業界研究の進め方とポイントを徹底解説。就活準備初心者向け「業界MAP」「業界クイズ」も紹介

業界・職種・企業研究

公開日:2023.09.19

志望する業界・企業を決めたり、志望動機をまとめたりするには、「業界研究が大事」だと言われます。ここでは、業界研究の目的や進め方のポイント、注意点をお伝えします。また、無料で使えるキャリタス就活の業界研究ツール「業界MAP」と「業界クイズ」を活用した業界研究方法も紹介します。

就活に必要な業界研究とは

「メーカー」と「サービス業」、「食品メーカー」と「金融業」など、世の中にある企業はビジネスの仕方、つまり、提供する商品やサービスの種類によって各業界に分けられます。就活生の皆さんはこれから、将来自分が働きたい企業を見つけ、採用選考を受けて就職先を決めます。

その際に必要になるのが自己分析と業界研究・企業研究になります。自己分析では過去の自分の経験を振り返り、どのような経験をした時に喜びややりがいを感じたのか、その経験の中でどんな強みを発揮したのか、どんな能力を身に付けたのかを探す作業になります。

業界研究は、自己分析で見つかった喜びややりがいを得られたり、発揮した・身に付けた能力を生かせたりする仕事を探すための第一歩となります。以下では業界研究についてさらに詳しく説明します。

業界研究の目的

世の中にある業界を知る

日本には何百万という企業が存在し、1社1社の事業内容をすべて見て志望企業を探すことはほぼ不可能です。そこで、企業の集まりである業界を絞り込み、そこから志望企業を探し出すことが効率的でしょう。自分に合った企業を探し出すための1つの方法が業界を知ること、業界研究となります。

少ない業界の中から自分の適性に合った業界を探すよりも、できるだけ多くの業界を知り、その中から自分に合う業界を探すことができれば、より自分の適性にマッチした仕事に近づくことができます。

業界のビジネスモデルを知る

世の中に多くの業界があることを理解したら、それぞれの業界の特徴を知ることも必要です。就活準備生の皆さんが知っている業界は、主にBtoC(Business to Consumer)という一般消費者を相手に商品やサービスを提供している業界でしょう。例えば、食品、自動車、旅行、アミューズメントなどです。これらの業界は皆さんにとって身近であり、知っている企業もたくさんあると思います。

一方、企業を相手に商売をしているBtoB(Business to Business)業界はあまりなじみのない業界かもしれません。例えば、化学、印刷、情報処理、コンサルティングなどの業界です。これまでの生活ではBtoB業界はほとんど接点がなかったために、どのようなビジネスを展開して稼いでいるのかわからないことも多いでしょう。

身近なBtoC業界だけでなく、BtoB業界にも目を向けて、各業界がどんな商品やサービスをどの業界・企業に提供して稼いでいるのか(ビジネスモデル)を知ることが業界研究の目的の2つ目になります。

業界にある企業を知る

業界のビジネスモデルを理解し、興味のある・気になる業界が見つかったら、業界内にどんな企業があるのかを調べてみましょう。業界大手と言われるような企業は知っていても、中堅企業はもちろんのこと特定分野に秀でた企業、海外市場で活躍している企業については知らないこともあるでしょう。

業界の中の大手・有名企業だけでなく、幅広い企業についても知ることは志望企業を決める際に役立ちます。

志望する業界を決める

多くの業界を知り、それぞれのビジネスモデルを理解したら、自己分析で得られた喜び・やりがいを感じる活動、発揮した・身に付けた能力とマッチする業界はどこなのかを絞り込み、志望業界を決める作業に入ります。

志望業界を決める際には、必ず「どこに興味を持ったのか?」「なぜその業界で働けると思うのか」を自問自答してください。企業の採用選考では、ほとんどの企業で志望理由を質問されます。志望理由では、自分がその業界での仕事に喜びややりがいを感じる理由や、その業界で働く能力を持っていることを説明することになります。そのためにも、「何となく」ではなく、明確な理由を意識しながら志望業界を決めましょう。

