「選考フロー」をおさらい!基本から学ぶ新卒就活ステップ

ES・選考対策

公開日:2023.08.22

「選考フロー」をおさらい!基本から学ぶ新卒就活ステップ

就活準備を進める中で、「選考フロー」という言葉が頻繁に登場します。何となくわかるけれど、具体的なステップや順番、それぞれの意味などを今ひとつ把握できていない方も多いのでは?就活のプロセスで、選考フローを把握することは非常に重要です。この記事では、就活に向けて知っておきたい選考フローの基礎知識、各ステップの概要をわかりやすく解説します。エントリーから書類選考、面接選考、最終的な内定まで、一連の選考プロセスがどのように進行するのか、その流れをしっかりと把握しましょう。これからの就活戦略を練る手助けになるに違いありません。

そもそも選考フローとは?

選考フローは、優秀な人材を採用するために企業が設けたプロセスです。一般的に採用選考は、エントリー⇒エントリーシート提出⇒書類選考⇒適性検査⇒面接というステップを踏んで進行していきますが、例えば面接にもさまざまな種類がありますし、そこへ至るまでに準備しておかなければならないことや知っておくべきこともたくさんあります。

つまり、こうした選考フローの各ステップで求められるスキルや対策を理解し、同時に自分自身のアピールポイントを最大限に活かすことができるよう準備し対策を取っておくことが大切です。ここでは、一般的な就職活動を例に取って解説していきます。

ステップ1:興味を持った企業へのエントリー

選考フローの最初のステップが「エントリー」。興味を持った企業に対して就職情報サイト等から意思表示を送ることを意味します。企業によっては「プレエントリー」と呼ぶ場合もあります。これによって企業説明会、選考スケジュールや面接の予約といった選考に関する情報が送られてくるようになります。企業との公式の接点がここから始まり、本格的な就活が動き出します。

■エントリーはいつ解禁に?

「エントリー解禁日」とは、政府が日程を決めて経済団体・業界団体等に要請している、新卒採用のエントリー受付日を指します。この日を境に、企業は新卒採用に関する広報活動を本格的に開始します。25卒(2025年3月卒業予定の学生)の場合は、2024年3月1日となっています。

ただし、これはあくまでガイドラインで、一部の大手企業や官公庁は政府の要請に従って解禁日を守っていますが、それよりも前(学部生なら3年次)から選考をスタートしている企業もあるため、事前に各企業の採用情報を確認することが重要です。

エントリー後に、企業から採用マイページの案内や応募詳細が送られてきます。1社から複数のメールが届くため、全体としてかなりの数のメールで混み合うこととなります。志望度の高い企業からのメールが埋もれてしまわないよう、常にチェックをしてください。

ステップ2:ESの提出、そして書類選考

次のステップでエントリーシート(ES)や履歴書を提出し、本エントリーは完了。それらを元に、書類選考が行われます。採用する企業側は、応募者の経歴やスキル、志望動機などを書類に基づいて評価し、選考を進めます。書類選考を通過する「強い」書類とは、自己分析や志望動機や将来のビジョンが明確で、自己PRポイントがしっかりと整理されているものです。これらに自身の経験やスキルを具体的に盛り込むことで、通過率を高めることができます。

また最近では採用の効率化、応募者の人柄をより深く知るために「動画ES」を求められるケースも増えています。応募者の自己紹介、自己PR、志望動機などをスマートフォンなどで撮影し、1分程度の動画にまとめて応募するものです。文字では伝わりにくい情報も、動画ならそれ以上に伝えることが可能で、熱意をしっかりと込めた動画ESを作成することであなたならではの個性をアピールできます。もし応募企業が動画ESを受け入れているなら、そのメリットを活用してみてはいかがでしょう。

ステップ3:SPI、玉手箱などの適性検査

多くの企業では、本エントリー後に適性検査を行っています。これは、単に知識や経験を問うだけでなく、企業が求める要件をその応募者が満たしているか、社会人としての適性はどうかなどを測定するためです。一般的によく行われる適性検査は、2種類あります。

■能力テスト

その企業の業務内容や希望職種に関連する基礎的な知識を問います。具体的な業務スキルや学術的な知識、数学的・言語的な能力、論理思考能力、さらに語学力を見るために英語などのテストが行われる場合もあります。

■性格適性検査

応募者の性格や人格特性を明らかにするためのテストです。性格の特徴や価値観、行動パターンなどを評価します。その結果から、チームでの適性やリーダーシップ能力などを把握することができます。

適性検査の実施方式として多くの企業が導入しているのが「SPI」と「玉手箱」。それぞれ長い歴史を持つ適性検査で、上に挙げたように能力(言語・非言語)と性格検査で構成されています。これらへの対策も事前に練っておくとよいでしょう。また、受検方法としては、オンラインでのWEBテスト、企業へ出かけていって受検するなどの形式があります。

ステップ4:いよいよ面接選考

「書類選考」「適性検査」を通過すると、「面接選考」の段階に進むことになります。主として一次面接、二次面接、最終面接といった段階を経て実施され、個々の人間性や適性、具体的なスキルや知識が詳細に評価されます。企業はこの「面接選考」を通じて、あなたが企業のビジョンや価値観、社風に適合する人材であるかを判断します。

■一次面接

就活生が初めて企業と直接対話するのが一次面接です。面接官は新卒採用担当者の方や現場で働く一般社員が対応することが多く、自己紹介、志望動機、自己PRなど、基本的な質問が中心となります。企業は、あなたの基本的なパーソナリティやコミュニケーション能力、思考力を評価します。また、書類で述べた内容が実際の自分自身を正確に反映しているかを確認する機会となります。面接のマナーや身だしなみなども見られていますので、面接の基礎をしっかりと固めておきましょう。

