【業界研究】商社とは?職種や仕事内容から向いている人の特徴まで詳しく解説!

業界・職種・企業研究

公開日:2025.09.10

【業界研究】商社とは?職種や仕事内容から向いている人の特徴まで詳しく解説!

この記事でわかること

  • 商社業界は、国内外の企業間で製品やサービスの取引を仲介するビジネスを行う業界
  • 多様な業界や国と関わるため、幅広い知識や経験を積むことができ、社会や経済への貢献度も高い
  • 多様な業務や国際取引を円滑に進められるコミュニケーション能力がある人が向いている

「商社」と聞くと「世界規模の仕事ができる」「若いうちから高水準の給与が期待できる」といった華やかなイメージをもつ就活生も多いのではないでしょうか。本記事では、商社業界の基礎知識や仕事内容から向いている人の特徴まで就活に役立つ情報をわかりやすく解説します。商社業界のリアルを知って、就活を進める際の参考にしましょう。

商社とは?2つの種類も紹介

商社とは?商社の役割

商社とは、国内外の製品やサービスを仲介して経済や産業を支える業界です。「総合商社」と「専門商社」の大きく2つに分かれています。以下でそれぞれの特徴について解説します。

■総合商社とは?

総合商社とは、原材料から製品までさまざまな商品を世界中で売買し、投資や開発にも携わる多角的なビジネスを展開する企業です。具体的には、資源開発、エネルギー、食料品、機械など幅広い分野で事業を行い、国際貿易の架け橋として機能します。

これにより、世界各国の市場に必要な商品を供給し、経済の発展に貢献するとともに、新たな事業機会を創出する役割も担っています。

■専門商社とは?

専門商社とは、特定の業界や商品カテゴリーに特化し、深い専門知識と豊富なネットワークを活用して事業を展開する企業です。電子部品、化学製品、医療機器、食品など、特定分野での商品の輸入・輸出、卸売りを行います。

特定分野における製品供給や技術的サポートを通じて、市場のニーズに応える新しい商品の開発や技術的なサポートを行い、業界の発展を支える役割を担っています。

気になる「商社とメーカーの違い」について詳しくはこちら

商社業界の仕事内容

商社業界の仕事とは具体的にどのような業務を行うのでしょうか。商社業界の仕事内容を大きく分けて2つ紹介します。

■トレーディング

総合商社のトレーディング業務は、仲介業者として需要と供給を結びつけることです。国内外から商品や資源を調達し、市場に供給します。豊富なネットワークと情報力、国際貿易の専門知識を生かして複雑な取引を円滑に進める役割を果たします。

■事業投資・企画・開発

商社業界では、事業投資・企画・開発を通じて長期的な収益拡大を図ることが重要です。事業投資では、有望な分野への出資やM&A、経営支援などを通じて新たなビジネス機会を生み出します

さらに、事業企画で市場ニーズを的確にとらえた新商品やサービスを立案し、事業開発で顧客との信頼関係を基に多様なソリューションを提供することで、持続的な事業成長を支えています。

商社業界の職種

商社業界の職種

商社業界にはどのような職種があるのでしょうか。商社業界で代表的な職種について、その役割や特徴をわかりやすく紹介します。

■営業

営業は、商社における中核的な存在であり、仕入先と販売先のニーズを結びつける職種です。国内営業では国内企業との取引調整や提案、海外営業(トレーディング営業)では海外との輸出入交渉や契約を担当します。
たとえば、素材メーカーと製品メーカーをつなぐ価格交渉や納期管理などを通じて、最適な取引の実現を図ります。

■事務

事務職は営業や海外取引を支える重要な職種です。主に営業事務と貿易事務に分けられます。

営業事務は営業活動を円滑に進めるために、電話応対や見積書の作成、資料の準備などを担当します。取引先と電話やメールでのやり取りも多く、迅速な対応力が求められます。
一方、貿易事務は輸出入業務に関わる通関手続きや輸送手配など、商社の国際取引を支える役割を担当します。海外企業や通関業者との英文メール対応や英会話力も求められます。

