競技場からビジネスの世界へ!体育会系学生の「就活の進め方」

就活ノウハウ

公開日:2024.05.29

就活の世界において体育会系出身の皆さんが競技で養われた精神力やチームスポーツを通じて磨かれたリーダーシップ、協調性、そして高い目標達成意欲は大きな強みとなります。またそれらは多くの企業が社員に求める能力でもあります。本記事では、体育会系出身の大学生ならではの就活のアプローチや事前準備など、体育会系学生向けの就活におけるポイントをご紹介します。

そもそも体育会系学生とは?

体育会系学生とは大学の体育会(運動系の部活動)に所属している学生のことを指します。選手に限らず、マネージャーやトレーナーとして参加している学生さんも含まれます。

体育会系学生には、一般的な学生生活とは異なり、スポーツと学業を両立したライフスタイルが求められます。学業の前後で練習を行い、週末も試合や合宿などが行われるため精神的にも肉体的にもタフな傾向があります。

このような状況は学生生活において大きな負担となり得ますが、それを乗り越えた体育会系学生の皆さんは強い精神力と体力を身に付けており、将来的に多くの場面でその力を発揮することができると期待されています。

就活市場における独自の地位

体育会系学生は、就活市場において特別な価値を持っています。大学時代に培った、目標に向かって粘り強く努力する姿勢、チームの一員として協力し成果を出す能力、そしてリーダーシップを発揮して仲間を引っ張る力は、多くの企業が求める重要な資質です。また、単体で競技を行う学生は、自己管理能力や独立した思考力が求められるため、企業においても個人目標の達成などチームだけではなく個人としても活躍できる人材として期待されます。

また、体育会系学生は日々の練習から高いストレス耐性や目標達成に向けた強いモチベーションを持ち合わせていると考えられ、これらの経験とスキルは就職活動において多様な業界から高い関心を寄せられるのです。ではそのほかに企業はどのような資質を求めているのでしょうか。

■企業が求める体育会系学生に備わる資質

・コミュニケーション能力:
体育会系学生は、チーム内でのコミュニケーションを通じて、意見の調整や目標に向けた合意形成を行う能力が長けていると考えられています。これは、職場での円滑な人間関係構築やプロジェクト遂行に直結します。

・危機管理能力:
競技中に遭遇するさまざまな危機的状況への対処は、プロジェクトで予期せぬ問題が生じた場合にも、冷静さを保ちながら迅速に対処する際に重要です。この能力はリスクの評価と回避術の基礎となり、ビジネス環境において不可欠です。

・自己管理能力:
練習スケジュールや体調管理を自ら行う中で、時間管理やセルフコントロールのスキルが身に付きます。これは、仕事における効率的なタスク管理や健康維持にも役立ちます。

・目標設定と達成に向けた計画性:
高い目標を設定し、それを達成するための計画を立て、実行するプロセスは、ビジネスの世界に通じる部分があるため、目標達成に向けた計画性は企業から高く期待されます。

・継続的な自己研鑽の取り組み:
スポーツにおける技術や成績向上のための努力は、職場におけるスキル・キャリアアップのシーンにおいても生かすことができるため、個人だけではなく組織全体の成長に貢献します。

体育会系学生ならではの自己PR方法

「体育会系学生は企業の求める資質が備わっているから就活に有利なんだ。なら私は大丈夫だ」と思っている人はいませんか?その考え方はすぐに忘れてしまいましょう。

たとえ何かの競技で全国優勝をしたとしても、自己分析を掘り下げず、企業研究も浅ければ内定獲得は難しいと思ってください。

なぜならば、就活においてはスポーツ以外にも専攻分野の研究、アルバイト、ボランティア、留学、ビジネスコンテスト入賞、就活に有利な資格保有者など、さまざまな経験と資質を持った一般の就活生たちがライバルになります。そして彼らは自己分析、業界・企業研究、選考対策を万全に行った上で選考に臨んできます。

体育会系学生が就活を有利に進めるためには、まず自分の強み・経験を明確に理解し、それをいかにして志望する企業で生かせるかを具体的にアピールすることが重要です。

■体育会系学生ならではの自己PR方法

1.チームワークの強調:
ポイント: チーム内での協力と役割の果たし方をアピールする。

例文:「私は野球部でレギュラーではありませんでしたが、スコアラーとしてチームに貢献しました。試合中はデータを分析し、相手チームの傾向を把握することで、コーチや選手に戦略的なアドバイスを提供しました。また、練習中もスコアリングの知識を活かし、チーム全体のパフォーマンス向上に努めました。この経験から、裏方としてのサポート力と協調性の大切さを学び、どんな役割でも全力で取り組む姿勢を身に付けました。」

