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就活前に学ぶ金融講座

③株式と債券

企業が「証券」を発行して資金を市場(投資家)から調達する方法は2つあります。1つは「株式」を発行して調達を行う方法で、企業の創業時や財務基盤の拡充を図りたいときなどに用いられます。投資家が払い込んだ資金は資本に組み込まれ、投資家はオーナー(株主)としての権利を得ることができます。 株式による調達の特徴は、「返済の必要がなく、企業が自由に使用できる」ところにあります。投資家は保有株式を市場で売却して投資額を回収することができますが、時価での取引になりますので、購入時よりも株価が下回っていれば全額を回収できません。

もう1つは「債券(社債や外債)」を発行して資金を調達する方法です。こちらは巨額の長期資金を得るような場合に用いられます。実質的には投資家からの借金であり、元利金の返済を約束する証書として債券を発行します。基本的には銀行からの中長期の借り入れと同じですが、投資家の多様なニーズとの調整を図りながら起債条件を決めることができるため、有利な調達が可能になります。

ちなみに、株式を発行して調達した資金のことを「自己資本(株主資本)」と言います。金融業界では「エクイティ(equity)」と言うことが多く、その増加をもたらす調達を広くエクイティ・ファイナンスと呼んでいます。一方、社債発行や銀行借入などによる調達は、会計上の「負債(debt)」を増やすことから、デット・ファイナンスと言います。

Point of view

1

「株券」ではなく「株式」という表記が一般に用いられるのはなぜでしょうか。それは「株式」には配当を受け取る権利や、株主総会での議決権など、オーナー(株主)としての権利の意味が含まれるからです。つまり、株式による資金調達や株式の売買は、現金と証書の単純な交換ではなく、オーナーとしての地位の移動があることを物語っているのです。また、「株券」は以前は券面(証書)でしたが、現在はペーパーレス化によって証券保管振替機構と証券会社の口座によって電子管理されています。

2

「債券」は、企業や国、地方自治体などが資金調達の手段として発行する有価証券のことです。債券にはいろいろな種類があり、企業が発行する「社債」、国や公的な組織が発行する「国債」や「公共債」、海外の市場で発行する「外債」などがよく知られています。

3

「債券」を「債権」と書き違える人が多いので気をつけましょう。債権は「金銭などの請求をする権利」のことです。