「就活の軸」とは?自己分析だけで見つかるの?考え方のコツを解説【例文つき】

自己分析

公開日:2023.11.07

大学の就職ガイダンス、就職情報サイト、企業の面接担当の方からでてくるキーワード「就活の軸」。皆さんはどのように解釈をしていますか? 明確になっているでしょうか?

一般的には「仕事選びや企業選びに対する基準」と解説されることが多いですが、仕事選び、企業選びの背後には、それぞれの価値観や人生の目標が影響しています。就活準備を進めていくなかで「軸がブレる」といった悩みもでてきます。本記事では「就活の軸」の重要性に焦点を当て、その見つけ方や確立方法を詳しく解説します。

そもそも就活の軸とは何?

就活準備を始める際、多くの学生が「就活の軸」という言葉を耳にすることでしょう。この「軸」とは、自身の価値観や希望、求める条件などをもとに、就職活動を進める際の中心的な基準や方向性のことを言います。

これは、「自分のやりたいことは何か」「どのような働き方を望むのか」などのキャリアビジョンを明確にすることで、それをもとに企業を選んだり面接を受ける際のアピールポイントとすることができます。

【ポイント】

・「価値観」や「希望」をもとにした就職活動の方向性
・「就活の軸」=就活における「判断基準」となるモノ

就活の軸の見つけ方、3つのポイント

就活の軸を見つけるために重要なことは、自分自身と向き合うことです。以下の3つの方法を試してみてください。

■自己分析:

自己分析を行うことで、自らの強み、弱み、価値観、興味・関心を明確にすることができ、それが自身のキャリアの方向性を示す手がかりとなります。

自己の魅力や特性を理解することで、どのような企業や職種が自分に合っているのか、また自分が何を求めているのかが明確になります。さらに、企業側も「自分の強みを知っている」学生を評価する傾向があるため、自己分析は双方にとってのメリットを生む重要なステップとなります。

■業界研究:

業界研究を行うことで、各業界の特徴、市場動向、将来性などを把握することができ、自身の興味やスキル、価値観がどの業界にマッチするかのヒントを得ることができます。

また、業界の課題やニーズ、将来的な展望を知ることで、自らの強みや特性をどのように活かせるか、自分が求めるキャリアの方向性や働き方が実現可能かどうかの判断材料になります。

業界研究を深く進めることで、単に「興味がある」という抽象的な理由から、具体的な理由やビジョンを持って企業選びをすることが可能となります。

■(人生)経験を積む:

学業以外の活動も「軸」を固める重要な要素となります。インターンシップ等、アルバイト、ボランティア、サークル活動などの実体験を通して、自分の価値観や興味、能力を実際の場で試すことができ、自己理解を深めることが可能となります。

インターンシップ等やアルバイトでは、実務経験や企業文化を直接知ることができ、どのような職種や環境での働き方が自分に合っているかを探る手助けとなります。ボランティア活動では、社会貢献や他者との連携を通じて、自分の価値観や目指す方向性を明確にすることができます。サークル活動は、チームでの役割やコミュニケーション能力、リーダーシップを養成する場となります。

就活の軸の例を紹介

具体的な就活の軸の設定例として以下のようなものがあります。

■業種・業界の選択:

興味や専攻に基づいて、どの業種や業界で働きたいかを決める。
例:IT業界、製薬業界、広告業界など。

■職種の選択:

興味や経験・希望に基づいて、どんな職種に就きたいのかを決める。その際、明確な職種が決まっている場合とそうではない場合もある。
例:事務職、営業職、サービス職など既にある職種。

■興味・関心がある物事:

「どのようなタスクや役割に従事したいか」「どの業界や分野に情熱を感じるか」という自分の内なる基準や志向性のこと。
例:「人と関わる仕事がしたい」「人を喜ばせたい」「ものづくりがしたい」など。

■企業の規模:

