短期インターンシップの選び方や応募前に押さえておきたいポイントを解説

インターンシップ・キャリア

公開日:2024.09.11

短期インターンシップの選び方や応募前に押さえておきたいポイントを解説

「実際に業務の一部を体験して、卒業後の進路や就職活動について考えてみたい」という皆さんにとっておすすめなのが、短期インターンシップ。本記事では、短期インターンシップのメリット、探し方、参加にあたって気をつけたいポイントなどについて解説します。

短期インターンシップとは?

短期インターンシップとは、5日間から2週間未満で行われる就業体験を含むインターンシップです。主なプログラムの内容としては、その企業が属する業界の概要説明、自社の事業説明、一部の業務体験、グループワークなどがあげられます。

企業が短期インターンシップを開催する主なメリットは、企業価値の発信や優秀な人材の発掘ができる点です。一方で学生の皆さんが短期インターンシップに参加するメリットは、業務を実際に体験することで、企業文化や働き方などについて理解を深めることができる点です。短期間の開催のため複数のインターンシップに参加することができる点も大きな魅力ですね。

またコロナ禍以降、テレワークの普及に伴い、一部でオンライン参加できる短期インターンシップもでてきました。全国どこからでも参加でき、以前より学生の皆さんが参加しやくなっているといえます。

なおインターンシップには、期間が2週間以上にわたる長期インターンシップもあります。短期と長期の違いは、以下の記事を参考にしてください。

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短期インターンと長期インターンの違いは?特徴を理解して参加しよう!!

短期インターンシップの具体的な内容とは?

短期インターンシップでは、「社員の指導の下、業務の一部に取り組む」、「オフィスや店舗、工場、商談の場など、実際に社員が働く現場を見学する」、「参加者同士でグループワークをして、学びを深める」といった体験ができます。プログラムの最後にある社員からのフィードバックは、参加者それぞれの強みや改善点などの課題理解にも有効です。

具体的にどんなことを体験できるのか、2つの例を見て参考にしてみましょう。


<例1 模擬業務体験とグループワーク(電子部品メーカーの例)>

【1日目】
◇業界・自社についての説明
・電子部品とは、電子部品メーカー業界全体の概要
・業界の中での自社の立ち位置、強み
・自社の企業理念やミッション、事業内容、社内分掌、営業職の業務についての説明

◇課題解決のグループワーク
・自社を取り巻く市場環境に関するデータ資料などをもとに、グループに分かれて「自社の課題とその解決に向けて取り組むべきこと」を事業プランとして企画、提案(プレゼンテーション)をする
・提案内容やプレゼンテーションについて、社員からフィードバック

【2~3日目】
◇施工体験
・工場見学を通じて、製品の製造工程を学ぶ
・実際に現場で使われる工具や設備を使いながら、簡易な部品の組み立て作業や検査体験を行う
・製品の品質基準や安全管理の重要性について説明を受け、現場の作業がどのように営業活動につながるかを理解する

【4日目】
◇営業のロールプレイとグループワーク
・営業社員役、お取引先企業役に分かれて、商談のロールプレイ(模擬体験)
・社員からのフィードバック
・2~3日目の施工体験、ロールプレイのフィードバックを踏まえ、「営業担当者として必要な意識と行動」についてグループワーク

【5日目】
◇報告資料作成
・4日間の体験内容と成果を報告資料の形にまとめる

◇プレゼンテーション
・参加者から社長に向けてインターンシップの成果をプレゼンテーション
・社長および指導役社員から参加者個人へのフィードバック

◇社員交流
・社員との座談会


<例2 商品企画体験および店舗業務の体験(菓子メーカーの例)>

【1日目】
◇自社についての理解を深める
・企業理念、沿革、事業内容などの説明

◇直営店舗にて販売の基本を理解する

・自社の販路、販売メソッドの説明
・ロールプレイを交えた接客マナー研修

【2日目】
◇商品企画についての理解を深める
・商品企画の流れについて説明

◇商品企画の疑似体験
・与えられたテーマに沿ってマーケットやターゲットの仮説を立て、商品企画立案・提案を行う
   
【3日目】 
◇店舗販売の実践
・販売員の業務について説明
・1日目の研修内容を踏まえ、店頭にて販売の実践
・現場社員からフィードバック

【4日目】 
◇商品管理についての理解を深める
・商品管理センターの見学
・商品管理や物流、棚卸についての説明

【5日目】 
◇まとめ
・5日間の成果についてディスカッション、プレゼンテーション
・インターンシップ担当者からフィードバック


2つの例をご覧になっていかがでしょうか。内容の差こそあれ、ほかのインターン生や社員とともにさまざまな活動に取り組む場面が多いことがおわかりかと思います。短期インターンシップでは周囲の方々と積極的にコミュニケーションを図り、目指すゴールを達成するために自分に何ができるかを考え、行動していくことが求められるのです。