業界研究の進め方・ポイント

「業界MAP」とは

キャリタス就活の「業界MAP」は、学生に人気の高い33業界を独自に選んで紹介しています。最初は興味のある業界を眺めてみましょう。あこがれの企業、なじみのある企業が属している業界を見て、その企業が業界内ではどんな位置にあるのか、同じ業界にはどんな企業があるのかを見てみましょう。33業界で紹介している企業数は1000社を超えています。インターンシップ・キャリアや就職活動で、業界や企業のことを自分で調べようとすると、業界の主要企業を把握するだけでも結構骨が折れる作業になりますが、この「業界MAP」を見れば効率的に業界研究ができます。

各業界のMAPは、業界に属する「企業名」に「売上高」「かんたん解説」を加えて表示しています。これを見れば業界内の主な企業、序列が一目で分かります。業界はリーディングカンパニーを中心に動く傾向があるので、時間をかけずに大枠を理解するのに役立ちます。

所属する企業に加え「そもそもどんな業界?」「業界解説」で、業界の現状と今後、課題などを解説しています。ここを読んでおけば、志望企業の説明会などで語られる事業内容や展望が、より深く理解できるようになるでしょう。

「業界MAP」を使った業界研究のやり方

就職活動での使い方としては、まず同じ業界の企業の売上高を比較してみてください。複数の企業を見たとき、学生にとっては同じぐらいの知名度であっても、売上高では大きく開きがあることがあります。売上高は企業の規模をつかむために押さえておきたい数字です。また上位の数社が業界の売上高の大部分を占めているのか、準大手・中堅・中小企業が数多く存在し、シェアが拮抗しているのかを調べ、大まかに業界の構造を把握してみましょう。

また、1つの業界を見て終わるのではなく、ぜひ関連する業界についても目を向けてください。例えば、身近な「洋服」をキーワードに業界のつながりを考えてみましょう。まず思い浮かぶのは「アパレル」業界でしょう。アパレル業界を見れば、「ユニクロ」ブランドを持つ株式会社ファーストリテイリングや株式会社しまむらなどがあります。

次にアパレル業界を起点にして、その周辺業界も調べてみましょう。洋服の素材には「繊維」メーカーが関わっていますし、洋服を販売する「百貨店」「ECサイト」、外国のアパレルメーカーの商品を取り扱う「商社」、宣伝するための「広告」や「雑誌」なども関連する業界になります。このように、洋服を起点としてアパレル業界から周辺業界まで目を向けることで、業界研究の幅が広がり、知識も増えてくるのです。

商品を製造するための材料はどこから来て、どこで製造し、どうやって流通し、どこで売られ、誰が買うのか――。このように周辺業界に目を向けることによって、業界研究の幅が広がり、より深く業界を知ることができます。

「簡単4択式!業界クイズ」とは

「簡単4択式!業界クイズ」には、就活準備初心者でもなじみがありそうな18業界があります。さっそくクイズに挑戦して個々の業界を深く理解することも必要ですが、まずは世の中にどんな業界があるのかを知るためにも、業界の一覧画面を眺めてみましょう。もし、18業界の中に知らなかった業界があれば、それだけでも業界研究になります。

「簡単4択式!業界クイズ」を使った業界研究のやり方

18業界をざっと眺め、興味のある業界からでもいいですし、上から順番に挑戦しても構いません。大切なのは、できるだけ多くの業界に挑戦してみることです。個々の業界だけでビジネスや仕事が完結することは少なく、さまざまな業界が相互に関わり合ってビジネスが成り立ち、経済活動が動いています。また、各業界に共通するようなテーマ、例えば「脱炭素」などへの対応を見ると、それぞれの業界の違いなども見えてきます。

クイズに答えると最終的には「あなたの成績は10問中〇問正解でした。」と表示されます。ここで点数を見て喜んだり悲しんだりしても、就活準備に生かすことはできません。大事なのは問題に答えた後に出る「正解・不正解画面」に出ている解説を読むことです。不正解の時には当然解説を読むでしょうが、正解しても解説を読むことによって業界理解が深まります。クイズの目的は高得点を取ることではなく、業界理解であることを忘れずに!

