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今、後輩に伝えたいこと「自分が夢中になれることを見つければ、やりたいことが見えてきます」 ──第1回:NHK(日本放送協会)

体験談・インタビュー

公開日:2024.01.16

社会人になった今だから言える、就活生へのメッセージやアドバイス。「今、後輩に伝えたいこと」は、社会人の先輩から後輩へ向けて伝えたいリアルな声を取材してお伝えするシリーズ。今回登場するのはNHK(日本放送協会)松山放送局の宮本真智アナウンサーです。就活での悩みや緊張のほぐし方、やりたいことの見つけ方、自分の就活への反省点についてたっぷり語ってもらいました。

宮本真智(みやもと まち)2019年NHK入局後、鹿児島放送局勤務。2022年松山放送局に異動。

※内容および社名・所属等については取材時点のものとなっております。

「絶対アナウンサーになる」小学生から変わらぬ想い

──自分のキャリアプランを考え始めたのはいつ頃でしたか?

アナウンサーになろうと思ったのは、小学5年生くらいの時です。当時好きだったアイドルに会える仕事につきたい!と思ったことがきっかけでした。動機は不純でしたが、そこからは目標に向かってまっしぐら。どうしたらなれるのかと一生懸命考えました。思いついたのはアナウンサーを多く輩出している大学に入ること。そのためにはまずその大学に指定校推薦で入学できる高校に入ろうと考えました。今にして思えばそんなに早くからがんばらなくてもよかった気もしますが、高校受験は就活の次くらいがんばりました(笑)

高校では部活も放送部を選びました。「NHK杯全国放送コンテスト」という大会があり、そこで優勝・準優勝すると選抜高校野球の開会式で式典の進行係という大役を任されることになっていました。でも惜しくも3位で終わり、その望みは叶えられませんでした。高校野球を観るたびに、あのとき届かなかったという悔しさがあって、いつか甲子園で仕事がしたいと思うようになりました。

──もともと野球にも興味があったのですか?

家族が熱心なスポーツファンで、夏のテレビは昼間は高校野球、夜はプロ野球という毎日で、その影響があったと思います。通っていた高校の野球部が県大会で決勝まで進んだので、その夏は応援に通いました。あらためて、「いつかアナウンサーになってこのスタンドの熱狂を伝えたい!」と思いました。

──大学でもアナウンサーになることを意識していましたか?

はい、放送系のサークルに所属していました。大学とは別にアナウンススクールにも通っていたので、周りにアナウンサー志望の人が多く、とても刺激を受ける環境でした。民放の番組やイベントの仕事のオーディションに合格して、大学1年から4年間続けました。

ともにアナウンサーを目指す仲間とは切磋琢磨する、いい関係だったと思います。就活以外でも友人として心の支えになってくれました。

──インターンシップは参加しましたか?

はい。いち早く始まった民放のインターンシップに参加して、採用されるために本格的にがんばろう、と気持ちがギアチェンジして、実質そこから私の就活がスタート!という感じでした。

私が大学3年生の時に、運よくNHKもインターンシップを始めました。…しかし、書類審査で不合格となり、参加はできませんでした(笑)。

*宮本さんはアナウンススクールに通っていましたが、アナウンススクールには行かずにNHKのアナウンサーになる人も大勢います。

強い想いで乗り越えられた面接

──アナウンサー以外の職種や他の業界の採用試験は受けなかったのですか?

放送業界以外は受けませんでした。でもディレクターなどほかの職種は受けました。アナウンサーに本当になれるのか、という迷いや不安の中で何をしたらいいか本当にわからなくて。アナウンサー一筋で貫き通せたわけではありませんが、なんとかここまで来られました(笑)。

──就活時代の思い出を教えてください。

今までの人生の中で、一番つらかったのが就活だったかもしれません(笑)。不採用の通知を受け取ると、自分の人格を全否定されているような気持ちになって。アナウンサーの面接は独特で、カメラを前にスタジオで受け答えするテストもあります。想定にないような質問にも冷静に対応することが求められます。

アナウンス能力よりもその局との相性や雰囲気が見られているのではないかと感じたこともありました。自分の努力や積み上げてきたものが、ちゃんと評価されているのか、不安になることもありました。…今から考えるとそんなに心配しなくてもよかったんですが。

──くじけそうになった時、どのように克服しましたか。

一緒にアナウンサーを目指して努力する友人たちがいたからがんばれたと思います。あとは、「絶対にアナウンサーになる」という、10年間持ち続けてきた強い気持ちですね。自分がアナウンサーになるために費やしてきた時間は支えになりました。家族の応援もあり、なんとかつらい時期を乗り越えられたのだと思います。

たどりついた甲子園のアルプスリポート

──社会人になってからは思い描いていたキャリアプラン通りですか?

正直、就活の時にはあまり具体的なキャリアプランまで描けていなかったと思います。今から思えば面接でも漠然としたことを話していた印象です。でも今は、「人生の中に仕事がある」と、仕事のイメージをよりクリアに考えられるようになりました。特に働く場所が変わる転勤を経験してからは、自分がやりたい仕事をできるようにするためにはどんな努力をすればいいかを考えるようになりました。

──今まででいちばん印象的な仕事はなんですか?

