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企業WEBサイトに顔写真等を掲載する場合の注意点【弁護士が答えます】

就活ノウハウ

公開日:2025.06.04

企業WEBサイトに顔写真等を掲載する場合の注意点【弁護士が答えます】

企業が顧客に自社や商品をアピールするために、自社のWEBサイトには商品・サービスのほか、従業員の紹介ページが設けられることも多々あります。この記事では、学生の皆さんが将来企業に勤めることを想定し、企業のWEBサイトに自分の情報を掲載される際の注意点について解説いたします。

そもそも顔写真等の情報は法的にどのような扱いを受けるか

皆さんも就活をする中で気になる企業について調べていると、社員の方の自己紹介やインタビューが掲載されているサイトを見たことがあるのではないでしょうか。従業員の紹介ページが設けられることについては、情報を受け取る側としても何ら違和感はありません。ただ、もし自分の情報が紹介ページに掲載されるとしたらどうでしょうか?その企業で働き続ける限りは問題ないかもしれませんが、退職した後も紹介ページが削除されずに残っていたとしたらどうでしょう?退職したのに、自分の情報がWEBに残り続けるのは少し嫌ですよね。
そんな時に、まず考えなければならないのは、企業のWEBサイトに掲載された個人の情報が、法的にどのような扱いを受けるかです。
この点については、「個人情報の保護に関する法律」(「個人情報保護法」と略され、わりと世間に周知されている法律です)の守備範囲です。同法では、「個人情報を取り扱うにあたっては、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。」(17条1項)とした上で、「特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。」(18条1項)と定められています。
つまり、ある企業が自社のWEBサイトに従業員の情報を掲載する際は、従業員に対し、その利用目的についてきちんと説明をしなければならないということです。「君の顔写真をWEBサイトに載せたいのだけど、いいかな?」、「はい、いいですよ。」という程度のあいまいなやり取りではなく、最低限「お客様に従業員の紹介をする目的で、必要な情報(写真、氏名、所属部署等)を掲載する。」といった利用目的を明確にする必要があるということです。

退職したのに顔写真等の情報が削除されなかったら?

個人情報を掲載するまでの注意点は前記のとおりですが、掲載した後にも注意点はあります。それは、退職したのに、企業側が自身の情報を削除してくれない場合の措置です。
情報の掲載目的が「お客様に従業員の紹介をすること」にあるとしたら、既に退職した従業員の情報を掲載する必要性はありません。この場合、情報の掲載は目的外利用にあたり、個人情報保護法18条1項に反することになります。
個人情報を目的外利用された場合、企業に対し、利用停止を請求することができます(個人情報保護法35条1項)。そして、請求を受けた企業は、遅滞なく、利用停止措置を講じることとされています(35条2項)。もし企業が情報の削除をしてくれない場合は、このような措置によって対応することができます。
ただし、求職者向けに企業の仕事の流れや雰囲気を伝えることを目的とした社員インタビュー記事などは、退職後に目的外利用を理由として個人情報の利用停止請求をすることが難しい場合があります。

いずれにせよ企業としても、悪意があってWEBサイトに退職者情報を残し続けているのではなく、単に削除を忘れていただけである可能性があります。この場合、元従業員から突然、「個人情報保護法35条1項に基づき情報の利用停止を請求する!」などと通知されると、企業としても面食らってしまうかもしれません。まずは、「あの~、退職したのに私の情報がWEBサイトに残っているので、できるだけ早めに削除していただけませんか?」という程度の穏便な連絡をするのが無難だと思います。またそのような事態を防ぐためにも、個人情報が掲載される場合はいつ時点の情報なのかを明記しておくことが企業と労働者にとって大切でしょう。

PROFILE

定禅寺通り法律事務所
下大澤 優弁護士
退職代行、残業代請求、不当解雇、パワハラ・セクハラなど、数多くの労働問題を取り扱っています。これまでにも、発令された配転( 転勤) 命令の撤回、未払残業代の支払など多くの事例を解決しています。

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