今、後輩に伝えたいこと「働く前と今のギャップは、社会人って思っていたより楽しい」──第2回:伊藤忠商事株式会社

体験談・インタビュー

公開日:2024.03.13

企業で活躍している若手社員から、“就職活動の先輩”としてご自身の就職活動を振り返った上で学生の皆さんへのアドバイスや、社会人になって気づく企業の見方・キャリア形成についてお伺いするこの企画。現在、伊藤忠商事株式会社に勤務する横澤春生さんに入社前後で感じるギャップについてお話をお聞きしました。企業のホームページや就職情報サイトではあまり聞くことのできないリアルな声をお届けします。

横澤 春生(よこざわ はるお)
住生活カンパニー 建設・不動産部門 建設第一部 建設第二課
※内容および社名・所属等については取材当時のものとなっております。

自分の仕事が地図に載るやりがい

──横澤さんのお仕事について教えてください。

デベロッパーの仕事に近いのですが、簡単に説明すると不動産を購入し、その不動産上に建物開発という手段を通して価値を付加し、開発完了時に売却するという仕事です。関わる分野が広いのも特徴で、オフィスビルやホテル、老人ホームやホームセンター、学生寮なども扱っています。

──仕事のやりがいについて教えてください。

自分が関わった仕事が地図に載ったりすることは嬉しいですね。また任せてくれる範囲が広いので、やる気があれば多くの責任と機会を与えられる会社なのでやりがいを感じます。

そんな社風だということもあり、ここにホテルがあったら良いとか、ここにオフィスビルがあったら良いとか、古いオフィスをリノベーションするためにはどうしたら良いかなどを常に考えています。依頼された仕事をこなすだけではなく自分から仕事を作りに行けるのも楽しいポイントです。

戦略的に進めた就職活動

──就活を始めた時期や活動内容について教えてください。

大学3年生の7月まで半年間スペインに留学していました。帰国してから就活を始める予定だったため、現地からネットで事前にインターンの情報などを調べて申し込みを行い、帰国後にインターンに参加し始めました。

最初の頃、業界など絞らず幅広く探していた時にはITや金融業界などを見ていました。扱うものが具体的な商材に絞られてしまうと興味を失うのが早いタイプなので、幅が広そうな業界ということで商社も見始めました。

──どのように業界研究や企業研究をしていましたか?

OB・OG訪問を中心に企業研究を行っていました。コーポレートサイトや採用サイトに書いてある内容は調べた上で、説明会などでも情報収集した後は、自分が入社してからやりたいことをベースに、自分の働き方・キャリアプランなどについて仮説を立て、それをOB・OGに確かめるということをしていました。

──OB・OG訪問では何名ほどの方とお話しされましたか?

各部署の方と会い、合計10人くらいしました。最初は大学のキャリアセンターで名簿から探しまして、その後訪問した方に「この部署の方に話を聞きたいから紹介してください」と数珠つなぎ的にお願いしましたね。

──就活中は何をアピールしていましたか?

エピソードよりは、話し方や話す内容に一貫性があるか、間違ったことは言っていないかを意識しました。私は理系の院生でもなく、起業経験があるわけでもないので、「何ができますか?」と聞かれたら「何もできない」と答えるしかないので。

「こう思います」と言っても面接官の方に「それは違うよ」と言われたらそれまでなので、相手が否定できないこと、例えば「このようにがんばりたいです」や「こういう風になった時はこんなメンタリティでやります」というように、相手が否定できない自分の意見を伝えていました。

──伊藤忠商事に入社を決めたポイントはどこですか?

当社の冬のインターンシップに1週間ほど参加して、一緒に受けている人たちと価値観が合い、楽しかったのが決め手の1つです。どの会社に行っても、誰と一緒に仕事をするかが大事だと思ったんです。あくまで個人的な考えですが、他社では遠くに自分の長期的な目標を強く持っている人が多い印象で、当社は目の前にある仕事にとりあえず全力で取り組もうという人が多い印象でした。

そして全力で取り組んだ先にちょっと大きい課題が出てきて、レベルアップした自分がまた全力で取り組んでいく、というスタイルが自分の今までやってきたスタイルと合っていると思ったんです。

毎回違う人と違うことやりたいという想いもあり、それが実現できそうと思ったのも決め手の1つです。

入社して感じたこと

──入社前と入社後で会社に感じたギャップはありましたか?

そうですね、1つ当社は「社員目線の取り組みが多い」と感じることがあります。小さなエピソードとして働き方改革の一貫で、「朝型勤務」を推奨していて、午前8時までに出社した社員に軽食を無料で配ってくれるんです。3品まで選べるのですが、最初はパン、おにぎり、バナナだったのが、季節商品やおすすめ商品、最近はスープまで社員が飽きないように工夫がされていることを感じます。私も朝食を目当てに出社することで結果的に朝型になりました。

そして、入社前は超体育会系でハードな環境だと思っていましたが、皆さん部下の気持ちに寄り添ってくれる上司ばかりで良い環境だと思っています。商社ってそんなイメージがあるかもしれませんが、悪い風習は淘汰されています。

──「就活中にもっとこうすればよかった」と思うことはありますか?

他の業界の話をもっと聞けばよかったと思います。うちのインターンシップに参加してからは業界を総合商社に絞ってしまいましたが、なかなかない機会なので学生の時期だからこそ、デベロッパーやコンサル、スタートアップなど、いろいろな業界の方に話を聞けばよかったと思います。また自社においても第一志望の部署の話ばかり聞いていましたが、もっと万遍なくいろいろな部署の話を聞いておけば良かったと思います。

──学生の時と今とで感じる仕事に対するギャップがあれば教えてください。

仕事って思っていたより楽しいですね。私の場合はプロジェクトをマネジメントする立場なので、自分で設計したり工事ができるわけではありません。ただ私が先導をきりながら関係者のとりまとめや方向性の共有を行い、皆さんと良いものを作っていけることが楽しいです。

早めに就活の「軸」を定めることをオススメします。

──就活生へのメッセージをお願いします。

早めに志望動機、就活の「軸」を定めておくことですね。私は就活をピラミッド構造のように捉えていて、まず土台となる就活の軸を決める。その上で業界選びの軸に合致する業界を探し、その中から企業選びの軸に合致している企業を選んでいこうと考えていました。

結局、志望動機の根幹に当たる部分が定められていないと面接で支離滅裂なことを言ってしまうことになると思っていたからです。

面接で話すことを全て深掘りしていくと、志望動機に行き着きます。面接で自分が言っていることが間違っていないか、一貫性を持てているかを担保するためにも軸が早めに定まっていることが大事だと思います。あとは自分が言いたいことをいかに早くブラッシュアップできるかも重要ですね。

PROFILE

中尾 あずさ
大学卒業後、新卒で旅行会社にて営業・海外添乗員を経験後、大手人材会社へ転職。営業・人材育成・研修講師を行う。その間、アルバイト→契約社員→正社員→時短勤務と様々な勤務形態を経験。在籍中に3人の子供の出産・育児休暇を経て仕事と子育てを両立。2011年にキャリアカウンセラー(CDA)資格を取得。副業にてトータル3500人の相談業務に従事し独立。高校、大学でエントリーシートの添削や面接対策、進路相談など就職活動支援や就業中の方へのキャリアコンサルティングを実施。

【主な資格】
・キャリアカウンセラー CDA(キャリア・ディベロップメント・アドバイザー)
・国家資格キャリアコンサルタント
・青山学院大学社会情報学部ワークショップデザイナー
・育休後アドバイザー

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