やはり甲子園での仕事です。高校時代から甲子園には特別な思いがあり、就活の時も「甲子園でアルプスリポートをやりたい」と言っていました。それが、去年の夏、ようやく叶いました。さらに今年は開会式の実況まで任せてもらえました。ずっと願い続けて、周りに言い続けていたことが実現したことは、今後、アナウンサーを続けていくうえでとても励みになると思います。スポーツキャスターとしてスキルを磨き、大きなスポーツの試合を伝えるという目標があります。趣味で続けてきたいろいろな競技の観戦が、ここ1、2年で増えてきたスポーツ取材の現場でも活かされている感覚があります。

「感謝」することでプレッシャーを軽く

──入局して5年目の今だからこそ気付いたことはありますか。

ベクトルが自分から他者に向いてきたことです。取材相手や一緒に仕事をする人のことをまず考えるようになりました。初めての土地で不安な中、地域で暮らす様々な人に取材で話を聞いたり、職種を超えたメンバーで一つの番組を作ったり、悩んだ時には全国各地の同期の姿が支えになったり…周りの人から力をもらってきたことが今の自分につながっていると思います。失敗した時も、周囲の存在を感じていると孤独に悩むこともなくなりました。

──就活中も今もプレッシャーを感じることは多いと思いますが、そのはね返し方はありますか。

まず、就活中に実践していたのは「全ての人と物に感謝する」ことです。面接官も時間を使ってわざわざ私の話を聞いてくださっている。私がここにたどり着くまでいろいろな方が応援してくれた。電車が遅延しなかったから時間通りにここに来られた…。あらゆるものに感謝すると、自分はここにいられるだけで本当にありがたいというマインドに変わります。すると自然と気が楽になって、相手に敬意を払いながら話ができます。その方法を見つけてから、面接がとてもうまく行くようになりました。

──肩の力が抜けてくるのでしょうか。

ありがとう、という気持ちで喋ることができるから、素直になれるような気がします。はじめは自分自身にだけベクトルが向いているから、緊張するしプレッシャーを感じるのですが、それを相手や他者に分散していくと、自分への圧がかからなくなります。これは仕事でも同じです。ニュース番組なら「このニュースを誰に届けたいのか」、ゲストがいる番組なら「来てくださったゲストにどんな話をしてもらうか、ゲストのよさをどう引き出すか」と考えます。ゲストと話をするだけでもベクトルがその方に向くので、自分の緊張はだいぶ減らせると思います。

──面接の時、うまくわかりやすく伝えるノウハウはありますか。

説得力を高める方法として、一文を短くすることです。その際、起承転結を意識して短くするのがコツだと思います。自分の中で何を話すか整理しておくのが大切です。もうひとつは、自分の軸を持つこと。私の場合は「がんばっている人を応援するアナウンサーになりたい」という軸なのですが、それを持つことで、話があちこちに行ったとしてもそこに必ず帰って来る、ということを意識できました。

視野を広げれば見えてくる、やりたいこと

──就活生に対して、学生の間に「これはやっておいた方がいい」ことは何でしょう。

目指している業界や職業だけでなく、視野を広げて見てほしいということです。一つのことだけ見ていると、うまく行かなかった時、本当につらいんです。だからそこだけがゴールじゃない、それだけが正解じゃないことをわかっているだけでも、気が楽になると思います。視野が広い方が、より多くのことを吸収できます。私自身は、もっと他のことを知っておけばよかったと思っています。

──就活準備を始めたばかりの学生の皆さんに対してはどうでしょう。

「自分の好きなことを大事にしてほしい」とすごく思います。自分で好きなこと、夢中になれることを見つけておく。その経験があるだけで、人と生き生きと話ができます。自分の好きなことを優先できる仕事を選ぶという考え方もアリだと思います。例えばアイドルのライブに行きたいから土日は絶対に休める会社、いろいろな土地に住みたいから全国転勤のある会社、逆に東京にずっと住みたいから転勤のない会社…、そんな選び方もあると思います。自分のことをよく考え、そんな生活をしている自分を想像してみてはどうでしょうか。

──仕事をして見えてくるものは何だと思いますか。

私は、人と話すことが好きなんだと改めて思いました。放送前にゲストの方と話しているのを見たプロデューサーやディレクターから、「人の心をほぐすのがすごく上手だね」と褒められたことがあります。私自身はただその方と話したかっただけだったんですが、そういう見方もあるのかと驚きました。

もしかすると、人の心を開く営業の仕事にも向いていたかも(笑)。就活中は、自分の目指すものだけを見てしまいがちで、自分自身の可能性に気づきにくいかもしれません。でも、人生が大きく変わるタイミングなので、一歩離れて、自分を見つめ直すと、これまでと違ったものが見えてくるかもしれません。そうやって気を楽にしてもらえればいいな、と思います。

PROFILE

鳥羽山 康一郎(とばやま こういちろう)
静岡県生まれ。広告制作会社、外資系広告代理店にてコピーライター、クリエイティブディレクター、プランナーとして勤務後、2006年よりフリーランスとして独立。外資系マーケティング理論の知見を活かし、広告・Webライティング等を中心に執筆活動を展開中。地方取材、インタビューも得意とする。

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