地方就職を成功させるポイントは?キャリア形成や求人の探し方について解説
就活ノウハウ公開日:2024.09.25
就職活動にあたり「地方で働きたい」と考える学生の皆さんもいらっしゃることでしょう。就職はあなたのキャリアに直接的に影響するため、地方就職を検討する方はしっかり情報収集を行うことが大切です。本記事では、地方就職のメリット・デメリット、キャリア形成の傾向、就活のポイントや地方企業の探し方について解説します。地方就職を検討している就活生は、ぜひ参考にしてください。
Uターン・Iターン・Jターンとは?地方就職の定義と特徴を解説
地方就職とは、都市部ではなく地方で就職・居住することを指します。地方就職には、主にUターン・Iターン・Jターンという3つの種類があります。
■Uターン就職
Uターン就職とは、地方で生まれ育ち進学を機に都市部に居住していた人が、地元に戻って就職することです。都市部に向かった後に地方へ戻る様子を、Uターンと表現します。
■Iターン就職
Iターン就職とは、都市部で生まれ育った人が地方で就職・居住することです。都市圏から地方の就職地へ向かう一方通行の様子を、Iターンと表現します。
■Jターン就職
Jターン就職とは、地方で生まれ育ち進学を機に都市部に居住していた人が、地元とは別の地方で就職することです。Uターンとは異なり、地元に戻らずに別場所へ移る様子を、Jターンと表現します。
都市での就職との違いをチェック!地方就職のメリット・デメリット
地方就職を検討する際に、都市での就職との違いや地方就職のメリット・デメリットを理解することは大切です。具体的なポイントを見ていきましょう。
■都市・地方就職の違い
都市・地方での就職における違いは、一般的に次のような傾向があります。
■地方就職のメリット
地方就職の主なメリットは以下のとおりです。
・生活費が安く、貯金しやすい
・通勤時にストレスを感じにくい
・地域貢献しやすい
・生活費が安く、貯金しやすい:
地方就職のメリットの一つは、生活費を抑えやすいことです。地方では、都市部と比べて物価が安い傾向にあります。2022年の「消費者物価地域差指数」によると、物価水準がもっとも高い東京都ともっとも低い宮崎県との比率は1.09倍となっています。給料次第ではあるものの、地方では家賃や駐車場代など生活費を抑えることで貯金しやすい環境といえます。
・通勤時にストレスを感じにくい:
満員電車による通勤ストレスを感じにくい点もメリットに挙げられます。都市部と比べ公共交通機関が充実していない地方は車社会であることから、車通勤が認められているケースが珍しくありません。都市に比べて渋滞に巻き込まれる心配も少ないので、毎日快適に通勤できるでしょう。
・地域貢献しやすい:
仕事を通じて地域貢献しやすいことも、地方就職の大きな魅力といえます。企業数が少ない地方では特に、企業が地域にもたらす影響力が強まります。地域の発展に貢献している実感を得られるので、やりがいを感じながら働けるでしょう。
これらのほかにも、地方活性化の一貫として都市部からの移住・定住者向けに住宅に関する補助金や就業支援金を給付する自治体も少なくありません。ただし、メリットだけでなく、デメリットについてもしっかり理解しておくことが大切です。
出典:総務省「消費者物価地域差指数-小売物価統計調査(構造編)2022年(令和4年)結果- 」令和5年
■地方就職のデメリット
地方就職の主なデメリットは、以下のとおりです。
・年収が低め
・求人数が少なめ
・人脈を広げにくい
・年収が都市と比較すると低め:
都市での就職と比べ年収が低い傾向がある点は、地方就職のデメリットといえます。たとえば「令和5年賃金構造基本統計調査」から推定した平均年収が東京都では約581万円であることに対し、青森県では約384万円です。年収に差がある一方、先述のとおり地方では生活費を抑えやすいため、収支バランスを考慮するとデメリットに感じないケースもあるでしょう。
出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 」
都道府県、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与そのほか特別給与額
企業規模計(10人以上)、男女計
東京都:きまって支給する現金給与額397千円×12カ月+年間賞与そのほか特別給与額1043.3千円にて算出
青森県:きまって支給する現金給与額271.9千円×12カ月+年間賞与そのほか特別給与額575.6千円にて算出
・求人数の少なさ:
求人数が少ない点も、地方就職のデメリットに挙げられます。地方は都市部と比べて企業数が少ないため、相対的に求人数も少なくなります。また地方に本社を構える企業は限られていることから、大企業に就職する難易度も高くなります。一方、地方では都市部ではほとんど見られない林業・酪農・漁業・畜産業といった第一次産業の仕事も選ぶことができます。
・人脈を広げにくい:
人脈を広げにくい点も、地方就職のデメリットといえるでしょう。多様なバックグラウンドをもつ人材が全国や世界各地から集まる都市部と比べると、地方では出会いの幅や交流の機会が限られてしまいます。その反面、仕事仲間や地域住民とは深い関係を築きやすいでしょう。
これらに加え、車がないと行動しにくい点などは、人によってはデメリットに感じるでしょう。このように、地方就職にはメリットだけでなくデメリットも伴います。地方就職を検討する際は、総合的な観点から検討する必要があるといえます。
地方就職におけるキャリア形成の傾向
地方では企業の選択肢が少ない傾向にあり、就職後のキャリアパスも都市部と比較して限定的になりがちです。また年功序列型や、役職が少ない地方企業も少なくありません。
