【業界を徹底解剖】金融業界の魅力や求められる資質とは??
業界・職種・企業研究公開日:2024.05.08
金融業界は、経済が循環する上で不可欠な役割を果たしています。銀行や投資会社、保険会社などがその中心を担い、資金の調達や投資、リスク管理など、多岐にわたるサービスを提供しています。本記事では、金融業界の動向、働く魅力、求められる人材像についてわかりやすく解説しますので、ぜひご覧ください!
そもそも金融業界とは?
金融業界とは、お金や株式などさまざまな資産の動きを管理し、経済を支える企業群のことを指します。まさに経済の血流とも言える存在です。その中心的存在が銀行であり、預金業務や貸付業務、為替業務などを通じてお金の融通を行っています。国内の銀行は、メガバンクや信託銀行、各都道府県に本店を置き、業務を行う地方銀行、インターネットバンキングを主体とするネット銀行、コンビニや商業施設等にATMを設置し、決済サービスの提供を主体とする流通系銀行などの多様な形態があります。
また、金融業界には銀行以外にもさまざまな企業が存在します。証券会社は金融商品の販売を担当し、生命保険や損害保険会社は保険商品の提供を行っています。その他にも、クレジット会社、信販会社、リース会社などがあります。
大手金融グループと業界の動向
ここでは、大手金融グループについて見ていきます。金融業界には、幅広い業種が存在します。各グループ企業のつながりも多いことから、業界全体を把握することが重要です。また、金融業界の動向についても理解を深めましょう。
■大手金融グループについて
全国の主要都市に支店を持つメガバンクは、証券・信託・カード・リースなどのグループ企業と金融グループを形成し、総合的な金融サービスを提供しています。国内においては三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3大金融グループがこの業界をリードしています。
【三菱UFJフィナンシャル・グループ】
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、銀行業務から証券、リースまで、あらゆる金融サービスを手がける日本最大級の金融グループです。世界中に広がるネットワークを生かし、国内外問わず多彩な顧客に対応しています。新しい金融サービスの開発に力を入れ、顧客の利便性を追求しています。MUFGは、地球環境や社会問題への取り組みも積極的に行い、企業の社会的責任を重視しており、単なる金融機関ではなく、社会全体に価値を提供し続けることを目指している企業グループです。
[グループ会社]
・株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
・株式会社三菱UFJ銀行
・三菱UFJ信託銀行株式会社
・三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社
・三菱UFJニコス株式会社
・日本マスタートラスト信託銀行株式会社
・株式会社ジャックス
・東銀リース株式会社
【三井住友フィナンシャルグループ】
三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は、先進的なデジタル技術の活用と国内市場における強固な地位が特徴です。特にデジタルトランスフォーメーションに注力し、モバイルバンキングやAIを利用した顧客サービスの向上に努めています。国内では中小企業や個人顧客への密接なサービス提供に強みを持ち、地域社会との連携を重視しています。また、SMFGは金融業界内での持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みも積極的で、環境や社会問題への責任ある投資を推進しています。これらのアプローチは、顧客ニーズへの迅速な対応と社会価値の創出に貢献しています。
[グループ会社]
・株式会社三井住友フィナンシャルグループ
・株式会社三井住友銀行
・株式会社SMBC信託銀行
・三井住友ファイナンス&リース株式会社
・SMBC日興証券株式会社
・三井住友カード株式会社
・SMBCコンシューマーファイナンス株式会社
・株式会社日本総合研究所
・三井住友DSアセットマネジメント株式会社
【みずほフィナンシャルグループ】
みずほフィナンシャルグループは、総合的な金融サービスを提供する日本の大手グループです。FinTech(フィンテック)を活用した新しい金融サービスの開発に注力しており、業界内での新たなビジネスモデルの創出を目指しています。また、社会的課題解決に貢献する金融商品やサービスの提供にも積極的で、地球環境問題や社会的包摂※に焦点を当てた事業展開を行っています。みずほは、これらの取り組みを通じて、顧客との長期的な関係構築と社会全体への貢献を目指している点で、他の大手金融グループとの差別化を目指しています。
※社会の中で全ての人々が平等に参加できること
[グループ会社]
・株式会社みずほフィナンシャルグループ