■二次面接

一次面接を通過した後に行われるのが二次面接です。この段階では、より深い議論が求められます。企業は、あなたが実際に働く際にどのように貢献できるか、具体的なスキルや経験、企業のビジョンや事業・業務内容への理解度や価値観を深く探ります。また、面接官も部門のマネージャーや役員クラスが担当することが多くなります。

■最終面接

最終面接は、選考プロセスの最後のステップです。この段階では、より高いレベルの経営陣や社長が面接を行うことが一般的です。最終面接では、あなたが企業文化や社風に適合するかどうかを社長や役員が直接対話して評価することが主な目的です。

以上が一般的な面接のプロセスですが、企業や業界によっては面接の回数がさらに多くなることも。マスコミ・広告や金融業界は多めの傾向があると言われていますが、事前に業界研究などをして把握しておきましょう。本番前に模擬面接を受け、フィードバックを受けておくのも効果的です。

また、企業によっては「リクルーター面談」が設けられている場合があります。リクルーターとは多くの場合その企業に勤務する社員で、自社にマッチしそうな学生を集めてサポートする役割を担っています。書類選考やインターンシップ等の後、これはと思う学生に声をかけ、面談をし、コミュニケーションを図りながら企業理解を深めてもらい、本選考へ導いていきます。「面談」と呼んでいるように正式な面接と違いリラックスした場所で話をするので、学生の人柄をより掴みやすくなります。リクルーター面談が選考を兼ねていることもありますので、選考を有利に進めるためには大いに活用することをおすすめします。

■新型コロナウイルスの影響は?

コロナ禍によって、選考フローにも変化が生じました。多くの企業がオンライン形式の会社説明会や面接を導入し、対面での接触を最小限に抑える対策を取りました。また、一部の企業では選考フローの延期や変更が行われる場合もありました。コロナ禍は収束を見せていますが、オンライン形式の選考フローは今後も残っていくと予想されます。適切な環境や機器の準備、オンライン面接のマナーやテクニックの研究なども積極的に行っておくことをお勧めします。

ステップ5:グループディスカッションがある場合も

多くの企業では、面接選考の際にグループディスカッションを実施しています。ここで重点的に見られるのは、次のような能力・適性です。

■チームワーク、コミュニケーション能力

グループディスカッションは複数の応募者が同じ場に集まり、共同で課題や討論を行います。採用担当者が見ているのは、応募者が円滑に協調作業をしたり意見の交換ができたりするかどうか。この人が入社した場合、他の社員の意見も尊重できるか、社内の空気を掴めるか、コミュニケーションがうまくできるかをチェックされます。

■リーダーシップ、問題解決能力

グループディスカッションでは、複数人が協力しながら、与えられた課題やシナリオに対する解決策を見つけていきます。その過程で、リーダーシップが発揮できているか、問題解決に向けて進んでいけるかの能力を観察します。また、グループ内での意見の主張や妥協点とのバランスも評価の対象となります。

■パーソナリティ、対人関係能力

グループディスカッションでは、個々のパーソナリティや対人関係の様子も観察されます。積極的に意見を出し合ったり、他のメンバーと良好な関係を築いたりできるかどうか。組織運営の観点から、社内やチームでいい人間関係が構築できる人材をチェックしています。

このように、グループディスカッションは書類や1対1の面接では見えてこない応募者の特性・能力などを見極めるための場です。その人を総合的に評価することで採用の判断材料とする、大変重要なプロセスと言えるでしょう。

ステップ6:最終フロー「内々定」と「内定」

選考フローの最後が「内定」です。これは、企業があなたを正式に採用したいと判断し、その意志をあなたに伝えるプロセスです。まず、内定の連絡を企業からもらい、内定通知を受け取ります。これが「内々定」です。その後、内定承諾書にサインして提出し、内定式を経て正式に内定となります。ここまでで就職活動は終了となりますが、これは最終的な採用オファーであり、受け入れるかどうかはあなた自身の決断です。人生の岐路ともなる重要な局面ですので、慎重に考える必要があります。

内定承諾書へのサインをもって労働契約を締結したこととなりますので、ここから法的な拘束力が発生します。企業側として、内定の取り消しは「卒業できない」「健康上の理由」「犯罪行為」「企業の倒産」など、よほどのことがない限りできないと決められています。

一方、学生側から内定辞退を申し出ることは無条件で可能です。ただしここまでかけた労力や時間、自分を評価してくれた企業への思いなどを考えるとドライに辞退するのではなく、謝罪の言葉を添えて事情を丁寧に説明しておく必要があります。

選考フローをまとめると

以上が新卒採用の選考フローについての詳細な解説です。各ステップでのポイントや対策を把握し、就活戦略に生かしましょう。選考フローをしっかりと理解することが、内定を勝ち取るための第一歩。企業によって微妙に異なることがありますので、具体的な内容については各企業の採用情報を確認することが重要です。

自分自身の適性と目指す企業のビジョンがマッチするよう、一つ一つのステップと真摯に向き合い、思い描いた結果に到達できるよう進んでいきましょう。また、先輩就活生のみなさんが実際に経験した選考フローや対策については「ES・選考対策」で詳しく紹介されていますので、事前の対策にもぜひ活用してみてください。

PROFILE

鳥羽山 康一郎(とばやま こういちろう)
静岡県生まれ。広告制作会社、外資系広告代理店にてコピーライター、クリエイティブディレクター、プランナーとして勤務後、2006年よりフリーランスとして独立。外資系マーケティング理論の知見を活かし、広告・Webライティング等を中心に執筆活動を展開中。地方取材、インタビューも得意とする。

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