一方、地元の産業や文化に密着した事業を手がける企業では、独自の専門性を身につけることが可能です。若手社員のうちから重要な仕事を任せる地方企業もあります。責任感をもって仕事に取り組むことで将来的にリーダーやマネージャーなどのポジションを目指すこともできるでしょう。
また資格取得支援やスキルアップ研修といったキャリアアップをサポートする制度を導入している地方企業もあります。
就職後にギャップを感じることのないよう、事前に地方就職におけるキャリア形成イメージをしっかり調べておくことが重要です。
■地方企業で形成されやすい「横のキャリア」
地方企業では、「横のキャリア」が形成されやすい傾向にあります。横のキャリアとは、幅広いスキルを備え、複数の分野や業務に柔軟に対応できるキャリア形成を目指すアプローチのことです。たとえば地方のIT企業の場合、一人の社員にITエンジニア、プロジェクトマネージャー、コンサルタントといった幅広い役割が求められることがあります。
多様なニーズに応える力を身につけることで、自身の成長やキャリアアップを期待できるほか、地方の振興・発展にも貢献しやすくなります。
■キャリア形成支援を行う地方企業の例
・東北電力 (本社:宮城県仙台市)
キャリタス就活が集計した「宮城県|売上高ランキング 」にて1位に輝いた東北電力では、「OJT(職場内教育)・Off-JT(職場外教育)を通じた実務能力の向上」と、「個人の成長を促す自己啓発助成制度」を連動させた人材育成を推進しています。AIを活用した教育プラットフォーム「T-next」の提供により、社員一人ひとりに合わせた学びを社員自らが探して学習し、キャリア形成につなげていることも特徴的です。
・日鉄工材 (本社:新潟県上越市)
各種特殊合金を加工・販売するメーカーの日鉄工材は、6段階の階層別教育、「力量」の独自認定制度、キャリアプランと連携した力量評価システムの導入など、個人の能力の見える化や能力評価の仕組みの構築に向けた人材育成を実施しています。これらの取り組みにより、厚生労働省による「グッドキャリア企業アワード2019」の大賞を受賞しました。
・平和堂 (本社:滋賀県彦根市)
総合スーパーを経営する平和堂は、先輩が後輩のよきサポーターとなる「新入社員サポーター制度」、キャリアアップ研修をはじめとした各種研修など、社員の成長をサポートするさまざまな制度や研修を整えています。また同社は、「滋賀県|売上高ランキング 」において1位を獲得しています。
地方就職で後悔しないためにおさえるべきポイント
地方就職するか悩んだ時は、次のポイントを意識して自身が地方就職すべきか判断していきましょう。
・キャリアビジョンを設定する
・地方就職を目指す理由や希望条件を明確化する
・情報収集をしっかり行う
・キャリアビジョンを設定する:
「将来こうなりたい」という理想像を定めておきましょう。仕事だけでなく、プライベートも含めて考えることがポイントです。キャリアビジョンを設定することによって自分の価値観や将来の目標が明確になり、自分に合った企業の特徴を把握しやすくなります。
・地方就職を目指す理由や希望条件を明確化する:
就職に対する自分の価値観や希望条件を把握し、「なぜ地方就職したいのか」という理由を明確にしておくことが大切です。自分の理想から外れた就職をしてしまった場合、不満やストレス、後悔につながるためです。希望する条件がいくつもある人は、優先順位を決めて就活に取り組みましょう。
・情報収集をしっかり行う:
より自分に合った企業を見つけるために、情報収集をしっかり行うことも重要です。後述する地域の商工会議所やハローワークなども活用しながら、最新の求人情報をチェックしましょう。また、地方就職の希望者に向けたサポート体制を整えている自治体もあります。就職活動でかかった交通費の支援や移住支援などさまざまなサポートを受けられる可能性があるため、事前にチェックしておくとよいでしょう。
そのほかにも地域主催の就活イベントや交流会などがあれば、積極的に参加してみてください。インターン・キャリアや企業訪問などを通じて、実際の職場の雰囲気や業務内容を体験することもおすすめです。地域の人々とのつながりを築くことで、就職活動をスムーズに進めやすくなります。
■地方企業の探し方とは
地方就職を目指す場合、新卒向けの一般的な採用情報サイトに加え、地域の商工会議所やハローワークの活用、希望する地域に特化した求人サイトがあれば、利用してみましょう。自治体や商工会議所が独自の求人サイトを運営しているケースもあります。また、厚生労働省のプロジェクト「LO活」では、全国46道府県の自治体と連携し地方就職に特化した情報を発信しています。
キャリタス就活では、地元企業の求人も積極的に扱っています。企業情報はもちろん、インターン・キャリアや採用情報、説明会情報などを、本社や勤務地のエリアから検索することが可能です。採用情報検索やインターン・キャリア検索の「福利厚生・制度」内に「転居を伴う転勤なし」の検索項目もあります。ぜひお役立てください。
まとめ
都市での就職も地方就職もそれぞれ異なる魅力があるため、どちらがよいということはありません。最終的にどちらの選択が自分にとって最適かを見極めるためには、就職に対する自分の価値観や希望条件を把握し、「なぜ地方に就職したいのか」という理由を明確にしておくことが大切です。
もし自身で考えて悩むようであれば家族や友人、学校のキャリアセンターなどに相談してみましょう。キャリタス就活の「あんしん相談」では、就活に関するあらゆる悩みをプロのアドバイザーにメッセージで無料相談できます。ぜひご利用ください。
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PROFILE
麻 桃子(あさ ももこ)
印刷会社の制作部門にてコピーライター・ディレクターとして勤務後、2021年よりフリーライターに。市役所での勤務経験もあり。会社員・公務員・フリーランスなどさまざまなスタイルで働いた経験を生かし、幅広いジャンルで執筆中。