クイズは1回挑戦して終わりではなく、何度でも繰り返し挑戦してみてください。何度もクイズを解き、解説を読むことによって知識の定着が進みます。さらに、業界研究がある程度進んだ段階でチャレンジしてみると、これまで気づかなかったことに気づいたり、業界に関する新たな疑問が湧いてきたりすることがあります。

就活準備イベントに参加する

就活準備イベント(合同企業説明会)でも業界研究ができます。就活準備イベントはキャリタス就活のような就職情報サイトが開催するものの他、大学が開催する学内セミナー、国や自治体が主催するものなどがあります。また、個別企業が開催する説明会の中でも業界について詳しく説明してくれる企業もあります。

さまざまなイベント・セミナーのプログラムを確認し、必要な・知りたい業界研究講座があれば、足を運んでみるといいでしょう。

新聞や雑誌などを読む

企業が発信する情報とは別に、新聞や雑誌などの客観的な情報で業界を研究するのもいいでしょう。新聞には業界に関する特集記事もあれば、産業界に共通するテーマ、例えば、環境問題や新卒採用、円相場などについて各業界の動向を詳しく調べた記事などもあります。また、個別企業のニュース記事(新事業開発や海外進出、買収など)でも、その企業の行動の背景を理解できるように業界の現状などを解説しています。

業界の最新ニュースを理解するためにも、新聞や雑誌などから情報を得るようにしておくと、業界研究が深まると同時に、個々の企業研究にも通じます。

OB・OG訪問する

おおまかな業界の現状を把握するには、就職情報サイトやイベント、新聞・雑誌などのオープンになっている情報源が役に立ちます。ところが、業界での働き方、各企業の仕事の仕方の違い、社風などを知るには、オープンな情報だけではわからないこともあります。そのような場合には、OB・OG訪問が役立ちます。業界で働く大学の先輩に話を聞くと、オープンな情報からは得られないリアルな話を聞くことができるでしょう。

業界研究の注意点

業界研究ノートにまとめる

業界研究をしたら、その結果を必ずノートなどにまとめておきましょう。志望理由をまとめる際の参考になりますし、キャリタス就活の「業界クイズ」や「業界MAP」、イベントやセミナー、OB・OG訪問で得た情報は、コンテンツ作成時点やイベント・セミナー参加時点での情報になります。

過去の研究で得た業界の情報に、最新情報を新聞や雑誌、新たに参加したイベント・セミナー等で得た最新情報を追加・更新していくと採用選考の面接などでも役立ちます。

業界研究が目的ではない

これまで知らなかった業界を知り、新たな知識を得ることはとても有意義で、自分自身の就職活動が進んでいることを実感できます。そのために、志望する業界から関連する業界の研究や最新情報の入手など、どんどん深みにはまってしまう人もいます。

業界研究の最終目的は先ほども紹介した通り、喜びややりがいを感じられ、身に付けた能力を生かせる仕事のできる業界を探すことです。業界のビジネスモデルや主な企業、現状と課題などまで理解できたら十分です。適度に終わらせるようにしてください。

業界研究を1回で終わらせない

就活を進める中で、新たな自分の喜びややりがい、仕事で生かせる能力などに気づくことがあります。その際には随時、業界研究に取り組んでください。業界研究は1回やれば終わりではなく、必要に応じて取り組むことが大事です。志望理由をまとめる際や面接の前など、必要に応じてさらに深く研究するといいでしょう。

気になる業界・企業があればいつでも業界研究を

業界研究、企業研究、職種研究などと、「研究」という言葉が付くと、どうしても難しい、面倒という印象を持ってしまいがちです。研究と言ってもどこかで発表するわけでもなく、点数を付けられるわけでもありません。

業界研究をする最大の目的は、業界を知り、就職したい企業はあるのか、自分に合っている仕事があるのかを知ることです。そして、その業界にある企業に就職して働けば、将来自分が成長し活躍できると自信を持って言える材料を探すことです。就活における業界研究を始めるきっかけとして「簡単4択式!業界クイズ」「業界MAP」などのキャリタス就活の各種コンテンツを活用し、業界研究を進めてください。

まとめ

業界研究はインターンシップ・キャリアに参加する前から始めるのがベストですが、いつ始めても遅すぎるということはありません。気になる業界や企業が見つかった時、志望業界の幅を広げたい時など、必要だと思ったらすぐに取り掛かることをお勧めします。

また、その方法もここで詳しく紹介した「簡単4択式!業界クイズ」「業界MAP」以外でも自分に合った方法で進めても構いません。まだ業界研究に取り組んでいない人はすぐ取り掛かり、自分の適性に合った業界を探しましょう。

執筆:日経HR編集部

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