短期インターンシップに応募する際のポイントや注意点

これから短期インターンシップに応募しようと思っているけれど、何を決め手に企業やプログラムを絞り込んだらいいかわからない…。そんな方にむけて、さまざまなプログラムの中から自分に合ったものを選択する際のヒントを挙げてみました。

1.興味のある「業界」がある場合:
興味のある業界から、何社かインターンシップを選んで応募してみましょう。同じ業界でも企業ごとに業務内容や特徴は異なります。複数の企業を比較することで、業界や企業について理解を深めることができます。

2.興味のある「職種」がある場合:
「営業職」「企画職」「マーケティング職」など、気になっている職種がある方は、職種で絞り込んでみましょう。業界や企業にはこだわらず、その職種の業務が体験できるプログラムを探して応募するのがおすすめです。それぞれの職種の具体的な仕事がどんなものか、イメージを膨らませることに役立つでしょう。

3.興味のある企業・職種・業界がわからない場合:
将来、どんな企業、職種、業界で働くのがいいのか、自分でもいまひとつよくわからない…。そんな方は、趣味や大学の専攻分野に関連する業界などから探してみましょう。たとえば、「ニュースで話題になっているサービス」「大学で使っている実験器具のメーカー」など、ヒントは身近なところに転がっています。

それも難しいという方は、ご自分の都合に合う日時・地域で実施されているインターンシップから応募したいプログラムを探すのも一つの手です。インターンシップに参加することで、社員との関わりや実際の業務を通じて、これまで意識していなかった職業への興味や、働くことの面白さが実感できるかもしれません。

「そんな無計画でいいのかな…」などと思わず、とにかく動いてみましょう。思わぬ偶然が、大きなキャリアの転機につながることもよくあるのです。また、思い描いていたイメージと違ったとしても、「こういう業界や職種、社風は自分に合わないんだな」という学びになります。時間の無駄だと思わずに、立派な「経験」としてストックしていきましょう。

理想のインターンシップを探す方法

短期インターンシップの探し方には、主に3つの方法があります。

1.大学のキャリアセンターの活用:
キャリアセンターには、企業からインターンシップの募集も含めたくさんの情報が集まってきます。それらを学生の皆さんが活用しやすいようにデータベース化したり、定期的に発信しているため、キャリアセンターのホームページを見たり実際に足を運んだりして、タイムリーにインターンシップの情報をゲットしましょう。またキャリアセンターのスタッフは学生の選考や将来のキャリアプランに合ったインターンシップ先を紹介してくれます。各学部での学びや先輩の傾向などをふまえた就活アドバイスを受けられるキャリアセンターを活用しましょう。

2.気になる企業の公式WEBサイトから探す:
もし既に気になる企業がはっきりしているのであれば、企業公式WEBサイトの採用情報をチェックすることもおすすめです。こちらには、本選考のほかにインターンシップの案内ページが設けられていることが多いです。このページにアクセスすると、現在募集中のインターンシッププログラムの内容や、エントリーの仕方などの詳細情報をつかむことができます。

3.就職情報サイトから効率的に探す:
ご自身が登録されている就職情報サイトから現在募集しているインターンシップを検索してみましょう。キャリタス就活にもさまざまなインターンシップが掲載されています。下記リンクをクリックし、開催月や地域、職種などこだわりの条件を指定して、効率的に理想のインターンシップ先を探してみましょう。短期インターンシップを探す場合、種類は「汎用的能力活用型インターンシップ」を指定してくださいね。

インターンシップ参加に選考がある場合の対策

有名企業や人気企業のインターンシップは応募者が多くなるため、選考を設ける企業も少なくありません。インターンシップの参加に伴い、以下のような選考が課せられる可能性があります。

・エントリーシート(ES)
・適性検査
・グループディスカッション
・面接

それぞれの形式や対策についてご説明します。

■エントリーシート(ES)

