実際の仕事が見えてくる!職種解説|営業系の仕事

業界・職種・企業研究

公開日:2024.06.26

営業職とは、ただ単に商品を売るだけの職業ではありません。顧客のニーズを洞察し、それに最適な解決策を提案することこそが営業の核心です。本記事では、営業職を志す方や興味を持つ方に向け、営業職の種類や仕事の流れ、将来におけるキャリアパスなどを解説します。

営業系の仕事とは?

顧客のニーズを迅速かつ丁寧に捉える

営業職と聞くと、多くの人が「商品を売る仕事」と捉えがちですが、それだけではありません。営業の根底にあるのは、「顧客の課題を発見し、それを解決するための提案を行う」ことです。市場のニーズを理解し顧客に寄り添いながら、自社の商品やサービスと顧客ニーズをマッチさせ、解決策を提案するというプロセスが含まれます。

さらに、営業職は単に商品知識を有しているだけではなく、顧客とのコミュニケーション能力、交渉技術、問題解決能力など、多方面にわたるスキルや資質が求められる職種です。また、新規顧客の開拓から既存顧客のフォローアップ、市場調査、販売戦略の立案に至るまで、幅広い業務を担います。

営業にはどんな種類がある?

営業には大きく分けて、法人向け(BtoB)と個人向け(BtoC)があります。

法人向け営業は、企業や団体が顧客となります。契約に至るまでのサイクルが長いことが特徴で、顧客のビジネスに対する深い理解と、長期にわたる信頼関係の構築が求められます。また、フィールドセールス、インサイドセールスなど、営業の手法によってもその性質は大きく異なります。

個人向け営業は消費者一人ひとりに対して商品やサービスを提案し、販売を行います。こちらは、商品の魅力を直接顧客に伝えるためのプレゼンテーション能力や、顧客の心情を理解する心理学的なアプローチが求められます。

1.法人向け営業(得意先が中心)

仕事内容

既存の企業や団体といった法人顧客との関係を維持・強化し、継続的な取引を行う。またルート営業とも呼ばれ、顧客の現在および将来のニーズを把握し、それに合わせた商品やサービスの提案を行う。

身につくスキル

  • ・問題解決能力
  • ・顧客との関係を管理するクライアントマネジメント力
  • ・契約更新を進めるための交渉力

2.法人向け営業(新規開拓が中心)

仕事内容

新たな法人顧客(企業・団体)を見つけ、良好な関係を築き、取引を開始する。市場調査を行い、ターゲットとなる企業・団体を特定し、アプローチして提案を行う。

身につくスキル

  • ・マーケットリサーチとデータ分析力
  • ・自社の商品やサービスの魅力をプレゼンテーションする力
  • ・傾聴力

3.個人向け営業(得意先が中心)

仕事内容

既存の個人顧客に対して、継続的なサービスや新商品の提案を行い、長期的な関係を維持する。顧客の満足度を高めるためのアフターサービスも重要な業務のひとつ。

身につくスキル

  • ・顧客から好かれる魅力づくりと信頼関係の構築力
  • ・販売後のトラブルや要望を解決する対応力
  • ・アップセルやクロスセルなど商品やサービスを提案し、販売する力

4.個人向け営業(新規開拓が中心)

仕事内容

個人市場において新規顧客を獲得するための戦略を立てて、実行する。マーケティング活動を通じてリード※を生成し、そのリードを顧客に転換する。

身につくスキル

  • ・ターゲット層に対するリサーチと顧客心理を理解する力
  • ・コミュニケーションを強めるためのトーク力
  • ・自己管理とモチベーションを維持する力

※リード:日々の営業活動によって生み出された「見込み客」のこと


5.フィールドセールス

仕事内容

顧客のもとに直接訪問し、対面(オンラインでの商談を含む)で営業活動を行う。商品やサービスに関する情報を提案し、契約獲得やビジネスの拡大を図る。

身につくスキル

  • ・顧客のニーズや課題を正確に引き出すための質問力と傾聴力
  • ・提案後のフォローアップと適切な改善提案を行うサポート力
  • ・効率的に訪問を行い複数顧客をマネジメントする自己管理力

6.インサイドセールス

仕事内容

顧客と直接対面することなく、電話、メール、オンライン会議などのデジタルツールを活用し、商品やサービスの説明や提案等の営業活動を行う。企業により、商談設定までを担いフィールドセールスにトスアップする場合と、契約獲得までを担う場合がある。

身につくスキル

  • ・電話対応でのトーク力、顧客マネジメント力
  • ・デジタルツールを使いこなす力とオンラインプレゼンテーション力
  • ・顧客に対するリサーチ能力

7.海外営業

仕事内容

海外市場で商品やサービスを販売するため、現地企業や代理店と連携して営業活動を行う。市場調査や顧客開拓、パートナー企業の選定、プロモーションなどを担うこともあります。

身につくスキル

  • ・語学力と外国人とのコミュニケーション力
  • ・国際性に特化したマーケティング力と戦略の立案力
  • ・異文化における環境への適応力と柔軟性

■有形商材、無形商材の営業の違いとは?