・株式会社みずほ銀行
・みずほ信託銀行株式会社
・みずほ証券株式会社
・みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
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■金融業界の動向
1:AIとオートメーション化
金融業界では、AIが業務に組み込まれ、業務の自動化が進行しています。現時点では、主に既存業務の効率化に焦点が当てられていますが、将来的には、「AIによる仕事の置き換え」が一部で起こる可能性があることを認識しておく必要があります。
具体的な例としては、三菱UFJ銀行の「ペーパーレス化」の取り組みがあります。アメリカのスタートアップ企業との協業で、ロボットやAIを導入したことが話題になっています。
さらに、サイバー攻撃の検知や融資業務の審査にAIを活用する取り組みも見られ、今後ますますAIによる自動化の動きが加速するでしょう。
■「AIに仕事が奪われる?」
2015年、野村総合研究所(NRI)と英国のオックスフォード大学が共同で行った研究によって、日本の労働人口の約半数が、人工知能やロボットなどで置き換え可能であるという報告があり大きな衝撃が広がりました。皆さんも、「AIに仕事が奪われる」といった話を聞いたことがあると思います。
金融業界に限らず、AIやロボットに代替可能な仕事が増えるのは事実ですが、悲観することはありません。金融業界においても、人間にしかできない仕事は今後も形を変えつつ存在し続けるでしょう。例えばクライアントと深い関係を築き、パーソナライズされた金融計画や投資アドバイスを提供する顧客管理や、顧客のニーズに応じた独自の金融商品やサービスの開発、倫理的な問題への対応、透明性と公正性を確保するための倫理的管理など、これらの業務は高度な専門知識、判断力、コミュニケーションスキルを必要とするため現時点でAIやロボットでは代替が難しいものです。技術が進化しても、これらの能力を持つ人材の重要性は変わらないと考えられます。
2:FinTech(フィンテック)の台頭
FinTech(フィンテック)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた言葉で、革新的な技術を用いた新しい金融サービスや事業領域を指します。例えば、ブロックチェーン※1技術は、仮想通貨だけでなく、不動産や株式の取引における透明性とセキュリティを高め、取引コストを削減しています。AIの導入は、顧客の支出パターンやリスク許容度を分析し、投資をアドバイスするロボアドバイザーも誕生しています。また、P2P融資※2プラットフォームは、伝統的な銀行を介さずに個人間で直接融資ができるようにし、より多くの人々に資金調達の機会を提供しています。これらの技術は、顧客サービスの向上、新たな金融商品の開発、手数料の低減など、金融業界に革命をもたらしています。
これから金融業界を目指す学生さんは、金融知識と同様に職種に応じてプログラミング言語(例:PythonやJavaScript)の学習、ブロックチェーンやAI技術の基礎理解を深めることも重要となっていくでしょう。
※1:ブロックチェーン:取引記録を複数のコンピューターに分散して保存する技術。この方法により、改ざんが非常に困難な、透明で安全なデータベースが実現される。
※2:P2P(ピアツーピア)融資:個人間で直接お金を貸し借りする仕組み。従来の銀行を介さず、オンラインプラットフォームを通じて資金を必要とする人と余剰資金を持つ人を繋ぎ、融資プロセスが迅速かつ効率的になり、低金利での融資や、銀行から融資を受けられない人々への資金提供が可能になる。
金融業界で働く魅力とは?新卒の給与について
金融業界で働く魅力はいくつかありますが、ここでは「5つ」をピックアップしてご紹介します。
■金融業界で働く5つの魅力
1.専門知識を身に付けられる
・金融商品や経済に関する専門知識を学ぶ機会が多く、自身のスキルアップにつながる。
・身に付けた知識は、資産形成などプライベートでも役立つ。
2.社会貢献度の高い仕事
・企業や個人の資金調達を支援することで、経済の発展に貢献できる。
・顧客の生活を支える重要な役割を担う。
3.グローバルな活躍の場
・海外に拠点を持つ金融機関も多く、海外勤務の機会がある。
・国際的な金融市場で活躍できる人材を育成するプログラムも充実している。
4.多様な職種
・銀行、証券会社、保険会社などさまざまな業態があり、自分に合った職種を見つけられる。
・営業、事務、システム開発など、幅広い職種から選べる。
5.高い給与水準と充実した福利厚生
・金融業界は他の業界と比べて、平均年収が高く、安定した収入を得られる。
・多くの企業で、住宅手当、家族手当、各種休暇制度など、福利厚生制度が充実している。
【ここに注目!】
