出張の移動時間は労働時間に含まれる?【弁護士が答えます】

就活ノウハウ

公開日:2023.10.10

皆さんが社会人になった後、会社から出張命令を受けることがあると思います。出張というと、見知らぬ土地に出かけることができて、なんだか楽しそうですね。ただ、よく考えてみると「出張はあくまでも仕事なのだから、出張中は常に仕事のことを考えなければならないのでは?」といった疑問が浮かびます。また「出張が仕事だとしたら、移動時間も残業代が出るのか?」といった疑問も浮かびます。今回の記事では、出張にまつわる労働問題について解説いたします。

出張の移動時間は労働時間なのか

まず整理しなければならないのは、「出張の移動時間は労働時間なのか」という問題です。移動時間が労働時間に該当するのだとしたら、会社はきちんと給料(残業代を含む)を支払わなければなりません。

この時、「労働時間」とは会社の指揮命令を受けた状態を意味します。このままだとわかりにくいので、具体例で説明します。

例えば荷物運送業に従事する人の場合、まさに会社の指揮命令を受けて移動をするわけですから、移動時間も労働時間に該当します。

他方で、「新幹線で◯◯支社に行って◯◯の仕事をしてください。移動中は好きに過ごしていいですよ。」という場合はどうでしょうか?この場合、会社の指揮命令を受けるのは◯◯支社での仕事に限られますから、移動時間は労働時間に該当しないと考えることが一般的です。

以上のように、移動そのものが仕事に該当する場合を除き、基本的には出張の移動時間は労働時間に該当しません。

なお、誤解を招くとよくないので補足しますと、出張の移動時間が労働時間に該当しないとしても、一般的には、「移動時間は仕事をしないのだから、その分は給料から差し引く」などという扱いはしません。

移動時間が労働時間に該当するか否かにかかわらず、月の基本給は最低限保証されることが一般的です。

実際に問題になるのは、例えば休日に出張をしたような場合に、「移動時間を含めて残業代を請求することができるのか?」という場面です。この問題については項を変えて説明いたします。

移動時間を含めた残業代は請求できるの?

前記2と関連するのが、「出張の移動時間を含めた残業代を請求できるのか?」という問題です。移動をするのも疲れますから、できれば移動時間を含めた残業代がほしいですよね。

しかし、移動時間が労働時間に該当しない以上は、移動時間について残業代を請求することはできません。その反面、移動時間には好きなことをして構いません。会社の指揮命令を受けているのではないのですから、新幹線や飛行機の中でYouTubeを観ても構わないし、昼寝をしても構いません。逆に、「移動中も◯◯の仕事をしてください」と指示されるのであれば、移動時間も労働時間(残業代を請求できる)ということになります。

ホテル宿泊の際に貰える商品券の扱いは?

少しマニアックな話題として、出張でホテルに宿泊した際に貰える商品券を受領して構わないのか? という問題があります。

各地のビジネスホテルでは、出張をする人に向けて、「クオカード3,000円分を進呈」といったサービスを展開しています。ただこれは、よく考えてみると、宿泊代の割引を受けたのと同様です。そうすると、出張者が商品券を受領した場合、「実際の宿泊代よりも高い金額を会社に経費請求することになるのでは?」という問題が生じます。

この点は、正直にいいますとグレーです。実際には、会社も黙認しているケースが多いと思われます。会社が黙認している場合には、商品券を受領してもさほど問題にはならないでしょう。

他方で、会社が商品券の扱いについてきちんと出張旅費規程を設けている場合には、その規程に従った処理をすべきです。規程があるのにゴマカシをしてしまうと、懲戒処分を受けるリスクもあるので気をつけましょう。

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PROFILE

定禅寺通り法律事務所
下大澤 優弁護士
退職代行、残業代請求、不当解雇、パワハラ・セクハラなど、数多くの労働問題を取り扱っています。これまでにも、発令された配転( 転勤) 命令の撤回、未払残業代の支払など多くの事例を解決しています。

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