[この経験は企業でどう生かされる?]
この経験は、プロジェクトチームの一員として自分の役割を理解し、データ分析を通じて有益なインサイトを提供する能力につながります。裏方のサポート役としてチーム全体の成功に貢献することで、企業のプロジェクトの円滑な進行や成果の向上に寄与できます。

2.リーダーシップの証明:
ポイント: 具体的にリーダーシップの実例を挙げ、どのようにチームを導いたかを示す。

例文:「大学のラクロス部でキャプテンを務めていた経験があり、チームが苦境に立たされた時、私が率先して前に出てモチベーションを向上させ、最終的には全国大会でトップ5入りを果たすことができました。このようなプレッシャーの中での経験が、厳しいビジネスシーンでも成果を出す力につながると考えています。」

[この経験は企業でどう生かされる?]
リーダーシップ経験は、チームリーダーやプロジェクトマネージャーとしての資質を証明します。困難な状況でも冷静に対応し、チームのモチベーションを維持しつつ成果を追求する能力は、企業のプロジェクト推進やチームビルディングにおいて重要な役割を果たします。

3.ストレス耐性に関する裏付け:
ポイント: 競技中の高いストレス状態を乗り越えた経験を伝える。

例文:「試合での逆境や厳しい練習スケジュールを通じて、ストレスを管理し、冷静に判断を下す力を培ってきました。これは、さまざまなプロジェクトを進行する上で起こり得る課題に対しても応用できると考えています。」

[この経験は企業でどう生かされる?]
高いストレス耐性は、タイトなスケジュールやプレッシャーのかかるプロジェクトでも冷静に対処できる能力を示します。ストレスをうまく管理し、冷静な判断を下すことで、企業の複雑な課題解決や緊急対応において頼りになる存在となります。

4.目標達成への情熱:
ポイント: 目標を設定し、それに向かって努力し続ける姿勢を強調する。

例文:「個人としてもチームとしても常に高い目標を設定し、それを達成するために日々努力を重ねてきました。この目標達成への情熱を生かし、周囲を巻き込むことで目標達成にも貢献できると信じています。」

[この経験は企業でどう生かされる?]
高い目標を設定し、努力する姿勢は、企業の成長目標やプロジェクトの達成に直結します。周囲を巻き込み、チーム全体で目標を達成するためのリーダーシップやコミュニケーション能力は、業務の効率化や成果の向上に役立ちます。

5.独立した問題解決能力:
ポイント: 個々の競技やトレーニング中に遭遇した問題をどう解決したかを述べる。

例文:「トレーニング中に怪我をしてしまった時、リハビリと並行して代替のトレーニング方法を自ら考案し、競技力の低下を防ぎました。このように自己管理と問題解決のスキルを用いて、困難な状況でも最適な結果を出すことができます。」

[この経験は企業でどう生かされる?]
自己管理と問題解決能力は、業務上の予期せぬ問題や困難な状況に対処する力を示します。自主的に代替策を見つけ、実行することで、企業のプロジェクトや業務運営において柔軟かつ効果的な対応が可能となり、結果として企業の安定した成長に貢献できます。

■体育会系学生が求められる職種はあるの?

体育会系学生は特に営業職で求められることが多いようです。理由としては、彼らが持つ目標達成に向けた粘り強い姿勢、優れたコミュニケーション能力、高いストレス耐性にあります。これらの特性は、顧客との関係構築、信頼獲得、そして契約締結へとつながる営業活動において極めて重要です。また、厳しい環境に立ち向かう力は、営業現場での挫折や困難を乗り越える際にも役立ちます。このような背景から、体育会系学生は営業職において高いポテンシャルを持つ存在としてとても期待されているようです。

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体育会系学生だからこそ「早め」の就活準備を!

体育会系学生は、競技に集中する期間が長いため、就活準備を始めるタイミングが一般学生に比べ遅れてしまうことが多い傾向にあります。

試合、練習、ミーティングなど部活動に没頭するあまり、就活準備に時間を使えず、結果的に「自己分析を深掘りできない」「業界・企業が絞れない」「選考対策ができない」など悪循環が生まれてしまいます。特に3年生になると、低学年時に比べ、技術や身体的にレベルアップしたり、チームの主軸を担っていたりすることで本人もやりがいを感じている時期だといえます。

しかし時間の制約があるからこそ、低学年からの準備や効率的な就活がとても重要になってきます。具体的な就活準備として以下のようなものが考えられます。

■低学年のうちからやるべきこと

1.キャリアゴールの設定:
将来自分が何を成し遂げたいのか明確な目標を立てることで、目指すべき方向性がはっきりします。

2.業界・職種研究:
興味のある業界や職種について早めに調査を始め、どのようなスキルが求められるか理解します。

3. 自己分析の実施:
自分の強み、弱み、価値観、そしてキャリアに対する期待を明確にすることで、企業選びの軸が見えてきます。これには、自己分析ワークショップやキャリアカウンセリングの活用も効果的です。

