ネガポジ先生の「逆転」自己分析講座 ~やりたいことが見つからないあなたへ~ 第3回:やりたいことの見つけ方を考える

自己分析

公開日:2023.04.03

「自分の強みが分からない」「やりたいことが見えない」と、自己分析で苦しんでいませんか? そんなあなたの壁をぶち壊してくれるのが、「ネガポジ先生」として知られるキャリア・コンサルタントの黒沢一樹さん。“2度の起業失敗と50社以上の転職経験”という異色の経歴から導き出した逆転の発想が、あなたの悩みをあっという間に解決します!

第1回目ではネガポジ・メソッドの全体像を、第2回目では具体的な自己分析の内容について学びました。
最終回は、「やりたいことが見つからない」あなたが、本当に「やりたいこと」 を見つけるための方法を考える時間とします。では、早速、あなたの最適な仕事を見つけていきましょう!

ネガティブな感情を大切にする仕事選び

ネガポジ・メソッドにおける仕事の選び方は、自分の中に存在するネガティブな感情を大切にします。「イヤ」なこと、「ダメ」だと思っていること、「ツライ」と感じることをポイントとして仕事を選びます。その理由は、ネガティブな感情には実体験が必ずあるから。ポジティブな感情は、実体験があるわけではなく、そうありたいと願う妄想も含まれています。例えば、「お金持ちになりたい」というポジティブな感情は、お金持ちであった経験がある方のケースは少なく、今、裕福ではないと感じているネガティブな感情の裏返しとも言えます。


また、ネガティブな感情は、必ず限界点があることも忘れてはいけません。ポジティブな感情は、欲しいという欲求を際限なく求めてしまいがちですが、欲しくないという欲求は、もうこれ以上は「ムリ」という限界点が必ずあります。

あなたが目標設定をする場合に、限界点のない基準を目標とするか、限界点がある基準を目標とするかは自由ですが、どちらが設定しやすく行動に移しやすいかは自明ですよね。だからこそ、ネガポジ・メソッドでは、ネガティブな感情を大切にするわけです。

まずは「やりたくないこと」から考えてみよう!

自己分析を行う際、強み、弱みを認識した後、「やりたいこと」を考えるかと思います。しかし、この「やりたいこと」というものがクセもの。考え始めたものの、中々、「やりたいこと」が見つからない学生さんも実は多いのではないかと思います。そんなときは、「やりたくないこと」を中心にした自己分析をおすすめしています。

できないこと > やりたくないこと > できること > やりたいこと

ネガポジ・メソッドにおいては、まず、「できないこと」を列挙し、次に「やりたくないこと」を列挙します。例えば、18歳までにサッカーをやったことがない人は、プロサッカー選手になることは無理ですよね。身体を動かすことが苦手ならば、肉体労働はやりたくないかもしれません。イヤな業界、やりたくない仕事内容を列挙するとよいでしょう。生活することを踏まえれば…通勤時間は何時間までなら耐えられるのか? 住みたくない地域は? どんな人と仕事をしたくないのか? それこそ、給料はいくらもらわないとイヤなのか? など、考えるべきネガティブポイントは数多くあるはず。仕事を続けるうえで、ネガティブな感情は極力ためたくないところです。我慢の限界点に達したとき、心身に異常をきたすことになったり、辞めることに繋がりますからね。

「できないこと」から考え、「やりたくないこと」を踏まえた結果、「できること」は何かを考え、その中に「やりたいこと」があれば選択肢とします。しかし、現実問題として自身の求める現実と理想とにはギャップがあるものです。