まずエントリーシートは、アンケートのようにWEBフォームに書き込んでいく形式、あるいはPDFやExcelなどのフォーマットに記入して提出する形式が主流です(メールに添付して送信、あるいはWEBサイトにアップロードするなど)。質問項目で多いのは「当社のインターンシップに応募した理由」や「インターンシップでの学びを今後にどう生かすか」、「学生時代に力を入れたこと」などです。

エントリーシートは書類選考の資料となるだけでなく、その後の面接でも使用されます。そのためインターンシップの志望動機をしっかりと考え、「このプログラムに参加して何を得たいのか」を明確に言語化しましょう。企業は選考を通じて応募者の参加意欲や熱意を確認したいと考えていますから、「どのような目的をもって参加を希望するのか」をいかに具体的に伝えられるかがポイントになります。また企業研究と自己分析を十分に行いましょう。先にあげたプログラム例からもわかるように、短期インターンシップで扱われるテーマはその企業の事業に関係するものがほとんどです。具体的にどのような事業を展開しているのか、ビジネスモデル、代表的な製品・サービスなどをしっかりチェックしましょう。その上でエントリーシートや面接の中では、「インターンシップを通して、貴社のことをさらに学びたい」という意欲をアピールしていきたいですね。

■適性検査

2023年春に卒業した内定者に実施した調査結果「2022年内定者調査」(日経HR、2022年9月)のデータによると7割近くの企業がインターンシップ等の選考において適性検査を設けていることがわかりました。そのため適性検査の対策をしっかり行いましょう。以下の記事で詳しい形式や内容についてまとめています。どんな傾向の問題が出るのかを把握し、早めに対策をしていきましょう。

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就活でよく出る適性検査の種類から対策までを徹底解説。「SPI」「玉手箱」形式WEBテストの練習問題も

■グループディスカッション

選考の一貫として学生のコミュニケーション能力や論理的思考力などを見るためにグループディスカッションを行う企業もあります。グループディスカッションは企業から出題されたテーマに対し、グループで役割分担をしながら結論を導くワークです。はじめてグループディスカッションに参加する学生さんも多いと思います。そんな方はグループディスカッションを通じて、何が評価され、どのような対策が必要なのか事前にチェックしておくことが大切です。

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グループディスカッション攻略術!役割理解と振り返りのコツ

■面接

そして、忘れてならないのは面接対策です。インターンシップ選考での面接は、多くの方にとってはじめての面接体験となり、不安や心配が尽きないことと思います。

そういう時こそ、人の力を借りましょう!大学のキャリアセンターでは、キャリアカウンセラーや職員の方々が模擬面接の相手をしてくれます。面接は慣れることが重要ですので、場数を踏み客観的なアドバイスをもらって、本番で力が発揮できるように備えておきましょう。

また「大学時代に力を入れたこと(ガクチカ)」に関しては、学生時代に取り組んだことの説明だけでなく、その経験を通して得たことや、発揮した「あなたらしさ」を語ることができるように、自己分析もしっかり行っておきましょう。

まとめ

短期インターンシップは、職場の雰囲気や業務内容を理解し、自分の適性や興味を確認するために非常に有効な機会です。また、複数のインターンシップに参加することで、企業ごとの業務内容や文化の違いを比較しながら理解することができ、自分のキャリアパスを明確にすることもできるでしょう。

また、企業によっては選考なしで参加できる短期インターンを実施するところもあります。その場合、先着順になることも多いので、「これぞ!」と思うプログラムを見つけたら早めのエントリーがおすすめですよ。

短期インターンシップに前向きに取り組み、ぜひあなたのキャリアデザインに生かしてくださいね。

PROFILE

濱野 裕貴子
キャリアコンサルタント・公認心理師・ワークショップデザイナー
大学卒業後、教育系出版社に入社。通信教育の先生方のマネジメントを中心に、キャリアインタビューや機関誌の編集などに携わる。業務を通じて感じた「同じ仕事をしているにも関わらず働く理由や価値観の違いが出るのはなぜか」という問題意識から、「キャリア」に興味を持つように。14年間の勤務後独立し、以後、大学ではキャリアカウンセラーや非常勤講師、企業では研修講師として、学生や若手社会人のキャリア支援に当たってきた。演劇や落語、お笑いなどのパフォーミングアーツに触れることが大好きで、身体表現を使った自己理解のワークショップなども手掛けている。筑波大学人間総合科学研究科生涯発達専攻カウンセリングコース博士前期課程修了(カウンセリング修士)。

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