4.社会人スキル・ビジネスマナーの習得:
社会人に求められるスキルやビジネスマナーの基礎を早期から学ぶことで、面接や企業訪問時に好印象を与えることができます。また社会人になるとパソコンも使う機会が増えるので、あまり使う機会がない方は使い方に慣れておきましょう。

■効率的な就活を行う上でやるべきこと

1.インターンシップ等の活用:
実際の職場体験を通じて業界理解を深めると同時に、就職活動におけるエピソードや企業の志望動機等に生かすことができます。

「部活が忙しく、長期インターンシップの参加が難しい」そんな方は、オープン・カンパニーやキャリア教育といった半日程度や数日で終わる短期プログラムに数社参加するだけでも得られる情報はとても多いです。またオンラインで実施するプログラムもあるので、長期インターンシップに参加が難しい場合は積極的に応募してみましょう。

2.合同説明会に参加する:
一度にさまざまな企業を比較できるので効率的です。オンラインで開催される合説も多いので移動時間を気にせず気軽に参加できる点は、参加する日時に限りがある体育会系学生の皆さんには特におすすめです。

3.OB・OG訪問を積極的に行う:
同じ体育会系出身の先輩たちとのネットワークを活用することで効率的にOB・OG訪問先を見つけることができます。また共通の経験や価値観をもっているため、信頼関係が築きやすく、具体的かつ実践的なアドバイスを得やすい傾向にあります。

4.就活エージェントを利用する:
就活の時間捻出が難しい体育会系学生だからこそ、エージェントを利用することで、企業探しや応募手続きなどの時間を節約でき、部活動との両立が可能になります。履歴書添削や面接対策など手厚いサポートをしてくれるのでぜひ活用してみましょう。

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■もし選考と大事な試合が重なってしまったら

重要な試合や合宿と、インターンシップ等や選考日程が重なってしまった場合、まずは日程が調整可能かどうかを企業に相談することが重要です。多くの企業では、選考も実施日程も複数の日程を設けており、事情を誠実に説明すれば日程変更に応じてもらえることが多いです。

アスリートを目指すあなたに知ってほしい「デュアルキャリア」と「セカンドキャリア」について

卒業後は就職ではなくアスリートを目指す体育会系学生が知っておくべきキャリアとして「デュアルキャリア」や「セカンドキャリア」があります。これらはスポーツを続けながら、またはスポーツ後の生活において、充実したキャリアを築くための選択肢となります。

デュアルキャリア:
デュアルキャリアは、アスリートとして競技を続けながら、同時に別の職業に就くことを指します。この選択をする体育会系学生の心構えとしては、時間管理や優先順位の設定が不可欠です。高いパフォーマンスをスポーツと仕事の両方で発揮するためには、効率的なスケジュール管理と自己管理が求められます。

デュアルキャリアを検討する際は、柔軟性のある職場を見つけることや職場での理解者やサポーターを確保することが重要です。スポーツ団体や企業が提供するデュアルキャリア支援プログラムの有無をチェックしてみましょう。

セカンドキャリア:
セカンドキャリアは、一定期間プロアスリートとして活躍した後、スポーツから退いて一般企業に就くことを指します。またデュアルキャリア同様に実業団に就職し、アスリートとして活躍した後に、一般社員として働く場合もあります。スポーツで磨かれたチームワーク、リーダーシップ、高いストレス耐性、目標達成への強い意志などは、ビジネス環境でも非常に価値があるとされています。最近ではセカンドキャリアを見越してアスリートとして活躍している時から新たな職業に適応できるよう、ビジネススキルの習得、セミナーなどを所属企業が行っていたり、個人でも継続的な学習を行っているアスリートも増えているようです。

これらの選択肢を検討する際には、自分の価値観や将来の目標を明確にし、それに基づいた計画を立てることが大切です。体育会系学生が新たなフィールドで成功を目指すためには、スポーツで鍛えた精神力や体力を生かしつつ、柔軟かつ戦略的にキャリアを形成していく心構えが求められます。

まとめ

体育会系学生の就活事情は、その独特の特徴やスポーツから培われた能力が大きく影響します。自己分析を行い、自身の強みを生かした戦略的な就活を行うことが成功へのカギです。

部活と就活の両立は本当に大変だと思います。限られた時間の中だからこそ本記事で取り上げたポイントを理解し、効率よく、少しずつ早めに就活準備を進めていきましょう。

PROFILE

鳥羽山 康一郎(とばやま こういちろう)
静岡県生まれ。広告制作会社、外資系広告代理店にてコピーライター、クリエイティブディレクター、プランナーとして勤務後、2006年よりフリーランスとして独立。外資系マーケティング理論の知見を生かし、広告・Webライティング等を中心に執筆活動を展開中。地方取材、インタビューも得意とする。

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