■事業企画

事業企画は、主に新規事業の立ち上げを担当し、企画立案や戦略立案を通じて事業の方向性を決定する職種です。マーケティングやデータ分析を基に、どの分野に進出するか、どの企業と取引するかを戦略的に決定する役割を担っています。

■物流・在庫管理

物流・在庫管理は、商品を過不足なく届けるために欠かせない職種です。輸送方法やスケジュールを調整して在庫数を管理することで、供給と需要のバランスを維持する役割を担っています。また、効率よく商品を届ける仕組みを整え、コストを抑えた物流体制によって企業の利益にも貢献します。

■ロジスティクス

ロジスティクスは、商品の調達から生産・販売までの流れを最適化する職種です。単なる輸送や保管だけでなく、商流と物流を統合的に管理して商品がスムーズに必要な場所へ届く仕組みづくりを行う役割を担っています。商社の広範なネットワークと情報力を生かして効率的なサプライチェーン(商品が消費者の手に届くまでの流れ)を構築することで、安定した物流体制を整えています。

■法務

法務は、商社の複雑かつ多岐にわたる契約や投資活動において、法的リスクを未然に防ぐ重要な職種です。契約書作成や訴訟対応に加え、国内外の法制度を踏まえたコンプライアンス体制の整備も担っています。
特に海外との取引が多い商社では、国際法やビジネス英語のスキルも必須であり、幅広い法的知識とビジネス理解の両立が不可欠です。

■人事・総務

人事・総務は、オフィス管理や備品調達、労務対応、社内イベントの運営など幅広い業務を通じて組織全体を支える職種です。社員が安心して業務に専念できる社内環境を整える役割を担います。人事では、海外拠点も視野に入れた優秀な人材の採用・配置が求められます。

商社業界の現状・動向と課題

商社業界は現在どのような変化に直面しているのでしょうか。商社業界の現状・動向と課題について紹介します。

■【現状・動向】「資源事業」から「非資源事業」へ

商社業界では、脱炭素社会の進展やSDGs(持続可能な開発目標)推進の流れから、資源事業から非資源事業への転換を強めています

資源事業:石油や金属などの天然資源の採掘・販売を主に行う事業
非資源事業:食品、医薬品、デジタル技術など、資源以外の多岐にわたる分野での事業

非資源事業は、資源価格の変動リスクを抑えて安定収益を確保できるメリットがあります。
商社業界は従来、原油や鉄鉱石などの価格変動によって業績が左右されてきたため、資源依存からの脱却は重要な課題です。
非資源分野への事業展開やサービス型ビジネスの強化など、新たな収益の柱づくりが急務となっており、各社は多様な取り組みを進めています。

■【現状・動向】DX化(デジタルトランスフォーメーション)の促進

近年、さまざまな業界で「DX化」が注目されており、商社業界でも積極的に取り入れられています
たとえば物流のDX化では、流通に関する受発注や在庫などの商流をデータ化し、分析することで需要予測の精度向上や在庫の最適化を行っています。ほかにも下記のような取り組みが注目されています。

ビッグデータの活用
商社は取引の過程で膨大なデータを収集します。これらビッグデータをリアルタイムで分析し、市場の動向、顧客の需要など、さまざまなことをより正確に予測することが可能になります。

AIの活用
商社業界では、業務をより効率的にするためにAIは欠かせない存在です。価格設定や在庫・リスク管理の最適化に加え、書類作成や市場予測まで幅広く活用されています。AI技術を向上させることで、業務負担の軽減と生産性改善に貢献しています。

デジタルプラットフォームの活用
商品やサービスを作って消費者に届けるまでの一連の流れを、関係者が情報を共有できるデジタルプラットフォームを作ることで、仕事がスムーズになり、業務の効率化やコスト削減も実現できます。

