テレワークに必要な設備費や通信費は会社と労働者のどちらが負担する?【弁護士が答えます】

就活ノウハウ

公開日:2023.07.18

コロナ禍を契機に、自宅等で業務を行うこと(テレワーク)が珍しくなくなりました。この記事では、テレワークに必要な設備費や通信費を会社と労働者のどちらが負担すべきかについて、法律的な視点から解説します。

設備費等は会社が負担することが原則

まずは原則を確認しておきましょう。

業務に使用する備品等は、会社側の負担で準備することが原則です。労働者に費用を負担させたい場合には、あらかじめ就業規則(労働契約に関するルール)に明記しておかなければなりません。

就業規則に全く定めがないのに、労働者個人のスマホ、パソコン、通信機器を、労働者の費用負担で業務に使わせているとすれば、その会社には問題があるということになります。

費用の適切な負担割合は?

次に考えなければならないのは、「設備費や通信費は会社が100%負担すべき?」という問題です。

たとえば、業務でスマホの使用が必須の場合、会社は業務用スマホを用意して、通信費含め費用は100%負担すべきです(100%業務に使用されるため会社の全負担が当然)。

ただし会社によっては労働者の個人スマホを業務に使っているケースがあり、この場合、個人のスマホですから業務以外にプライベートで使うこともあります。

プライベートで使うこともあるスマホの費用を会社が100%負担することは公平ではありませんので、「業務とプライベートの使用割合に応じて費用を分担する」ことが適切となり、その使用割合をあらかじめ取り決めるのが妥当ということになります。

スマホを例にとってご説明しましたが、パソコンやインターネット設備に関しても基本的な理屈は同様です。

おわりに

以上を踏まえて、企業を見ていくときはテレワークをどのように運用しているかチェックすることをおすすめします(テレワークできることを企業選びの条件の一つにしている方は特に!)。いい加減な運用からトラブルに発展してしまったり、労働者側が泣き寝入りせざるを得ない環境ではせっかくの新卒就職が台無しになってしまいかねません。

テレワークは会社にとっても労働者にとっても便利なものですが、コロナ禍からの正常化が進み、継続する企業や原則出社に戻す企業、組み合わせて実施する企業などますます各社の判断で分かれるようになってきています。設備や通信は業務とも密接にかかわりますので、志望する企業がどのような

対応をしているかをしっかり見ておくことに越したことはないでしょう。

この記事が、いずれ社会に出ていく皆さんの役に立つと幸いです。

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PROFILE

定禅寺通り法律事務所
下大澤 優弁護士
退職代行、残業代請求、不当解雇、パワハラ・セクハラなど、数多くの労働問題を取り扱っています。これまでにも、発令された配転( 転勤) 命令の撤回、未払残業代の支払など多くの事例を解決しています。

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