入社前の研修には絶対に参加しないといけないの?【弁護士が答えます】

就活ノウハウ

公開日:2023.07.25

内定(内々定)が出たあと、内定先の企業から研修・実習に参加してもらいたいと言われることがあります。企業としては、研修等の参加を通じて入社時から即戦力として働いてもらいたいという狙いがあるのですが、学生の皆さんにとっては通常の学業のほか、卒論等で忙しい時期に研修等に参加することは大きな負担となりかねません。

キャリタス就活が学生に「内定中に研修や課題が出ることへの考え」について調査※したところ、「基本的に賛成」(10.7%)と「どちらかといえば賛成」(41.4%)を合わせて約半数(計52.1%)が賛成でしたが、裏を返せばもう半分は反対の意向を示していることになります。このことから、学生視点で入社前研修と向き合ってみると、考えやとらえ方は人それぞれであることがわかります。

研修への参加は強制?参加するメリットは?

そもそも企業は内定者に対して、入社前研修の参加を強制できるのでしょうか?これについては、過去に裁判で争われた結果、次のようなルールとなっています。

まず企業は、学生に対し入社前研修の参加を強制することはできず、参加させるためには学生の同意が必要であるとされています。また、学生が一度は同意したものの、その後、学業に支障が生じる等、もっともな理由により、参加を取りやめたいと言った場合、企業としては、参加を免除しなければならないとされています。

もちろんこのような場合、企業は学生が同意しなかったことや、参加を取りやめたことを理由に内定を取消したり、入社後に不利益な取扱いをすることはできません。

他方、入社前研修に参加した場合、その研修が親睦会のようなものではなく業務と関連するものであるならば、「労働」として賃金が発生する可能性がありますし、研修中や研修の行き帰りの怪我等に対し、「労働者」として労災保険が適用されることもあります。

業務上必要な知識や役立つスキルを比較的余裕のある入社前に身につけることができるのは、学生の皆さんにとっても大きなメリットです。また業務と関連する具体的な情報が得られる・場合によっては先輩社員との交流もあるなど、入社前の不安解消につながったり入社後のギャップも起きにくくなります。

学業や学生としてやるべきことを最優先にしつつ、社会人としてスムーズなスタートを切る準備に役立つ機会として、自分の視点で入社前研修について考えてみると、また違った見え方ができるかもしれません。

※引用:キャリタス就活2023 学生モニター調査結果(2022年10月発行)

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英明法律事務所
福島 一代弁護士
パワハラ・セクハラ、労働条件、給料・残業代請求、不当解雇、労災認定など、労働者が抱える様々な法的問題を解決しています。人事労務分野の活動も幅広く行っています。

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