■【現状・動向】M&A(企業の合併・買収)の活発化

商社業界では事業拡大や新規顧客の獲得、経営基盤の強化を目的にM&Aが活発化しています。特に総合商社は、豊富な資本力と広範なネットワークを生かしてグローバル市場への展開や非資源分野の事業強化を進めています。異業種との連携により新たなビジネスチャンスを広げ、安定した利益を生み出す仕組みづくりが進められています。

■【課題】事業ポートフォリオの最適化

商社業界では資源価格の変動によって業績が大きく左右されるため、外部環境の変化に強い事業基盤の構築が求められます。そのためには、多様な事業を行い収益源を分散させることが重要です。

具体的には、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)(※)を取り入れ、各事業への投資配分を戦略的に見直す必要があります。商社業界においては事業ポートフォリオの最適化は、持続可能な成長を目指す上で欠かせない取り組みです。

※企業が複数の事業や商品を分析し、経営資源の分配を最適化するための手法

商社業界で働くメリット

商社業界で働くメリット

商社業界に就職することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。商社業界に就職することで得られる代表的なメリットについて紹介します。

■給与水準が高い

商社業界に就職するメリットの1つとして、給与が高水準な点が挙げられます。総合商社は取引規模が大きく多様な業界に展開して高い収益を確保しているため、利益の一部を社員に還元する体制が整っています。

また、新卒採用される人材には、高いコミュニケーション能力や国際的な感覚が求められるため、これを反映して給与水準も高く設定されます。これは、優秀な人材を確保し、長期にわたって企業に貢献してもらうための戦略としても機能しています。

■グローバルなビジネスを経験できるチャンスが多い

国内だけでなく、海外で働くチャンスが多いのが商社業界の特徴です。海外勤務の場合、現地の外国人だけでなくほかの国から派遣されてきた競合他社のスタッフと顔を合わせることも珍しくありません。
国際的な舞台で自分の力を試したい方にとって、グローバルに人脈が広がる点は大きな魅力といえるでしょう。

■スケールの大きなビジネスに携われる

商社業界ではスケールの大きなプロジェクトに携われる点が大きな魅力です。たとえば、エネルギーやインフラなどの大型案件を通じて、日本の産業や人々の生活を支えることができます。

他業界では味わえないダイナミックな経験ができる上、責任も大きいため達成感も得られやすいです。大規模なビジネスに挑戦したい方にはやりがいを感じやすい業界でしょう。

■多様なビジネススキルを習得できる

商社で働くことで多様なビジネススキルを実践的に習得できます。商社は「事業のプラットフォーム」として幅広い業界に関わるため、業界を超えた視点でのスキルアップが可能です。

取引先との関係構築や新規投資、仕入れ交渉などを通じて、コミュニケーション力や交渉力、リーダーシップが自然と磨かれます。第一線の現場で成長したい方に最適な環境です。

商社業界で働くデメリット

商社業界に就職することには多くの魅力がありますが、一方で注意しておきたい側面も存在します。商社業界で働く際に考慮すべきデメリットについて紹介します。

■柔軟な働き方が求められる

商社業界では柔軟な働き方が求められるため、生活スタイルが不安定になりやすい点がデメリットといえます。時差のある国とのやり取りで勤務時間が不規則にある場合もあります。さらに、国内外の多くの取引先と関わる中で海外出張や転勤が発生するケースも少なくありません

グローバルに活躍できる一方で、こうした働き方に適応する力が必要とされるため、それを負担に感じる人もいるでしょう。

■成果主義を負担に感じる可能性がある

商社業界では成果主義の傾向が強く、結果を出すことが強く求められます。商社のビジネスは高額かつ高リスクなものが多く個人の成果が企業の利益に直結するため、評価も実績ベースで行われがちです。

成果次第では早期昇進のチャンスもありますが、結果を出せなければ評価が停滞することもあります。実力次第で成長できる魅力的な環境である一方、成果へのプレッシャーが大きい点は理解しておきましょう。

商社業界の就活の進め方のポイント

商社業界の就活の進め方のポイント

商社業界を目指す上で、どのように就活を進めればよいか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。商社業界ならではの特徴を踏まえた就活のポイントについて解説します。

