点では人口ナンバー1は中国の13億8000万人だが、2100年にはインドがナンバー1で中国の人口は10億人にまで減少すると予測されている。中国は今後人口減少、老齢化の局面に入り、2015年から2100年の間に27.0%人口が減少する。他方、インドは26.6%人口が増加するとされている。インド以上に人口増加率が高いのはアフリカ諸国。ニジェールは952%、ザンビアは547%、タンザニアは459%、ウガンダは420%、コンゴ民主共和国は403%と人口が大幅に増加するとされており、2015~2100年の人口増加率のトップ10はすべてアフリカの国々となる。



平均実質GDPの成長率(プライスウォーターハウスクーパースの予測)も、2015~50年のトップはナイジェリアの5.4%、これにベトナム5.3%、バングラデシュ5.1%、インド4.9%、フィリピン4.5%、インドネシア4.3%、パキスタン4.3%とアジアの国々が続く。南アフリカ共和国は4.2%、エジプトは4.1%だ。

その結果、2050年のPPPベースのGDPトップは中国で61兆790億ドル、ナンバー2がインドで42兆2050億ドルとなっている。インドはこの時点ではアメリカ(ナンバー3で41兆3840億ドル)を抜くと予測されている。ちなみに、日本は2015年にはナンバー4(中国・アメリカ・インドに次ぐ)だが、2050年にはインドネシア・ブラジル・メキシコに抜かれナンバー7になるとの予想だ。



いずれにせよ、2015~50年のインドの成長率は4.9%と中国の3.4%、アメリカの2.4%を大きく上回り、GDPで世界のナンバー2の大国になっていくが、中国とインドが世界の二大経済大国だというのは世界の長い歴史の中ではごく当たり前のことだった。イギリスの経済史の専門家アンガス・マディソンによると1820年の時点では世界のGDPの28.7%が中国、16.0%がインドだったという。両国で45%と世界のGDPのほぼ半分を占めていたが、歴史をさらに遡ると両国のシェアはさらに増し、1500年前後には70%近くに達していたと推測されている。中国とインドはエジプト・メソポタミアとともに四大古代文明が栄えた地だが、エジプト・メソポタミアが次第に衰退していく一方、中国とインドは成長を続けていったという訳だ。中国とインドが衰徴したのは19世紀半ばから、イギリス等欧米の植民地化によってだ。香港がイギリスの植民地になったのが1842年、ヴィクトリア女王がインド帝国の女王になったのが1877年。第二次世界大戦後に植民地化されていたアジアの国々が次々と独立し、高成長を続けていったのだ。そして再び中国とインドが世界の二大経済大国に返り咲いていくという訳である。多くの先進国は既に中国に大量の投資をしているが、今後はインドへの進出が大きく加速していくことになるだろう。

Column
2017.6.1
榊原 英資 <第20回>アフリカ経済の現状と今後

Column
2017.5.17
榊原 英資 <第19回>オバマ大統領の経済政策と世界へのインパクト

Column
2017.5.2
榊原 英資 <第18回>トランプ大統領の経済・外交政策

Column
2017.4.5
榊原 英資 <第17回>日銀金融緩和のインパクト

Column
2017.3.22
榊原 英資 <第16回>なぜ、他国の不安要素が円相場に影響を与えるか

Column
2017.3.8
榊原 英資 <第15回>高成長を続けるインド経済

Column
2017.2.8
榊原 英資 <第14回>韓国政治混乱、日本への影響は

Column
2017.1.25
榊原 英資 <第13回>ポスト資本主義の時代へ

Column
2017.1.11
榊原 英資 <第12回>トランプ相場はいつまで続くのか

Column
2016.12.21
榊原 英資 <第11回>トランプ政策によるアジア情勢の行方

Column
2016.11.24
榊原 英資 <第10回>アメリカ大統領選挙 ―噴き出す挫折感―

Column
2016.11.02
榊原 英資 <第9回>資源輸出価格の下落と世界経済

Column
2016.10.19
榊原 英資 <第8回>アジア市場の展望

Column
2016.10.05
榊原 英資 <第7回>変調を来す中国経済

Column
2016.09.21
榊原 英資 <第6回>アフリカの高い成長ポテンシャル

Column
2016.08.10
榊原 英資 <第5回>マーケット感覚を磨く必要性

Column
2016.07.27
榊原 英資 <第4回>英国のEU離脱で急激な円高に。どうなる今後の為替市場

Column
2016.07.06
榊原 英資 <第3回>BRICS諸国の停滞

Column
2016.06.15
榊原 英資 <第2回>ヨーロッパの統合は道半ば

Column
2016.06.01
榊原 英資 <第1回>アメリカ経済も減速局面に

Articles
【編集部おすすめ】
金融業界の人気インターンシップ

Articles
【編集部おすすめ】
エントリ―受付中の金融業界のインターンシップ

Articles
【編集部おすすめ】
金融系職種を体験できるインターンシップ

Articles
【編集部おすすめ】
先輩たちがエントリーした金融企業TOP100

Articles
【編集部おすすめ】
エントリ―受付中の金融企業

Articles
【編集部おすすめ】
金融系の職種を募集中の企業

Profile

榊原 英資
Eisuke Sakakibara

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶應義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学特別招聘教授。近著に「資本主義の終焉、その先の世界」、「中流崩壊 日本のサラリーマンが下層化していく」、「仕事に活きる教養としての『日本論』」、「日本経済『成長』の正体」、「榊原英資の成熟戦略」など。