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就活前に学ぶ金融講座

⑥投資運用 - 投資信託会社・ヘッジファンド

さまざまなスタイルの投資運用会社

顧客から預かった資金を、顧客に代わって運用する会社を投資運用会社と呼びます。「運用会社」「資産運用会社」「アセットマネジメント会社」とも言われます。また、その多くが投資信託の委託会社(商品開発や投資運用指示、運用報告などを行う会社)であることから、「投資信託会社」「投信会社」と呼ばれることもあります。

銀行や保険会社を親会社とする会社も多く、「○○アセットマネジメント」のようにグループ名を社名の頭に置くケースも目立ちます。加えて、独立系や他業界を母体とする会社、外資の銀行や証券会社系の会社、海外の運用会社も日本国内で投資運用の業務を展開しています。

そのほか、投資運用を行う会社には「ヘッジファンド」や「投資ファンド」があります。ヘッジファンドとは私募によって集めた資金を、伝統的な投資スタイルとは異なるさまざまな手法によって運用する仕組み(もしくは会社)のことで、投資家を限定することより自由な運用を行うところに特徴があります。
また、投資ファンドとはベンチャー企業や再建途上の企業、事業再生を進める企業などに投資して経営を支援し、企業価値を高めることで利益を追求する運用スタイルを言います。

理解のツボ 投資信託

投資信託とは、多数の投資家から集めた資金を使って、あらかじめ約束した方針や方法によって運用の専門家が投資を行い、その成果を投資額に応じて投資家に分配する金融商品のことです。商品開発や運用判断は投資運用会社が行いますが、売買や管理は信託銀行が担います。そうすることで資産の保全を図っています。投資信託のビジネスでは、投資運用会社を「製造メーカー」、信託銀行を「商品管理(倉庫)会社」、銀行や証券会社を「小売店」に置き換えて考えると、それぞれのポジションが分かります。

アベノミクスが市場をさらに拡大

アベノミクスによる円安・株高を追い風に、投資信託の国内残高は2015年5月に100兆円を突破しました。投資信託は「貯蓄から投資へ」という国家的スローガンの推進を担う重要な商品ですから、今後も市場は拡大すると予想されます。そうしたマネーを獲得するために、大手金融機関はグループ内の運用会社の統合などを進め、運用力の強化を図っています。また、大手地方銀行は自前で運用会社を設立する動きを見せています。
今後、貯蓄から投資へと流れるマネーを引き寄せるためには、顧客本位の商品開発や、商品情報を分かりやすく顧客に届ける工夫がカギになると思われます。

また、投資信託を手がける運用会社の多くは、年金基金など機関投資家の資金の受託運用や、地方銀行などに向けた運用商品の開発提供を行っています。
日銀の金融緩和によって国債による運用が難しくなったことから、運用の一部を国債に頼ってきた地方銀行などは、多少のリスクをとっても運用商品で利回りを稼ごうとする取り組みを加速させています。金融緩和で貸出金利の低下が続き、新たな融資先の開発もままならない中、運用会社が次々に開発するリスクを抑えた商品は、銀行の運用の一部を支える命綱になりつつあります。こうした商品が市場変動の影響をまともに受けると、銀行経営を追い詰めることになりますので、運用会社はそれに十分配慮した商品開発を行っています。

Point of view

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投資運用ビジネスの資料などで「投資一任業務」という言葉をよく見かけます。これは投資判断やそれを実行するための権限を顧客から一任され、顧客のために投資運用を行う業務のことです。一方、投資判断の助言だけを行う業務もあり、それを「投資助言業務」と言います。多くの運用会社は2つの業務を「投資顧問業務」として展開しています。

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投資運用の分野では、いくつもの呼び名があるため、何をやっている会社なのか、分かりにくいと思います。投資信託などファンドの運用を行う会社なのか、委託運用や助言など投資顧問に軸足を置く会社なのか、それとも両方手がけている会社なのか…、まずはそのあたりを整理しておきましょう。

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「就活前に学ぶ金融講座・第2章」の『 ファンドとは? 』も併せてご覧ください。