現実と理想の基準を日々アップデートしよう

ネガポジ・メソッドでは、現実と理想とのギャップを踏まえたうえで考えます。具体的な活用事例として、私の仕事の選び方で考えてみましょう。
20代前半の私は、「やりたいこと」はなく「できること」も少ないのが実情でした。そこで、「やりたくない」けれども「我慢できること」は何かを考え、その中から「できること」を探しました。結果、肉体労働以外であれば、どんなこともできると考えました。それが、私自身のスタート段階である「雑用ならOK」という結論でした。しかし、当初はどんな業界であろうと構わないと考えましたが、ネガポジ流の自己分析を経た結果、できれば「数字のことは勉強してみたい」という感覚をつかんだのです。そこで一般企業への経理職を目指しましたが、中卒の私には難しく、比較的、門戸の広い税理士事務所への就職を決めたのです。その後、時を重ね、経営者としてやっていきたいと思うようになり、「職業学校の運営者」といった理想を見つけました。

現実問題として、ネガティブなことだけを並べて探したとしても仕事は見つかりません。そこで、「どこまでならば我慢できるのか」といった折り合いはつける必要があります。新卒で就職してからの初めての仕事となれば、その多くは「やりたくないけどできること」です。最近、若者から「やりたいことができないから仕事を辞める」という話をよく聞きますが、最初からやりたいことができることの方が少ないでしょう。経験を重ねれば、「できること」が増えるし、考え方も変わります。そうなれば、新たに「やりたいこと」が見つかることもあるし、「やりたくないこと」や「できること」だって変わるはずです。

日々、現実と理想は変わります。「やりたくないこと」のレベル感だって日々変化します。そのつど、アップデートしながら、自分を見つめ直してください。ネガポジ・メソッドにおいては、変化を恐れないという意味を込めて、「ブレることにおいてブレない」という言葉をアドバイスしています。就活がうまくいかないときは、「ブレる=変化する」ことも選択肢です。変化は進化。ブレることを繰り返す中で自分の芯が見えてきます。その時点では失敗になるかもしれませんが、失敗は成功の母であり、ネガポジ・メソッドにおいては自分を知るための材料にもなります。

まとめ

連載を通してお伝えした「ネガポジ・メソッド」はいかがでしたか?
物事を多面的に見ることで、さまざまな視点、具体的な観点を持つ大事さに気づいてもらえたらうれしいです。その方法論として、言葉を丁寧に扱うこともお伝えしました。

自己分析における考え方を大きく変化させ、あなたの武器をあぶり出し、将来や仕事について考えるきっかけになったと信じています!
これからも、悩んだときには、この連載を思い出し、「かんちがいスイッチ」を入れながら選択肢を広げ、変化を恐れずどんどん行動につなげてくださいね。

ありがとうございました。

ネガポジの定義

定義
・ネガティブな事象からポジティブな事象を見つけるための思考法。
・反対側や少数側から物事を考え、多面的な視点を持つための思考法。

効果
・自身の価値基準を知るきっかけとなる。
・ネガティブなことから思考することで、そのネガティブをポジティブへと昇華したり、新たな視点、観点を見つける効果がある。
・選択肢を増やすことができる。

具体例
・やりたい仕事から考えるのではなく、やりたくない仕事から考え、その際に列挙されたやりたくない仕事「以外」を選択肢とする。

PROFILE

黒沢一樹(くろさわ・かずき)
キャリア・コンサルタント。NPO法人「若者就職支援協会」理事長/人材労務支援機構.LLC 代表社員/定時制高校教育ディレクター/明治大学リバティアカデミー講師。1981年山口県生まれ。姓は4回変わる。極貧生活を6人兄弟の長男として支え、生活のために高校を入学式で辞める。塗装工・ビアガーデンのホールスタッフを経験後、板前となるが病気により断念。以降、上場企業から零細企業、いわゆるブラック企業など、さまざまな職業と会社を渡り歩く。30代で2度の起業失敗を経て、50を超える会社就業経験を持つ。現在は研修講師として全国を飛び回る傍ら、日々、就職に悩む若者の相談業務にあたる。自らの不幸な経験から導き出した思考法「ネガポジ・メソッド」をカウンセリングやキャリア教育に応用している。著書に『最悪から学ぶ 世渡りの強化書』(日本経済新聞出版社)、『ネガポジ就活術』(鉄人社)など。

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