営業の対象となる商材には、「有形商材」と「無形商材」があります。有形商材の営業は、自動車や電化製品など目に見える形のある商品を扱い、商品の機能性や品質、デザインを顧客に理解してもらうことが求められます。無形商材の営業は、保険や金融商品、ソフトウェアやコンサルティングサービスなど、形のないサービスや権利を扱い、その効果や価値を顧客にイメージしてもらうことが求められます。

営業職の仕事の流れ

営業職は、おおむね次のような流れに沿って仕事が進んでいきます。業界や取り扱い品目によって違いはありますが、基本的なことを知っておきましょう。

1.市場調査と戦略立案

営業活動は、綿密な戦略策定とリサーチから始まります。まずは、ターゲット市場を明確にし、顧客のニーズや課題を把握するための調査を行います。競合他社の動向や市場のトレンドを分析し、自社の商品やサービスの強みを見極めます。この情報をもとに営業戦略を立案し、具体的な目標設定や行動計画を策定します。たとえば、新規市場開拓の場合、どの地域やジャンルに重点を置くかを決め、最適なアプローチ方法を選びます。これにより営業活動の方向性が明確になり、次のステップへつながります。

2.顧客へのコンタクトと商談機会の設定

次に重要なのは、見込み客(リード)との接点を持つことです。リード生成活動を通じて、潜在顧客にアプローチします。これには、電話、メール、SNS、ウェブサイトを利用した問い合わせフォームなど、多様な手段を活用します。見込み客の関心を惹くことができたら、具体的な商談を設定します。商談では、顧客の課題やニーズをヒアリングし、それに対する自社のソリューションを提案する活動を行います。信頼関係を築くためには、顧客の立場に立ったコミュニケーションが重要です。商品のデモンストレーションやプレゼンテーションを通じて、顧客に具体的な価値を伝えることが求められます。

3.商品やサービスの調達・供給

商談が成立し契約が締結された後は、商品やサービスの手配と納品の段階に進みます。このプロセスでは、顧客の期待を超えることを目指します。商品やサービスがスムーズに提供されるよう社内の各部門と連携し、納期や品質の管理を徹底します。たとえば、商品の在庫管理や製造スケジュールの調整、サービス提供のための人員配置などが含まれます。納品が完了した後も、顧客が問題なく利用できるように、導入支援やトレーニングを提供していくことが重要です。これにより、顧客満足度を高め、信頼関係を強化します。

4.アフターフォロー

最後に、アフターフォローのステップが営業活動の質を左右します。納品後も継続的に顧客と接点を持ち、満足度を確認します。具体的には、定期的なフォローアップの連絡や、使用状況の確認、さらなるニーズのヒアリングなどを行います。また、顧客からのフィードバックを収集し、商品やサービスの改善に役立てます。問題が発生した場合は迅速に対応し、信頼を維持します。長期的な関係を築くことで、リピーターや紹介を通じた新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があります。アフターフォローをしっかり行うことは、顧客ロイヤルティを高め、持続的な成長を支える重要な要素です。

営業職のキャリアパス

営業職は、多様なキャリアパスを持っています。それぞれの道には独自の挑戦と成長の機会があり、自分の強みや興味に合わせてキャリアを選択できます。主な3つのキャリアパスを例に説明します。

1.内部昇進の道

キャリアを積んだ営業職の多くは、社内での昇進を目指します。最初は一般営業職として、次に営業チームのリーダーやマネージャーへとステップアップすることが一般的です。これには、売上目標の達成や顧客との関係構築、チームの指導力などが求められます。優れた営業成績を残し、リーダーシップを発揮することで、部門全体を統括する営業ディレクターや営業部長などの役職に昇進するチャンスが広がります。社内で昇進するためには、常に自己成長に励み結果を出し続けることが重要です。

2.部署間のキャリアアップ

営業職として培ったスキルは、ほかの部署でも非常に有用です。たとえば、マーケティング部門への異動では、営業で培った市場理解や顧客視点のスキルを生かすことができます。商品開発部門では、顧客のフィードバックを元にした商品改善や新商品の企画に貢献できるでしょう。また、カスタマーサポートやカスタマーサクセスのポジションでは、顧客との関係性をさらに深め、企業全体のサービス品質向上に寄与する人材となりえます。こうした他部署への異動は、幅広いスキルを身に付け、ビジネスパーソンとしての価値を磨く絶好の機会となります。

3.他業界へのチャレンジ

他業界への転職も、キャリアパスの一つです。たとえば、IT業界の営業から金融業界の営業へ転職する場合、異なる業界特有の知識を学ぶ必要はありますが、基本的な営業スキルや顧客対応能力は大いに役立ちます。また、営業職の経験はコンサルティング業界や人材業界など、対人スキルが重要とされる職種でも高く評価されます。他業界への転職は、新たな挑戦と成長の機会として自分のキャリアを多様化することができます。

いずれの場合も重要なのは、常に新しいスキルを学び続け、自分の価値を高める努力を怠らないことです。こうした姿勢が、どのキャリアパスを選んでも成功への鍵となります。

まとめ

営業職の魅力は、その多様性と挑戦の機会にあります。市場調査、顧客との商談、商品やサービスの供給、アフターフォローに至るまで、常に新しい課題に取り組むことで自己成長が期待できます。また、営業職で培ったスキルはほかの職種や業界でも高く評価されるため、キャリアパスが広がります。

営業職は自己成長や成功体験を通じて、自分に自信をつけることが可能な職種でもあります。挑戦し続けることで、豊かなキャリアを築くための素晴らしい第一歩となるでしょう。

PROFILE

鳥羽山 康一郎(とばやま こういちろう)
静岡県生まれ。広告制作会社、外資系広告代理店にてコピーライター、クリエイティブディレクター、プランナーとして勤務後、2006年よりフリーランスとして独立。外資系マーケティング理論の知見を生かし、広告・Webライティング等を中心に執筆活動を展開中。地方取材、インタビューも得意とする。

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