時間外労働の「2024年問題」に直面する業界とは【弁護士が答えます】

就活ノウハウ

公開日:2024.06.19

ここのところ、「2024年問題による運送業の危機!」といった話題が巷を賑わせています。皆さんも、新聞やTVニュースなどでこの話題を目にしたこともあるでしょう。ニュースを見れば、「2024年4月から運送業などの時間外労働規制が厳格になり、トラックドライバーが不足しているらしい」ということは理解できるかと思います。ただ、そもそもなぜこのような事態になっているの?というレベルで、理解をしている方は多くないでしょう。この記事では、時間外労働の2024年問題について弁護士が解説します。

「2024年問題」が発生した理由

ニュースを見ていると、突然2024年問題が発生したかのような錯覚に陥ります。ところが、2024年問題は、2018年(平成30年)時点で予想されていたことなのです。

2018年に何が起こったかというと、働き方改革による労働基準法の改正です。このとき、労働基準法に時間外労働の上限規制を設ける法改正が成立しました。実は、2018年まで、時間外労働の上限規制は存在しなかったのです。2018年の法改正によってはじめて、「時間外労働は原則として月45時間まで、年間を通しては360時間までとする」という罰則付きの規制ができたわけです。

これを聞くと、「あれ?じゃあ、なぜ今さら運送業の時間外労働が問題になっているの?」と思うでしょう。この点が、今回の記事で説明したかったポイントです。実は、2018年の働き方改革では、時間外労働の上限規制が適用される業種に例外が設けられ、経過措置が設定されていたのです。例外となった業種は、①建設業、②自動車運転業、③医業に従事する医師です。これらの業種については、経過措置として、「2024年3月31日までは時間外労働の上限規制を適用しない」という扱いになっていたのです。いずれの業種も社会のインフラを支えるものであり、いきなり時間外労働の上限規制を設けることによって大きな混乱が生じることが懸念されたのでしょう。

この経過措置が2024年4月1日からなくなったため、世間ではあたふたしているということなのです。

2024年4月1日以降どうなった?

さて、2024年4月1日以降、①建設業、②自動車運転業、③医業に従事する医師の時間外労働条件規制はどうなったのでしょうか?

細かな例外があるためすべてを説明することはできませんが、大まかに言いますと、①建設業は年720時間まで、②自動車運転業は年960時間まで、③医業に従事する医師は年960時間(一部1860時間)まで、という規制が適用されます。ただそれでも、月の平均にすると60~80時間の時間外労働が許容されるわけですから、ハードな仕事であるといえるでしょう。

まとめ

この2024年問題は単に時間外労働時間が制限されただけではなく、たとえば物流業界においては人手不足問題を深刻化させ、物流コストの増加はさまざまな業界へ大きな影響をもたらしています。さらに最終的なサービスの受け手でもある私たちにとっても、配送遅延や商品価格の上昇など、日常生活において多くの課題が発生するでしょう。

このようなトレンドや問題をしっかり理解し、業界・職種研究を行うことがあなたのキャリアプランを考える上で重要になってきます。気になる業界のニュースは定期的にウォッチしていきましょう。

PROFILE

定禅寺通り法律事務所
下大澤 優弁護士
退職代行、残業代請求、不当解雇、パワハラ・セクハラなど、数多くの労働問題を取り扱っています。これまでにも、発令された配転( 転勤) 命令の撤回、未払残業代の支払など多くの事例を解決しています。

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