「大手病」に陥ってない?回避するためのポイントと企業規模別に見る魅力

業界・職種・企業研究

公開日:2024.07.17

就活を進める中で、「大企業への就職」を目標とすることは、多くの就活生にとって自然な流れかもしれません。しかし、その選択が必ずしもあなたの将来にとって最良のものであるとは限りません。満足する就職先を探す上で、企業の規模に惑わされることなく、自分自身の価値観やキャリアにおける望みを優先した企業選びが重要です。本記事を通して、企業規模における違いや魅力を理解し、自分自身の価値観に基づいた企業選びの大切さと、それを実現するための考え方や方法を深掘りしていきます。

「大手病」に陥る就活生たち

皆さん「大手病」という言葉を聞いたことはありますか?これは、就活生が名の知れた大企業のブランドや社会的地位に強く惹かれ、自分に合った企業を見極めることを二の次にしてしまう傾向のことを指します。大企業に依存した就職活動はあなたの就職における選択の幅を狭め、理想の企業を探す上での妨げとなる場合があります。リクルートワークス研究所が行った「第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒) 」によると、2025年度卒業予定の大卒求人倍率は1.75倍ですが、企業規模別に見ると、従業員数300人未満の企業は6.5倍なのに対し、5,000人以上の企業は0.34倍と競争が激化しています。つまり5,000人以上の大企業においては約3割の人しか内定がもらえないということです。大企業の求人倍率は高く、多くのライバルがいることや内定が出ない焦燥感から就職活動自体が嫌になったり、面接などがうまくいかなくなったり、ということも起こりかねません。

また本選考に限った話ではなく、インターンシップ(特に、5日以上の実務体験があるインターンシップ)でも、大企業は非常に人気が高く定員が限られているため、選考が行われることが多く、その倍率は高い傾向にあります。そのため、大企業のインターンシップのみに絞ってエントリーすると、すべて選考に落ちてしまう、なんてことも起こりえます。また就活の選択肢が狭いと自分にあった優良企業を見逃してしまう可能性が発生します。インターンシップ等の応募先選定においても、中小企業にも目を向けるとともに、オープン・カンパニー等の短期プログラムも活用して多様な選択肢をもつことが重要です。

ではなぜ多くの就活生が「大手病」に陥るのでしょうか?その一因は、社会的な価値観や周囲の期待、就活生自身のプライドが大きく影響しています。大企業は安定性や高い社会的信用をもつと広く認識されており、それに魅力を感じるのは自然なことです。しかし、大企業が必ずしも自分にとっての最良の選択肢であるとは限らず、規模よりも仕事の内容、企業文化、成長機会など、今後のキャリアを見据える上でさまざまな要素があることを理解することが重要です。

■大手病を解決する代表的な5つの方法

1.自己分析を徹底する
自分の価値観、キャリア目標、興味や強みを深く理解することで、大企業のネームバリューだけではない、自分だけの就職の軸を見つけることができます。

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2.情報収集の幅を広げる
大企業以外の情報も積極的に収集し、中小企業やベンチャー企業、地方の企業についても調べ、就活イベントや企業セミナーに参加しましょう。さまざまな企業や業界の情報を得て視野を広げることで、偏った情報に基づく判断を避け、多面的な視点からキャリアを考えることができ、大企業に固執しない自分に最適なキャリアパスを選択する力が養われます。

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3.インターンシップ・キャリアなどの活用
大企業だけでなく、さまざまな規模、業界の企業でインターンシップ・キャリアを体験してみましょう。実際の職場環境を知ることで自分に適切な企業選びにつながります。

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4.キャリアアドバイザーやOB・OGの活用
キャリアアドバイザーやOB・OGを活用することは、業界の現実やキャリアパスの選択肢について具体的な情報収集に役立ち、自身の適性や興味に合った進路を見つけやすくしてくれます。大企業志向に偏らず、より幅広い視野でキャリアを考えることができるようになります。

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5.キャリアビジョンの再設定
大企業への就職が「成功」と錯覚し、自身のスキルや興味を見失ってしまう場合があります。キャリアビジョンの再設定を行うことで、自分が本当にやりたいことや適性を再確認し、視野を広げましょう。自己成長や満足度の高いキャリアパスを選ぶ意識が高まり、柔軟な考えをもって就活を行うことができます。

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またそれ以外の方法として、さまざまな規模の企業の特徴や魅力を正しく理解することは、自分に合った職場を見つける上で非常に重要です。企業規模ごとの違いを理解し、それぞれの働く環境の特色や魅力について深掘りすることが大手病に陥らないポイントになるでしょう。

企業規模ごとの働く魅力

大手病にならないためにも、理想の会社を探す上でも、改めて各企業規模における魅力や特徴を理解することが重要です。

以下の違いをチェックしていきましょう。

■企業規模の定義について

企業に関する日本の法律には、会社法や中小企業基本法などがあります。しかし大企業の明確な定義はありません。中小企業基本法で定められている中小企業の条件のみで、この定義より規模が大きければ大企業となります。