■自己分析を深める

商社業界の就活では、自己分析を深めることが成功への第一歩です。自己分析により自分がどの職種に興味があるのかを理解することで、将来歩みたいキャリアの方向性が見えてきます。その上で商社業界の役割や強みを理解し、なぜほかの業界ではなく「商社業界」を選ぶのかを言語化できるようにすることが大切です。

また、商社業界ではコミュニケーション能力や論理的思考力など幅広いスキルが求められるため、自分の強みがどの場面で生かせるかを具体的に考えることが重要です。自己分析する際は、以下のような観点を意識しましょう。

自己分析する際の観点
・自分の強み/弱みはどこか
・自分の価値観や大切にしたい働き方
・商社業界のどのような部分に興味があるか
・キャリアイメージ

自己分析が不十分だと入社後にミスマッチが起こるリスクもあります。自己分析を徹底することで、企業選びや選考対策に説得力が生まれて納得のいく就職につながります。

下記の記事で自己分析の具体的なやり方を解説しているので参考にしてください。

【就活における自己分析のやり方10選】それぞれわかりやすく図解!

【就活における自己分析のやり方10選】それぞれわかりやすく図解!

「就活の自己分析ってどうやって進めればいい?」そんな悩みを抱えている就活生も多いでしょう。自己分析は就活の最初の段階で取り組むべき重要な作業です。本記事では、就活におけるおすすめの自己分析のやり方10選をご紹介します。…

■業界・職種・企業研究を徹底する

商社業界は「人」が介在するビジネスが中心のため就活では人物重視の傾向が強く、自己PRや志望動機の深掘りが重要です。たとえば、志望動機では、なぜメーカーではなく商社なのか、なぜその企業なのかを明確に伝える必要があります。そのためには、自己分析だけでなく業界・職種・企業研究を徹底し、自分のスキルや経験が商社ビジネスにどう貢献できるかを整理しておくことが大切です。

まず業界研究では業界地図や四季報、専門誌などを活用して商社業界全体の動向やビジネスモデルを理解しましょう。商社業界特有のグローバルな動向や投資活動を把握するためには、企業の公式サイトや業界ニュースのチェックも欠かせません

職種研究では、職種ごとの業務内容や求められるスキルを調べることで、自身が興味のある職種を見極められます。また、志望企業の公式サイトや就職情報サイト、OBOG訪問などを活用し、企業研究することでその企業の価値観と自分がマッチしているか、理想のキャリアを実現できるか判断しやすくなります。

■インターンシップ等に参加する

商社業界を目指すなら、インターンシップへの参加は就活を有利に進める有効な手段です。実際の業務を体験することで、自分の適性や職場の雰囲気を把握できて将来の働き方も具体的にイメージしやすくなります。早めに情報を集めるためにも積極的に参加しましょう。

また、より気軽に参加できる手段として、オープン・カンパニーキャリア教育も有効です。オープン・カンパニーとは企業が業界や自社に関する情報を提供するプログラムです。キャリア教育とは企業や大学が学生さんの今後のキャリアを考える機会を提供するプログラムです。どちらも大学1・2年生から参加できるため、早期の業界・職種・企業理解に役立ちます。

『キャリタス就活』の「インターンシップ・キャリアを探す」では、こだわり条件に絞ってインターンシップ・キャリアを検索できます。自分の希望に合った企業を効率よく探せるため、就活の第一歩として最適です。下記リンクから気になる企業の情報収集や比較を行い、納得感のあるインターンシップ選びに役立てましょう。

■資格の取得やスキル習得を目指す

商社業界で働く上で必須の資格はありませんが、選考や実務で有利になる資格やスキルは存在します。特に国際的な取引が多い商社業界では英語力が重要視されるため、TOEICは800点以上(可能であれば900点)を目指すことが望ましいです。問題集を繰り返し解いたり、日常的に英文を読む習慣を取り入れたりするのもTOEICの点数アップに有効です。

