インターンシップ・キャリアの「エントリーシート」のキホン。業界別の傾向は?書くために何を準備する?

インターンシップ・キャリア

公開日:2023.05.16

就活準備を始めるにあたって最初の関門といえるものが、インターンシップ・キャリアにおけるエントリーシート(以降、ES)です。
 
企業が実施するインターンシップ・キャリアには、選考なしで参加できるもの、あるいは選考に合格することで参加できるもの、大きく2つに分けられます。選考がある場合、企業から主にESの提出が求められます。書類が通らなければ、次には進めません。せっかく参加したい企業があるのに、書類で落ちてしまったら残念な気持ちになりますよね。
 
ESは、企業に対して自分をアピールする最初のステップです。この記事では、企業がESの提出を求める意図を理解し、何を書くのか、そのためにはどんな準備をすれば良いのか、ということを押さえていきます。

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なぜ企業はESの提出を求めるのか?

企業は、ESの情報をもとに面接で会うかどうかの判断をします。従って、まずは「会いたい」と思ってもらうESを作成することが重要です。そのためには、企業がESの提出を求める目的を知り、作成のポイントをおさえましょう。

企業がESの提出を求める目的は大きく2つあります。1つは「熱意や意欲の高さを知りたい」ため、もう1つは「スキルや特性が自社と合っているか知りたい」ためです。

1つ目は、「自社への熱意」や「働くことへの意欲」を知りたい、ということです。特に、就業体験を伴う長期インターンシップ・キャリアを開催する企業の場合、自社への志望度・本気度が高い学生に参加して欲しいと思っています。企業の担当者も当然、就活準備開始早々でのES作成が簡単でないことは理解しています。だからこそ、自己理解や企業研究に時間をかけ、目的意識を持ったESを提出してきたことは、自社への熱意や働く意欲が高いであろうと確認していきます。

2つ目は、「スキルや特性」を知りたい、ということです。どの企業も必ず見ているポイントは、「自社とどれだけマッチした人材か」ということです。従って、書類は「自分が伝えたいことをアピールすれば良い」ではなく、「自分という人間は、会社やその仕事に合った人材の可能性がある」という、企業との接点の可能性を伝えることが重要です。

インターンシップ・キャリアのESって何を書くの?

ESの設問は、本選考とインターンシップ・キャリアとで選考目的が異なるため、同じ項目でも意図が違うことがあります。

インターンシップ・キャリアの開催・選考目的は、企業の魅力をより多くの就活生に伝え、優秀な人材に本選考で志望してもらうためです。加えて、就業体験を伴う長期インターンシップ・キャリアは、就業体験を通して職種への適性や自社にマッチする人材かを早い段階で確認していきます。

一方、本選考の目的は、自社で活躍できる能力があり且つ自社の方向性に合う人材を実際に獲得することです。以上のことから、同じ設問でも異なる意図で訊かれている場合があります。

ESにおける高頻出の設問は、主に①自己PR、②ガクチカ、③志望動機、の3つです。1つずつポイントを確認していきましょう。

①自己PR

自己PR作成のポイントは、「インターンシップ・キャリア     に参加     する中で活躍できそうな強み」を書くことです。企業は、開催プログラム     において活躍してくれそうな人材に参加して欲しいと考えています。よって、自己PRを書く際は、企業のプログラム内容も確認しておきましょう。強みを発揮している具体的なエピソードと、それをプログラムでどのように発揮していきたいと思っているか、自分の強みと企業のプログラム内容との接点を意識して書くと効果的です。

②ガクチカ

学生時代に力を入れて取り組んだこと、いわゆる“ガクチカ”は、設問の意図に本選考との違いはありません。テーマは、学業やゼミ活動、アルバイト、部活動・サークル、インターンシップ等や留学などが挙げられます。

ガクチカのポイントは、「その活動に取り組んだ動機、具体的な内容、その経験から何を得たか」を書くことです。企業は、ガクチカで「自社に貢献できる能力があるか、能力を発揮し持続できるモチベーション(やる気)があるか」を判断したいと考えています。人と違う、驚くような経験を書かなければいけないわけではありません。大事なことは、その経験から何を学び、何を得たかという変容やその過程です。ぜひ、いろいろな角度から経験を洗い出し、書いていきましょう。

③志望動機

志望動機は、意図に本選考との違いがある設問です。志望動機の作成で大事なことは、「インターンシップ・キャリアと本選考との志望動機を取り違えない」ことです。
本選考での志望動機は、「なぜ当社に入社したいのか、入社してやりたいことは何か」です。一方、インターンシップ・キャリアでの志望動機は、「なぜ当社のインターンシップ・キャリアに参加したいのか、当社のインターンシップ・キャリアを通じて何を得たいのか」です。志望度の高さ、自社の社風やビジョンとマッチするかを伝える点では同じですが、参加への目的意識を伝えるという意味で違ってきます。従って、「プログラムのどのような点に魅力を感じているか、どのような学びをしたいのか」を盛り込むことがポイントです。

ESで大事なことは、「誰が読んでも理解できるよう、わかりやすく書く」ことです。企業は選考期間中、大量のESを読みます。読み手がサッと読めてスッと理解できるわかりやすい文章が書けることも、ビジネスで求められるコミュニケーション力です。まずは「冒頭で質問に対し答える(結論から伝える)、具体的且つ端的」に書くことを意識しましょう。

業界別の傾向はあるのか?