大手企業での安定感やブランド力、中小企業での幅広い業務や成長の速さをもとに選ぶ。
例:大手企業、ベンチャー企業、中堅企業など。

■働く場所:

勤務地や地域を重視して選ぶ。
例:地元での就職、海外勤務、首都圏など。

■働き方:

柔軟な勤務体系やワークライフバランスを重視して選ぶ。
例:フレックスタイム、リモートワークの可否・頻度、残業の少なさ、有給休暇取得率、産休・育休制度の取得状況、副業の可否など。

■働きがい:

自分のがんばりや成果が評価に反映されるかどうかで選んだり、単に給与や待遇だけでなく、仕事を通して得られる達成感や成長の喜び、チームとしての連携や社会への貢献など、心の充足感を追求する方向性を示します。
例:インセンティブの有無、仕事を通じて社会や地域への貢献を感じたい、企業が掲げるビジョンの背後にある深い意義・目的に自分の存在意義と使命感が重なるなど。

■企業の文化や価値観・社風(CSR、SDGsなど):

企業のミッションやビジョン、社風などに共感するかどうかをもとに選ぶ。
例:イノベーションを重視する文化、社員同士の連携が強い文化など。

■給与・福利厚生:

給与水準や福利厚生が良い企業を重視して選ぶ。
例:月給〇〇万円以上、健康診断の有無、年間休日数、社宅制度や住宅手当など。また、初任給以外にも、賞与・ボーナスの回数、昇給率、インセンティブ制度などの項目もチェックしておくと良いでしょう。

■キャリアの展望:

企業内での昇進の可能性やキャリアパスを重視して選ぶ。
例:社内研修制度、留学制度、ジョブローテーション、社内ベンチャー制度、独立支援制度など。

これらの軸は、一人ひとりの価値観や、目指すキャリアによって異なります。自分自身の望む未来やキャリアをしっかりと考え、その軸をもとに企業研究を進め、自分に合った企業を見つけることが就職活動の成功に繋がります。

就活の軸の正解は一つではない

就活の軸は一人ひとり異なるもので、その「正解」は一つとは限りません。私たちは皆、異なる背景、価値観、経験を持ち、それぞれが独自の道を歩む中で形成されるキャリアのビジョンがあります。そのため、ある人にとっての最適な選択は、別の人には合わないこともしばしば。この多様性を理解することは、自らのキャリアを考える上での大切な第一歩と言えるでしょう。

何より重要なのは、自分にとっての「働き方の優先順位」が明確になっていることです。これは、給与や待遇、働く環境、キャリアアップの可能性、働きがい、企業の価値観や社会的な役割など、様々な要素を総合的に考慮して、自分の中での重要度を決めることを意味します。

この優先順位がはっきりしていると、就活の過程での選択や判断がスムーズになり、自分自身の価値観や願望に基づいた、納得のいく就職先を見つけることができるのです。

また、「どうしてその軸が大事なのか?」「その軸をもとになぜ志望企業を選んだのか」を答えられることも重要です。自分自身を知り、外的要因も考慮しながら、自分だけの軸を確立しましょう。

PROFILE

中尾 あずさ
大学卒業後、新卒で旅行会社にて営業・海外添乗員を経験後、大手人材会社へ転職。営業・人材育成・研修講師を行う。その間、アルバイト→契約社員→正社員→時短勤務と様々な勤務形態を経験。在籍中に3人の子供の出産・育児休暇を経て仕事と子育てを両立。2011年にキャリアカウンセラー(CDA)資格を取得。副業にてトータル3500人の相談業務に従事し独立。高校、大学でエントリーシートの添削や面接対策、進路相談など就職活動支援や就業中の方へのキャリアコンサルティングを実施。

【主な資格】
・キャリアカウンセラー CDA(キャリア・ディベロップメント・アドバイザー)
・国家資格キャリアコンサルタント
・青山学院大学社会情報学部ワークショップデザイナー
・育休後アドバイザー

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