薬学生のための職種を知ろう|薬剤師
業界・職種・企業研究公開日:2023.04.03
ここでは、医薬業界のさまざまな職種・仕事の中から、代表的な4つの職種を説明します。新薬の開発を担う「R&D」、医薬情報を医療従事者に提供する「MR」、調剤や服薬指導をする「薬剤師」、新薬の治験やモニタリングをする「臨床」と、それぞれの職種の仕事内容、やりがいについて、学んでいきましょう。
薬剤師は調剤薬局やドラッグストア、病院・診療所などの医療機関において、処方せんに基づく調剤をはじめ、患者への服薬指導、医薬品の供給、薬事衛生といった業務を担当します。薬剤師として活躍するためには、6年制の薬学課程を卒業修了することで受験資格を得られる薬剤師国家試験に合格しなければいけません。
厚生労働省の調べによると、全国の薬剤師の数は2022年末時点で32万1,982人となり、2018年と比べると約2.7%増加しています。勤務先は、半数以上の18万8,982人が薬局で、続いて病院・診療所が6万1,603人、医薬品関係企業が3万9,044人となっています。
病院薬剤師の業務は多岐にわたりますが、主な業務は薬剤の調合・払い出しとなっています。しかし、近年薬剤師に対しても医師や看護師と一体となってチーム医療を推進していく流れのなかで、その高度な専門性を病棟で生かしたいとの声が高まるようになり、病棟での勤務をメインとする「病棟薬剤師」という役割ができました。2012年度の診療報酬改訂では「病棟薬剤業務実施加算」の算定が認められ、さらに病棟薬剤師が活躍する機会は広がっています。実際に厚生労働省の発表した2014年度版病院調査の結果によると、病棟薬剤師業務実施加算の施設基準を届け出ている施設は全体の39.3%と前回調査の16.2%から2倍以上増え、今後も増えていくと予想されています。従来「薬局にこもってばかりいる」と言われていた病院薬剤師と違い、患者とじかに接する機会があるため、自ら準備した薬剤が医療の助けになっていることを目の当たりにできることがやりがいとなるでしょう。
一方、調剤薬局やドラッグストアなどに勤務しながら人々の健康相談に応じるなど、地域医療の核としての活躍にも期待が寄せられています。最近では、自分の健康を自分で管理するというセルフメディケーションへの関心の高まりに伴い、病気や薬について正しく理解し、市販薬を活用しようと考える人が増えています。その際に薬剤師は、市販薬の使い方のアドバイスをするなど、セルフメディケーションの推進役としての役割を担っています。さらに、在宅医療への取り組みが強化されるのに伴って、今後、薬剤師が「かかりつけ薬剤師」として自宅や介護施設へ処方薬を届けるといった役割も期待されています。