また、英語だけでなく会計・財務系の資格もおすすめです。簿記の知識も商社業界全般に役立つため資格取得を目指しましょう。事務職を志望する場合はExcelやWordなどの基本的なパソコンスキル、営業職では高いコミュニケーション能力など職種によって求められるスキルは異なります。

自分が目指す職種や企業の方向性が明確になった段階で、それに合った資格やスキル習得に取り組むことが、就活をより有利に進めるポイントです。

【実例】商社業界で働いている先輩たちの声

商社業界で実際に働く人は、どのようなやりがいや働き方を感じているのでしょうか。商社業界で活躍する先輩たちの実例を紹介し、仕事のリアルな一面を紹介します。

商社業界で働く先輩の声①

商社業界で働く先輩の声①

入社前の商社業界のイメージは体育会系でハードな環境と思っていました。しかし、実際は部下の気持ちに寄り添ってくれる優しい上司の方ばかりでした。ただ厳しいだけではなく、周囲のサポートの中で成長できる、風通しのよい職場だと感じています。
また、「社員目線の取り組みが多い」と感じることが多いです。軽食の無料配布など、社員たちが働きやすい職場が整っています。

商社業界で働く先輩の声②

商社業界で働く先輩の声②

若手の内から海外での業務に挑戦することができましたが、言語や文化の壁に戸惑う日々でした。それでも、専門知識の勉強を重ねて現地スタッフと議論を重ねることで成果が出てくるようになりました。
その結果、現地の市場理解や最新技術の知識が深まり、翌年には新たなビジネス構想にも結びつきました。険しい困難を乗り越えた分、成長とやりがいを強く感じています。

『キャリタス就活』の「企業を探す」では、業種や職種に絞って企業を検索できます。企業ごとの事業や仕事内容、職場環境についての情報を掲載しているので、職場の雰囲気や働き方を理解するのに役立つでしょう。ぜひご活用ください。

また、下記の記事では実際に商社業界で働く先輩のインタビューを掲載しています。商社業界への就活を進めるポイントや入社後のギャップなどリアルな情報を知れるので、ぜひご覧ください。

今、後輩に伝えたいこと「働く前と今のギャップは、社会人って思っていたより楽しい」──第2回:伊藤忠商事株式会社

今、後輩に伝えたいこと「働く前と今のギャップは、社会人って思っていたより楽しい」──第2回:伊藤忠商事株式会社

企業で活躍している若手社員から、"就職活動の先輩"としてご自身の就職活動を振り返った上で学生の皆さんへのアドバイスや、社会人になって気づく企業の見方・キャリア形成についてお伺いするこの企画。現在、伊藤忠商事株式会社に勤務する横澤春生さんに入社前後で感じるギャップについてお話をお聞きしました。…

商社業界に向いている人の特徴とは?

商社業界に興味があるものの、自分に向いているかどうか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。商社業界に向いている人の特徴や適性について紹介します。

■コミュニケーション能力が高い

商社の営業職では、コミュニケーション能力の高さが重要です。商社では高額な取引を扱うため、取引先との信頼関係の構築が業務の成果に直結します。相手のニーズを正確に把握し、円滑なコミュニケーションを行い、良好な関係を築くことが求められます。

人と接することが得意であり、年代や立場を問わず臆せずにコミュニケーションが取れる人は商社業界に向いているといえるでしょう。

■問題解決能力がある

商社業界で活躍するには問題解決能力が不可欠です。プロジェクトの進行中には予期せぬトラブルが発生することもあり、そうした状況でも冷静に判断し迅速かつ的確な判断が求められるためです。

困難な課題でも問題を分析して最適な解決策を見つけ出して行動ができ、結果が出るまで粘り強くやり遂げる人は商社業界に適しています

■柔軟性・ストレス耐性がある

常識にとらわれず柔軟に物事を考えられる人も、商社業界への就職に適しています。商社業界の仕事では、国内外を行き来したり、企業間の連携業務など、業務や環境の変化に臨機応変に対応する場面も多くあります。