中小企業の定義
製造業・建設業・運輸業など:資本金3億円以下、社員数300人以下
卸売業:資本金1億円以下、社員数100人以下
サービス業:資本金5,000万円以下、社員数100人以下
小売業:5,000万円以下、社員数50人以下

※厚生労働省では、常用労働者1,000人以上を「大企業」、100〜999人を「中企業」、10〜99人を「小企業」に区別しています。

■大企業で働く魅力

大企業で働く魅力には、企業のブランド力や高い給与水準、充実した福利厚生があります。大企業では職種や業務が多いため、国内外での多様なキャリアパスが展開可能です。また、資金力が豊富であるため、大規模なプロジェクトに参加する機会も多く、挑戦的な業務に携わることができる点が魅力です。

しかし、組織が大きいため自分の仕事の成果が直接的に企業に貢献していると感じにくい点や、競争が激しい環境である点も認識しておく必要があります。

■中小企業で働く魅力

中小企業で働く魅力は、フラットな組織構造により意思決定が迅速であること、また個々の貢献が直接的に組織全体への影響を及ぼしやすい点にあります。少人数のため、多様な役割を経験する機会が豊富にあります。また、決められた枠にとらわれず、幅広いスキルを身に付けることができ、キャリアの多様性を追求しやすいことも魅力です。

しかし、大企業に比べて給与や福利厚生が劣る場合があることや、社内のキャリアパスが限られる傾向があることも理解しておきましょう。

■ベンチャー企業で働く魅力

ベンチャー企業で働く魅力は、企業の成長促進のために高いリスクを取るとともに高い報酬が得られることです。そもそもベンチャー企業とは既存の市場において革新的なアイデアでサービスや製品を提供する新興企業です。設立して間もないケースが多く社員の役割が流動的でありつつも、自らが主導してプロジェクトを進める機会も多く、個々の能力と責任が大きく求められます。

しかし、資金や人材が限られているため、経済的な不安定さ、長時間労働の常態化、そして役割や責任範囲の不明確さに直面することがあります。

※ベンチャー企業とメガベンチャー企業の違い
ベンチャー企業は通常、設立から間もない段階で小規模かつ革新的なアイデアを追求している新興企業です。これらは資金やリソースが限られ、リスクが高い状態で運営されます。一方、メガベンチャーは、成功したベンチャー企業がさらに成長し、市場において著しい影響力をもつようになった企業です。メガベンチャーは資金力が豊富で、多数の従業員を抱え、国内外での大規模な事業展開が可能です。

■スタートアップ企業で働く魅力

スタートアップ企業で働く魅力として、新しい技術やアイデアからサービスや製品の開発に携わることのできる経験や、創業期の企業特有のエネルギッシュな環境と会社をゼロから立ち上げるやりがいが挙げられます。少人数のケースが多いため、ビジョンの共有がしやすく結束力が非常に強い傾向があるのも特徴です。また、新しいアイデアをすぐに試し、実行に移すことが可能なため、革新的な試みにかかわることができます。個々の仕事の影響力が大きく、自分の行動一つひとつが会社の成長に直結するため、大きなやりがいを感じることができます。

しかし、事業の失敗リスク、資金繰りの問題、キャリアアップに関するサポートの欠如などの問題に直面することがあります。

■大企業と大手企業の違い

「大企業」と「大手企業」は、しばしば混同されがちな言葉ですが、実際には異なる意味合いをもっています。大企業は主に企業の規模を基準にした分類であり、従業員数や資本金、売上高などが一定の基準以上の企業を指します。一方で、大手企業とはその業界内での地位や影響力、ブランド力を基準にした分類で、特定の業界においてトップクラスの実績や知名度をもつ企業のことをさします。したがって、大手企業は必ずしも大企業ではなく、中小規模でも業界内で高い地位を確立している企業も存在します。

自分なりの企業選びの軸を決めるには

企業選びにおいて重要なのは、企業の規模ではなく、自分自身の価値観、キャリアビジョン、働く上での優先順位を明確にすることです。自問自答を繰り返し、何をもって自己実現ととらえるのか、自分はどのような環境下でもっとも能力を発揮できるのかを考えることが重要です。

新卒における企業選びは自分の長期的なキャリアプラン、人生のビジョンを実現するための第一歩です。そのためには、目先の魅力に惑わされず、自己実現のための環境が整っているか、自分が成長できる場所かどうかを冷静に判断することが大切です。志望動機を話す際に「大企業がいい」だけでは理由が浅くなってしまいます。しっかり企業研究も行いながら応募企業を見極めましょう。

また、インターンシップ・キャリアや説明会、イベントを通じて社会人と話をし、実際の仕事の様子や企業文化を理解することも、自分に合った企業選びには不可欠です。企業規模だけにとらわれず、自分のキャリアを豊かにする企業を選ぶことで、真に充実した職業人生を送ることができるでしょう。

PROFILE

鳥羽山 康一郎(とばやま こういちろう)
静岡県生まれ。広告制作会社、外資系広告代理店にてコピーライター、クリエイティブディレクター、プランナーとして勤務後、2006年よりフリーランスとして独立。外資系マーケティング理論の知見を生かし、広告・Webライティング等を中心に執筆活動を展開中。地方取材、インタビューも得意とする。

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