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループの3メガバンクグループの初任給(大卒)は20万5000円で横並びが10年以上続いていましたが、初任給引き上げの動きが相次いでいます。三井住友銀行が物価上昇対策とモチベーション向上のため2023年4月の新卒初任給を5万円増の25万5000円に引き上げました。三菱UFJ銀行も2024年4月の新卒初任給を5万円引き上げ、みずほフィナンシャルグループは2024年4月の新卒初任給を5万5000円増の26万円にすると発表しました。また傘下銀行などのパート社員6000人を対象に、時給を最大2割上げることも発表しています。
新卒と給与が逆転しないよう入社済みの若手社員の賃金も引き上げられる予定です。メガバンクの給与引き上げをきっかけに、全国の地方銀行も追随の動きを見せています。また22歳~65歳まで働くとすると、中間地点である40代の年収に関して高い水準となっているのも特徴的です。
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金融業界で働く人材に求められる資質
金融業界はビジネスパーソンとしての力を向上できることや平均年収が高いことなど非常に魅力的な業界です。ここでは、金融業界で働く人材に求められる資質について、3つご紹介します。どのような人材が向いているか理解しましょう。
■求められる「資質」3選
1:倫理観・誠実さ
「お金」は個人や企業にとって非常に重要なものであり、金融機関は顧客の信頼の上に成り立っています。そのため顧客の利益を第一に考え、誠実に対応することが求められます。これは、顧客との長期的な関係を築き、金融機関の存続にもつながるからです。不正行為は顧客の信頼を損ない、金融機関の信用を大きく失墜させるため絶対に許されません。
2:コミュニケーション能力
顧客のニーズを正確に把握し、適切な提案を行うためには、顧客とのコミュニケーションが不可欠です。社内でもチームワークが重要視されるため、上司や同僚と円滑にコミュニケーションを取ることが求められます。顧客に安心感を与え誤解を防ぐためにも、コミュニケーション能力を生かしてわかりやすく適切な説明ができる人が向いています。
3:向上心
金融業界は変化が激しい業界であり、常に新しい知識を学ぶ必要があります。市況の変化や経済情報に敏感になることで顧客のニーズに迅速に対応することができます。自ら積極的に学び、スキルアップしていく姿勢が求められます。自ら学び成長することで、この業界で活躍できる人材になるでしょう。
金融業界は、人々の生活を支える重要な役割を担っています。責任感と倫理観を持ち、学び続ける姿勢があれば、金融業界で活躍できる可能性は十分にあります。
■金融業界で活躍するポイント
高収入で安定性があり、専門性も磨ける。そして社会貢献も身近に感じられる金融業界。しかし企業や個人の「大切な資産」を扱うが故の責任やプレッシャーを常に感じる仕事になります。
そのプレッシャーに打ち勝ち活躍するためには、目まぐるしく変わる金融業界のサービスや技術に適応するための継続的な情報収集と勉強が必要になってきます。
また、同じ金融業界でも、業種(銀行、信金、保険、証券等)、職種(営業、トレーダー、アナリスト等)によって仕事内容は大きく異なりますので、この業界の中で自分の資質や価値観に合う仕事を探していくのも良いでしょう。「理想の職場」を見つけるためには、業界研究と自己分析が欠かせません。
業界研究と並行して、自己分析をバージョンアップしながら自分の「強み」や働く上での「価値観」を明確にし、企業とマッチするところを探していくことで、理想の企業を見つけることができます。
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まとめ
金融業界は、AIやFintech(フィンテック)などの技術革新により、新しいサービスやビジネスモデルが続々と登場し、ますます複雑で多様な業界へと進化しています。
変化の激しい時代だからこそ、最新情報を積極的に学び、新しいスキルを身に付けることで、金融業界で活躍できるチャンスが広がるでしょう。
\銀行、証券会社、保険会社を志望する就活生に業界の基礎知識や内定者のリアルな声をお届け!/
PROFILE
桜川りえ
国家資格キャリアコンサルタント
短大卒業後、10回転職を経験。ライフステージに合わせた“柔軟な働き方”をいち早く実践。コンプレックスだった転職回数の多さを「強み」に変えてキャリア支援の道へ。2019年より都内私立大学にてキャリアカウンセラーとして従事し、現在はオンラインによるキャリア相談を実施。学生・女性支援を専門領域として活動中。正規・非正規雇用、業務委託などあらゆる働き方を経て、2021年5月個人事業主となる。同年11月、「HSP×転職」をテーマにKindle書籍を出版し好評を得る。2023年3月オンラインコミュニティ「就活サードプレイス」開設。「就活×保護者」をテーマにセミナー開催。「就活」を切り口に親子関係の問題に取り組んでいる。現役就活生の母。オンラインコミュニティ「就活サードプレイス」運営