ESの設問は、ほとんどの業界で、自己PR、ガクチカ、志望動機といったものが多く訊かれます。
しかし、一部の業界では、深く突っ込んだ設問や上述以外の設問が訊かれることがあります。

例えば、コンサルティング業界やシンクタンク、外資金融や外資コンサルなどでは、「これまでの人生の中で、最大のチャレンジについて教えてください」、「過去に挑戦し、成し遂げたことを教えてください」といった設問が見られます。これは一見ガクチカと似ているように思えますが、設問の意図は大きく違います。
“挑戦”の経験が訊かれる主な理由は、経験そのもののレベルの高さや能力の高さを把握したいためと考えられます。学生時代に、到底成し遂げられないような経験や実績を残している学生は、その過程にあるたゆまぬ努力や成果への気概を、エピソードから感じ取ることができます。

投資銀行のビジネスでは、M&Aや資金調達などのディールを成功させるため、利害関係者と協力や調整、交渉しながら案件を遂行します。また、コンサルティングファームやシンクタンクも、得意領域の違いはありますが、顧客の課題解決のために尽力します。ビジネスを進める過程で、ハードな局面をどう乗り越えるか、どう自分をモチベートするか、成果を成し遂げるための思考力や精神力が問われます。こういったことから、学生時代に大きな目標を持ち、“挑戦”した経験を知ることで、自社にマッチする人材か見ていきます。

また、外資系企業やコンサルティング業界、総合商社では、重視する能力の1つに論理的思考力が重視されます。従って、志望動機も、「なぜこの仕事か、なぜこの会社なのか」と明確な答えを訊かれる設問が多く見られます。第三者が納得できるよう、設問に対し、論理的・明確・端的に伝える力が必要です。

ESを書くには何を準備すれば良いのか?

ES作成の準備の基本は、自己分析と企業研究の2つです。そのため、自己分析と企業研究をしっかりと行うことが重要になります。

①自己分析

自分という人間を伝えるため、希望する企業を考えるために必要なものが自己分析です。自己分析により、能力、興味、価値観を整理します。自己分析の方法はたくさんあるためこの記事では触れませんが、主には、

  • ・能力=自分はどういった強みや得意分野があるか
  • ・興味=自分はどの業界・どんな職種に興味があるか、
  • ・価値観=どういう風に働きたいか・働く上で大事にしたいことは何か

などを客観的に整理します。この材料をもとに、自己PRやガクチカの作成、また、業界や職種の方向性を考え応募企業をピックアップしていきます。

②企業研究

企業のビジネスモデルを知る、企業が属する業界や希望職種も調べるなど、丁寧に企業研究を行いましょう。また、インターンシップ・キャリアのプログラムを調べ、何を得ることができるか、自分なりにイメージします。自分の強みを活かせる・自分の理想の働き方ができるかをイメージすることで、インターンシップ・キャリアへの参加に対する目的が明確になったESに仕上がるでしょう。 

まとめ

今回はインターンシップ・キャリアのESについて、提出が求められる理由、何を書くのか、書くための準備などについて解説しました。ESはある意味、企業へのラブレターのようなものです。自分の考えや想いを具体的に且つ根拠を添えることで、相手にとって納得感のある文章になります。

また、「考える」と「書く」の作業を繰り返すことで、文章の精度は高くなります。自己分析と企業研究をしっかりと行い、「会いたい」と思ってもらえるESを目指しましょう。

PROFILE

加藤田綾子(2級キャリアコンサルティング技能士・キャリアコンサルタント)
新卒で野村證券株式会社に入社、国内リテール部門で営業に従事する。その後、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(旧:東京三菱証券)に入社。投資銀行部門で、主にカバレッジバンカーとして上場企業の資金調達やアドバイザリーなど資本政策案件に携わる。現在は独立し、企業研修、大学での就職支援講座や非常勤講師として授業も行う。カウンセリング実績は9,000人以上。米Gallup社認定ストレングスコーチ、一社)アンコンシャス・バイアス研究所認定トレーナー、日本コミュニケーション能力認定協会本部トレーナー。

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