ネガポジ先生の「逆転」自己分析講座 ~やりたいことが見つからないあなたへ ~第2回:ネガポジ流自己分析をやってみよう
自己分析公開日:2023.04.03
「自分の強みが分からない」「やりたいことが見えない」と、自己分析で苦しんでいませんか? そんなあなたの壁をぶち壊してくれるのが、「ネガポジ先生」として知られるキャリア・コンサルタントの黒沢一樹さん。“2度の起業失敗と50社以上の転職経験”という異色の経歴から導き出した逆転の発想が、あなたの悩みをあっという間に解決します!
前回は、『ネガポジ・メソッド』の全体像をつかむ時間でした。
第2回目は、自己分析に応用するための具体的な方法を学ぶ時間とします。
では、早速進めていきましょう!
言葉の定義があいまいだと危険?
ネガポジ・メソッドの根幹は、自分自身が使っている言葉の定義をしっかりと認識しているかどうかで決まります。言葉の定義があいまいでは、『かんちがいスイッチ』を入れることができません。
そこで、言葉の定義を深めるために、よく使うであろう言葉…「普通」を使って、あなたの言葉の定義を確認してみましょう。
普通の生活とは、どういう生活ですか?
普通の仕事とは、何を基準としたものでしょうか?
問いに対してあなたは、「大多数の人が知っていることや平均的なこと」くらいの定義で考えているかもしれません。しかし、まだまだ、足りません。具体的に、もっともっと詳細に言葉の意味をとらえてください。
例えば、私の「普通」を挙げると…
毎朝、家族一緒にご飯を食べ、週二回程度は子どもとお風呂に入り、夕食を共にできる時間がある生活。世帯年収は、500万程度。人を悲しませることのない仕事であり、日々の業務に追われることのない仕事をしていることです。正直、前掲のことがありさえすれば、どんな仕事であってもかまいません。言い換えれば、私の考える「普通」とは、最低限望むこととも言えます。具体的な言葉としてとらえなければ、あなたは、よく分からない言葉を基準にして物事を判断することになります。
エントリーシートで使うであろう言葉に「強み」というものがあります。あなたの「強み」には、どのような意味が含まれますか。今、この場で「しっかりと」考えてみてください。人に自慢できることなのか、長年続けてきたことなのか、人よりもちょっとだけ自信のあることなのか。人それぞれとらえるポイントが違いますからね。
実社会においては、人だけではなく会社ごとに求めている「強み」の定義が違う場合もありますから注意が必要ですよ。相手の求めている言葉の定義と自分の言葉の定義に齟齬がないかを確認することは、日々、コミュニケーションをとるうえでも必要なことです。
ちなみに、私がここでいう「しっかりと」とは、具体的な数値で表したり、人に説明できる状況にするということです。
言葉をひとつひとつ丁寧に考えることはとても重要なこと。しかし、日常的には定義をあいまいにしたまま使いがちですよね。ここで言葉を丁寧に考えるクセをつけましょう!
「ダメ」を「イイ」にするポジ変換
ここまでで言葉の定義について深めることができたら、具体的にあなたの「ダメ」を「イイ」にするため、「ナシ」を「アリ」にしてしまうかんちがいスイッチを入れる方法論に移ります。そのための考え方として、『ポジ変換』というものがあります。これは、ネガティブなワードをポジティブなワードに置き換える作業のことです。早速、やってみましょう!
ここができたならば、あなたの弱みを列挙し、それぞれポジ変換を行ってみてください。その言葉たちは、そのまま、エントリーシートで使える内容になっているはず。実は、このポジ変換は、エントリーシートで矛盾を生じさせない効果も併せ持っています。言葉の裏表を確認できますので、それぞれを強み欄・弱み欄に書けばOK。就活生の失敗談として、強みと弱みが矛盾していることは、よくある話ですのでご注意くださいね。
積み重ねたことはウソをつかない
私の過去の弱みであった一例ですが…
「中卒」=何か問題のある人 「転職50回」=仕事が続かないダメな人
中卒や転職50回という言葉は、多くの人は、ネガティブなものとしか考えられないでしょう。私自身も昔はそうでした。しかし、今となっては本を書いたりする仕事などにつながり、ありがたい言葉に変化しました。20代の頃、転職がうまくいかない時期に、ポジ変換に気づき、実践したのです。
結果、
「中卒」=希少性の高い人、社会人経験が長い人
「転職50回」=就活の達人、業界や職種を人より多く知っているマルチな人
などと、置き換えました。
ここであなたに絶対に知ってほしいことは、マイナスの要素であればあるほど、プラスに転化したときのパワーはすごいということと、どんなダメなものであろうと積み重ねたことはウソをつかないということです。中卒というネガティブな事象がポジティブな事象へと置き換わってからの私の生活は一変しましたし、ダメだと思っていた転職も、50回という数を積み重ねたことで武器へと置き換わりました。もし、あなたが人からバカにされていることやはずかしい何かしらの積み重ね、継続的に行っていることがあれば、それは間違いなく武器!
ポジ変換を行うことで、あなたが気づかなかった武器が見えてきます。
それをきっかけに「かんちがいスイッチ」を入れましょう!
まとめ
ポジ変換で、かんちがいスイッチが少し入りかけたのではないでしょうか? 言葉の定義をひとつひとつ丁寧にとらえ、ポジ変換を行いながら選択肢を広げていきましょう。そして、あなたの武器は、ネガティブな事象の中にもあることを知るきっかけになったのではないでしょうか。積み重ねたものがあれば、ぜひ、一度、列挙し、ポジ変換してみましょう!
次回は、選択肢を広げるための方法として、「イヤ」「ダメ」「ツライ」を使った目標設定を行い、今回の結果をどう生かすかをお伝えします。
では、今回はここまで!
ありがとうございました。
PROFILE
黒沢一樹(くろさわ・かずき)
キャリア・コンサルタント。NPO法人「若者就職支援協会」理事長/人材労務支援機構.LLC 代表社員/定時制高校教育ディレクター/明治大学リバティアカデミー講師。1981年山口県生まれ。姓は4回変わる。極貧生活を6人兄弟の長男として支え、生活のために高校を入学式で辞める。塗装工・ビアガーデンのホールスタッフを経験後、板前となるが病気により断念。以降、上場企業から零細企業、いわゆるブラック企業など、さまざまな職業と会社を渡り歩く。30代で2度の起業失敗を経て、50を超える会社就業経験を持つ。現在は研修講師として全国を飛び回る傍ら、日々、就職に悩む若者の相談業務にあたる。自らの不幸な経験から導き出した思考法「ネガポジ・メソッド」をカウンセリングやキャリア教育に応用している。著書に『最悪から学ぶ 世渡りの強化書』(日本経済新聞出版社)、『ネガポジ就活術』(鉄人社)など。