フレックスタイム制・変形労働時間制とは?【弁護士が答えます】

就活ノウハウ

公開日:2023.09.19

これから仕事を始める皆さんにとって、「労働時間」は、最も重要な労働条件の一つです。この「労働時間」については、昨今国や企業において、長時間労働をなくし、「ワーク・ライフ・バランス」や「多様で柔軟な働き方」の実現に向け様々な取組みが行われていますが、その一つにフレックスタイム制というものがあります。

フレックスタイム制について、聞いたことがある方もいると思いますが、今回改めて、この制度について確認してみましょう。

フレックスタイム制とそのメリットは?

前提として、労働時間については「1日8時間まで、1週40時間まで」。

これが、労働基準法という法律で定められた労働時間(法定労働時間)です。つまり、会社は原則として、この法定労働時間を超えて従業員を労働させてはならないことになります。

もっとも、労働基準法はこの法定労働時間について例外を認めています。その一つが、今回のテーマである「フレックスタイム制」です。

フレックスタイム制とは、ある一定期間(最長3か月)について、あらかじめ会社が定めた労働時間の総量(総労働時間)だけきちんと働けば、日々の出退勤の時間については労働者が自由に決めることができるというものです。

そのため、期間中の出退勤の時間の組み方によっては、1日8時間を超えて、あるいは週に40時間を超えて仕事をすることもあるかもしれませんが、労働者にとって、自分の生活リズムや日々の都合、育児や介護等の家庭の状況に合わせて労働時間を調整できるため、仕事とプライベートのバランスを取りやすいという大きなメリットがあります。

フレックスタイム制を採用する会社の中には、出退勤時刻について完全に労働者の自由に委ねているところもあれば、例えば「出勤は午前6時から午前10時の間、退勤は午後3時から午後7時の間」というように、出退勤の時間帯(フレキシブルタイム)の定めを置いている会社もあります。そして、後者の例によると午前10時から午後3時までの間は必ず勤務していなければならない時間となりますが、このような時間帯をコアタイムと言います。

あわせておさえておきたい「変形労働時間制」

なお、フレックスタイム制と似たような制度として「変形労働時間制」というものがあります。これは、一定期間の労働時間を平均し週40時間を超えていなければ、1日8時間あるいは1週40時間の法定労働時間を超えて働かせる日・週があっても良いという制度です。

例えば、ある月をみたときに3週目と4週目で労働時間が40時間を超えていたとしても、1週目から4週目までを平均して週あたり40時間を超えていなければ、全体として問題ないことになるのです。

変形労働時間制は繁忙期の労働時間を長くし、その代わりに閑散期の労働時間を短くすることが可能であるため、時期・季節によって仕事量が大きく変わる業種にとって利用しやすい制度であるとともに、労働者にとっても繁忙期は仕事に打ち込み、閑散期はプライベートを充実させるというようなメリハリのある働き方が可能になるというメリットがあります。

もっとも、フレックスタイム制においては労働者が労働時間の配分を決めることができましたが、変形労働時間制において労働時間の配分を決めるのは会社・使用者側となります。

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PROFILE

英明法律事務所
福島 一代弁護士
パワハラ・セクハラ、労働条件、給料・残業代請求、不当解雇、労災認定など、労働者が抱える様々な法的問題を解決しています。人事労務分野の活動も幅広く行っています。

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