「ガクチカ、本当に何も書くことがない…」悩みにサヨナラ!書くためのコツを教えます。【見つけ方編】

自己分析

公開日:2023.06.06

こんにちは!キャリアコンサルタント・公認心理師の濱野です。この記事を読んでいる皆さんは、大学生活の多くをコロナ禍の中で過ごしてこられたと思います。入学当初からオンライン授業になってしまったり、やってみたかったサークル活動などの学外活動に十分に取り組めなかったりと、さまざまな影響を受けているのではないでしょうか。それ故に「急に『ガクチカ』を求められたって何も書くことがないよ… 」と悩んでいる方も多いのではと思います。でも、心配は要りません。「ガクチカ」のエピソードは誰にでも必ずあるのです。さあ、一緒に見つけていきましょう!

そもそも企業は「ガクチカ」で何を見ているの?

就活でよく使われる「ガクチカ」という言葉。これはご存じの通り、「学生時代に力を入れたこと」の略語です。

社会人であれば、応募者の前職での業績などを聞くことができますよね。しかし学生の場合はまだ仕事の業績がありませんから、その代わりに聞くのが学生時代の経験、すなわち「ガクチカ」というわけです。

では、企業は「ガクチカ」で何を見ようとしているのでしょうか? 

その答えはズバリ、「ポテンシャル」。具体的には、「この学生が将来、自社の社員としてどのように活躍しそうなのか」、「自社が求める人材像に合う人物なのか」を見ようとしているのです。

エントリーシートなどで多く見られるのは、「あなたが学生時代に力を入れたことは何ですか?」という設問。ここで注意して欲しいのは、企業は「あなたが力を入れて取り組んだこと(ことがら)」だけに注目しているわけではない、ということです。

実は企業は、「あなたがそのことにどのように取り組んだのか(プロセス)」や、「なぜそのことに力を入れて取り組もうと思ったのか(動機)」にも注目しているのです。

取り組みのプロセスを聞くことで、「この学生がうちの社員になったとしたら、どんなふうに仕事に取り組むだろうか」、「周囲とはどのようにかかわっていくのだろうか」、「目標達成への意欲はどうだろうか」、「仕事上で壁にぶつかったとき、どうやって乗り越えるだろうか」、を推測しようとします。

また、2024年卒の大学3年生は、1年生のころからコロナ禍に見舞われ、部活動やサークル、アルバイトなどへの参加が強制的に制限されたことから、「ガクチカ」を答えるのが難しい学生も多く、それに配慮した企業や行政のサポートも行われるケースも出てきました。

背景として企業側は無理やりに作り出した「ガクチカ」では判断材料として乏しく、深掘りもできないことが問題とされており、学生の価値観や考え方を知ることが目的なので、それが分かる別の方法があれば「ガクチカ」でなくてもよいという企業が増えてきています。

ガクチカって何を書けば良いの?

「えっ、『ガクチカ』ってそんなに重要なものなんだ…ますます自信がなくなってきたよ…」     ここまで読んで、そんなふうに思った方もいるかもしれません。

でも、心配はご無用です。というのも、「ガクチカ」に書くことは、特別に難しいことや、他の人がやっていない変わったことや、すごい成果を上げたことなどでなくても、まったく構わないからです。

もしかすると、「学生時代に力を入れて取り組んだこと」というフレーズが大げさすぎるのかもしれませんね。もしこのフレーズに抵抗があるのでしたら、思い切って「学生時代にやったことで、まあまあ良かったかな~と思うこと」くらいまで、ハードルを下げてみてください。

学内・学外の活動、どちらでも構いません。例えば、学業(興味を持って取り組んだ授業・ゼミなど)、部活、サークル、アルバイト、ボランティア、趣味・・・。

そう、あなたが日常的にやっていることでよいのです。なぜなら、先にも述べましたが「ガクチカ」では、取り組んだ「ことがら」だけでなく「取り組み方(プロセス)」や「動機」もセットにしてアピールしていくからです。

こう考えると、どうですか?少し気が楽になってきませんか?

