始業前の準備時間は労働時間?【弁護士が答えます】

就活ノウハウ

公開日:2026.04.15

始業前の準備時間は労働時間?【弁護士が答えます】

この記事でわかること

  • どこからどこまでを「労働時間」と指すかは法律では定められていない
  • 判断の基準は、その時間が「指揮命令下に置かれている時間か」などの基準がある
  • 自発的な行動は労働時間として該当されにくい

会社の中には始業時刻前に朝礼や朝の掃除を行うことが慣行となっているケースがあります。また、朝礼や掃除はなくても、30分前出勤が暗黙のルールになっている事業所もあります。これら始業時刻前の時間は「働いていない時間」なのでしょうか。本記事では「始業前の準備時間」が労働時間にあたるか、弁護士が答えます。

※本記事は、記事公開時点の法令・情報に基づき弁護士が執筆・解説したものです。その後の法改正や社会情勢の変化により、現在の法令や解釈と異なる場合があります。最新の法制度等については、公的機関の発表をご確認いただくか、専門家へご相談ください。

労働時間とは?

法律上、労働時間(法定労働時間)については1日8時間、1週40時間という決まりがあります。(労働基準法第32条)

実はこの「労働時間」がどこからどこまでの時間を指すのかということを定めた法律はありません。
では一体、労働時間とはどのような時間なのでしょうか?
その答えは、過去の最高裁判所の判断(判例)にあります。
判例は、労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、…労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない」としました(最判平12・3・9)。
ここでポイントとなるのは、「使用者の指揮命令下に置かれている」ということです。すなわち、就業規則で定められた労働時間(これを所定労働時間と言います。)以外の時間であっても、それが使用者の指揮命令下に置かれている時間であれば、労働時間に該当するのです。

朝礼、朝の掃除、始業時刻前の出勤は労働時間なのか?

慣行となっている始業前の朝礼や掃除など、始業時刻前の出勤が労働時間にあたるか否かは、これらの時間が前述の「使用者の指揮命令下に置かれている時間か否か」によって決まります。
会社が社員に対して朝礼の参加や朝の掃除、始業時刻前の出勤を命じているような場合には、これらの時間は「使用者の指揮命令下に置かれている時間」として労働時間に該当します。また、明確な指示はなくても、これらの行為をしないことによって人事査定上、不利益に扱われるといった場合には、労働時間に該当する可能性が高いと言えます。
他方、自発的に掃除をしている、朝の通勤ラッシュを避けるために自発的に始業時刻前に出勤しているといった場合には、「使用者の指揮命令下に置かれている」とは言えないため、労働時間に該当しないことになります。

朝礼への参加などが労働時間に該当したら?

これらの行為が労働時間に該当すれば、一般的には、その時間に対して給与が発生することになります。また、その時間が法定労働時間である8時間からはみ出してしまっている場合、たとえば、始業時刻が9時、終業時刻が18時(うち1時間休憩)の会社において、朝の掃除のために8時に出社することが命じられている場合、この1時間については時間外労働として割増賃金が発生することになります。社会人として働きはじめる前に、労働時間や賃金に関する基本的な考え方を知っておくことは、自分のキャリアや生活を守る上で大切な一歩です。積極的に情報収集をしていきましょう。

福島 一代弁護士

PROFILE

英明法律事務所
福島 一代弁護士
パワハラ・セクハラ、労働条件、給料・残業代請求、不当解雇、労災認定など、労働者が抱える様々な法的問題を解決しています。人事労務分野の活動も幅広く行っています。

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