また、責任の重い仕事にストレスやプレッシャーを感じる可能性もあるため、心身ともに健康で、「タフさ」をもち合わせている人が向いているといえます。

日本の7大総合商社

「ラーメンから航空機まで」の言葉で知られ、ありとあらゆる商材を手掛けるのが「総合商社」です。その総合商社の中でも、三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、丸紅、住友商事、豊田通商、双日は「7大総合商社」と呼ばれています。

■三菱商事

1950年設立、国内に11カ所、海外に104カ所拠点をもつ総合商社。世界約1,200社のグループ会社と協働し、天然ガス、素材、化学、金属、インフラ、自動車、食品、消費財、電力、都市開発など幅広い事業を展開しています。単なる貿易会社ではなく、パートナーと協力し、世界中の現場で開発・生産・製造にも携わっています。

創業以来の社是である「三綱領」を拠り所に、公正で健全な事業活動を推進しています。

■伊藤忠商事

1858年に初代伊藤忠兵衛が麻布(あさぬの)の行商で創業し、1949年に設立された総合商社。現在は世界59カ国に約90の拠点をもつ大手総合商社として、繊維、機械、金属、エネルギー、化学品、食料、住生活、情報、金融の各分野において国内、輸出入および三国間取引を行うほか、国内外における事業投資など、幅広いビジネスを展開しています。

近江商人の経済哲学「三方よし」の精神を企業理念に掲げています。

■三井物産

1876年に三井財閥の支援を受けて創業、1947年設立の歴史ある総合商社。世界62カ国に124拠点をもちます。金属資源、エネルギー、プロジェクト、モビリティ、化学品、鉄鋼製品、食料、流通事業、ウェルネス事業、ICT事業、コーポレートディベロップメントの各分野において、全世界に広がる営業拠点とネットワーク、情報力などを生かし、多種多様な商品販売とそれを支えるロジスティクス、ファイナンス、さらには国際的なプロジェクト案件の構築など、各種事業を多角的に展開しています。

「挑戦と創造」の理念を掲げています。

■丸紅

1949年設立の世界126拠点を構える総合商社。丸紅および連結子会社は、国内外のネットワークを通じて、ライフスタイル、情報ソリューション、食料、アグリ事業、フォレストプロダクツ、化学品、金属、エネルギー、電力、インフラプロジェクト、航空・船舶、金融・リース・不動産、建機・産機・モビリティ、次世代事業開発、次世代コーポレートディベロップメント、その他多角的に展開しています。また、サステナビリティへの取り組みを強化しています。

社是「正・新・和」の精神に則り、公正明朗な企業活動を通じ、経済・社会の発展、地球環境の保全に貢献する、誇りある企業グループを目指しています。

■住友商事

1919年設立、63カ国に127拠点をもつ総合商社。全世界に展開するグローバルネットワークとさまざまな産業分野における顧客・パートナーとの信頼関係をベースに、多様な商品・サービスの販売、輸出入および三国間取引、さらには国内外における事業投資など、総合力を生かした多角的な事業活動を展開しています。

「住友商事グループの経営理念・行動指針」の原点は、創業以来約400年にわたり脈々と受け継がれてきた「住友の事業精神」にあります。

■豊田通商

1948年設立、約130カ国・地域に拠点をもつ総合商社。モビリティ分野を基盤に、ネクストモビリティ、再生可能エネルギー・エネルギーマネジメント、アフリカ、循環型経済、バッテリー、水素・代替燃料、Economy of Lifeなど8つの重点領域を中心に事業成長を推進しています。

「人・社会・地球との共存共栄を図り、豊かな社会づくりに貢献する価値創造企業を目指す。」を企業理念に、代替不可能・唯一無二の存在になることを追求し続け、実現を目指しています。

■双日

2003年設立、46カ国に88拠点をもつ総合商社。自動車、航空・社会インフラ、エネルギー・ヘルスケア、金属・資源・リサイクル、化学、生活産業・アグリビジネス、リテール・コンシューマーサービスの7つの事業を展開しており、国内外での多様な製品の製造・販売や輸出入、サービスの提供、各種事業投資などをグローバルに多角的に行っています。

「誠実な心で世界を結び、新たな価値と豊かな未来を創造します。」を企業理念に、常に新しい価値を創造し続けていくことを目指しています。

※上記は2025年8月現在の情報です。

商社業界に関するよくある質問

■Q.商社とメーカーの違いは?