なお、「ガクチカ」で取り上げるエピソードは、できれば大学時代のものがよいかなと思います。高校時代よりも活動範囲や交友関係が広がり、多様な経験をして人間的な成長を遂げている大学時代のエピソードのほうが、企業があなたの可能性や価値観などを把握しやすいと思うからです。

ただ、コロナ禍のため、大学の学内・学外の活動自体が強制的に抑制されていた方も多いでしょう。そういった場合は、高校時代に真剣に取り組んだ事を取り上げ、そこで何を気づいたかを書くのも良いでしょう。

「ガクチカ」の見つけ方

では、さっそく「ガクチカ」に書くことがらを探していきましょう。見つけるためのコツは、とにかく「書き出す」こと。これまでの学生生活を思い出しながら、頭に浮かんだ「自分が取り組んできたこと」を言語化していきます。

その際に活用して欲しいのが、「ガクチカシート」。「学内での活動版」と「学外での活動版」の2バージョンを準備してみました。シートの項目に従って、思い出した活動を洗い出してみましょう。

どんなに小さなことでも構いません。また、すべての項目が埋まらなくても気にしなくて大丈夫。ここでは判断を加えずに、どんどん書き出していきましょう。

「そう言われても、なかなか思い浮かばないなあ」という方は、「(やりたいわけではなかったけれど)やらなくてはならなかったこと」を思い出してみるのもひとつの方法です。

レポートや課題、授業内のグループ活動、サークルやアルバイトで新たに課せられた役割、語学の習得など、最初は気が進まなかったけれども結果的にやり抜いたことはありませんか? その時にどんな工夫をしたのか、何をモチベーションにして義務を果たしたのかなどを考えていくことが、「ガクチカ」につながっていくのです。

もし「ガクチカシート」に書き出した内容に自信がないとか、洗い出しが不十分ではないか不安だという場合、他の人の力を借りるといいですよ。

「ガクチカシート」を大学のキャリアセンターの方に見てもらいながら話してみる、親しい友達同士で「ガクチカシート」を交換してアドバイスをしあうなど、工夫してみてください。

\「ガクチカシート」をダウンロードして記入してみよう!/

今からも育てられる、「ガクチカ」のタネ

「ガクチカシート」を使って洗い出してみた結果、「自信を持って言えることがまだまだ少ないかなあ…」と思う方は、今から「ガクチカ」のタネを育てていくこともできますよ。

例えば、今までやったことがないこと、興味はあったけれどもまだ足を踏み入れていないことを、新たに始めてみるのはいかがでしょうか。

未経験の業界・職種のアルバイトにチャレンジしてみる、所属とは違う分野の科目を履修してみる、新しい趣味の活動に参加してみる、など。

今まで知らなかった世界を体験することによって知識が広がり、さらなる探求意欲が湧いて、あなたの学生生活はますます活発になることでしょう。その中で、新たな「ガクチカ」のタネが育っていくのです。

また、インターンシップ・キャリアに申し込んで就業体験をしてみるのもよいですね。実際の仕事の現場で社会人と交流しながらさまざまなことを学びますので、乗り越えるハードルが大きい分、ご自身に対する気づきも大きいはずです。

さらに、これまでの日常生活の中で「なんか良くない、上手くいかない」と感じていながら放置してきたことに、思い切って取り組んでみることもおススメです。

例えば、アルバイト先の業務手順。「何だかやりづらいな」、「もうちょっと良いやり方がありそうなんだけどな」と思いながらも「まあいいか」とそのままにしていること、ありませんか? 

もし思い当たることがある場合、現状を改善するための具体的な行動や改善策を考えて、実際に行動に移してみてください。課題解決の一連のプロセスの中で、「これが私の『ガクチカ』です!」と胸を張って語れるエピソードが生まれてくることでしょう。

「ガクチカ」のエピソードは、必ずあなたの中にあります。また、これからタネを大きく育てていくこともできます。例えば、卒論のテーマを決めたり、専攻している学業を本格的に取り組むこともガクチカのタネを育てることになります。

自信を持って「ガクチカ」を語るための一歩を、ぜひ踏み出してみてくださいね。

PROFILE

濱野 裕貴子
キャリアコンサルタント・公認心理師・ワークショップデザイナー
大学卒業後、教育系出版社に入社。通信教育の先生方のマネジメントを中心に、キャリアインタビューや機関誌の編集などに携わる。業務を通じて感じた「同じ仕事をしているにも関わらず働く理由や価値観の違いが出るのはなぜか」という問題意識から、「キャリア」に興味を持つように。14年間の勤務後独立し、以後、大学ではキャリアカウンセラーや非常勤講師、企業では研修講師として、学生や若手社会人のキャリア支援に当たってきた。演劇や落語、お笑いなどのパフォーミングアーツに触れることが大好きで、身体表現を使った自己理解のワークショップなども手掛けている。筑波大学人間総合科学研究科生涯発達専攻カウンセリングコース博士前期課程修了(カウンセリング修士)。

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