A.「商品の販売」で共通点のある商社とメーカーですが、その役割は異なります。大まかな違いは以下のとおりです。

メーカー:製品を企画・開発し、製造、販売までを自社で担う
商社:製品の流通を担い、取引仲介や販路開拓、営業支援を行う

メーカーは製品の企画・開発・製造・販売を担い、商社は製品の流通や営業支援を通じて取引先をつなぐ役割を果たしています。ただし、商社が製造を行うケースや、商社を介さずに事業展開するメーカーもあるため、企業ごとの特色を理解することが大切です。

■Q.商社業界の年収はどのくらい?

A.商社業界の商社営業職の平均年収は約620万円(出典:就職情報提供サイト)と高く、全業界の中でも上位に位置します。「7大商社」と呼ばれる企業に就職すれば、年収1,000万円を超えるケースも珍しくないでしょう。

年収が高い理由は、海外を含む幅広いビジネス展開や、高度な交渉力・専門性が求められる点が挙げられます。また、商社は自ら在庫をもたないため、コストを抑えつつ高収益を確保できるのも一因です。

■Q.総合商社の売上高ランキングは?

A.総合商社の売上高ランキング(2024年12月時点の情報)は、1位は三菱商事で約20兆円、2位は伊藤忠商事で約14兆円、3位は三井物産で約13兆円、4位は豊田通商で約10兆円、5位は丸紅で約7兆円です。これらの商社は資源・エネルギー・食品・インフラなど多岐にわたる分野でグローバルに事業を展開し、世界経済に大きな影響を与えています。

『キャリタス就活』の「業界MAP」では、ひと目で企業の得意分野や売上がわかるため業界研究に役立ちます。この機会に活用してみましょう。

■Q.商社業界は転勤が多い?

A.商社は全国や海外に拠点をもつため、総合商社で働く場合は国内外問わず転勤が多い傾向があります。都市部だけでなく地方都市や特定の地域に配属される場合もあります。グローバルな環境で事業を展開する商社業界では、転勤先でも柔軟に対応できる力が求められます。

商社は世界規模でビジネスチャンスのある業界!

商社業界はグローバルに活躍できる機会が多く、比較的高い年収も期待できる魅力的な業界です。一方で、成果主義の傾向が強く、求められる能力の水準も高いため、自分の強みや価値観と向き合うことが重要です。この記事を参考に自己分析や企業研究をしっかり行い、納得のいく就活を目指していきましょう。

仕事のイメージをつかむためにも、ぜひインターンシップ・キャリアに参加してみてください。オープン・カンパニーは全学年を対象としているので、大学1・2年生の方も『キャリタス就活』で参加できるプログラムを探してみましょう。

『キャリタス就活』では学生の皆さんが安心してキャリア選びに臨めるよう、多数の企業情報やサポートを提供しています。特に就活の悩みを解決する「就活成功ガイド」では業界研究や面接対策など就活に役立つコンテンツを豊富に取り揃えています。あなたの就活にぜひ『キャリタス就活』をご活用ください。

キャリタス就活編集部

PROFILE

キャリタス就活編集部
『本音をきく、本気でこたえる。』をテーマに、就職活動・就活準備をがんばる皆さんに向け、インターンシップ・キャリア情報やES・面接対策など、さまざまなシーンに役立つ情報をお届けしています。
「面接がうまくいかない」、「そもそも就活って何からはじめるべき」など、皆さんの本音に寄り添った記事を配信しておりますので、ぜひこの機会にご活用ください。

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