逆質問を制する者は就活を制す!質問の精度をさらに上げるコツとは

就活ノウハウ

公開日:2024.07.03

面接中に、面接官から「何か質問はありますか」と聞かれることがよくあります。これを「逆質問」と言います。逆質問は、単なる質問と分けて考える必要があります。なぜなら逆質問は応募者がその企業にどれほどの興味を持っているか、また事前準備を適切に行ってきたかをアピールする重要なチャンスだからです。本記事では、逆質問がされる理由や質問内容を考える上でのポイント、聞きづらい質問を上手に言い換え、自分が知りたい情報を得るテクニックなど紹介します。

面接官が逆質問をする理由

面接において逆質問がされる理由は、応募者の会社への関心や理解度を測るためです。質問の内容から応募者の準備度合いやリサーチ力を評価できます。そのため、表面的な質問ではなく、しっかり企業研究を行った上で本当に知りたいことを質問する力が求められます。また、その質問を通じて応募者自身の言語化能力や将来のビジョンなどさまざまなことをアピールすることが可能なため、逆質問はとても重要な機会であるといえます。

逆質問を考える際のポイントと例文

逆質問は、面接特有の定型化された会話ではなく、ユニークな質問をする機会です。質問の内容によっては面接官に強い印象を残せます。また企業側も応募者がどのような価値観を持ち、何に興味があるのかをより感じ取ることができます。

質問を準備する際には「何か質問を見つけなければ」と焦るのではなく、採用情報や企業サイトで得た情報に基づいて深掘りし、自分のキャリアプランや価値観と企業の方針がどのように一致するかを探るための質問を考えることが重要です。単に情報を得るのではなく、具体的で自分にも関連性のある質問を心がけましょう。たとえば、「将来〇〇職に就くためのキャリアパスを教えてください」といった将来の目標を実現するためのヒントを得たり、企業とのマッチ度を確認する上でも逆質問は有効です。一方で、逆効果となり評価を下げてしまう逆質問もあります。たとえば給与、休日・休暇、退職金など待遇に関する具体的なことや、求人情報を見ればわかるような質問は避けておきましょう。これらは、企業への関心や仕事に対する熱意が低いととらえられかねません。

ではどのような質問をすればよいのか、ポイントと例文を確認していきましょう。

■印象に残る!逆質問のポイントと例文

1.企業や業界への深い理解を示す質問
企業研究だけでなく、業界動向やライバル企業の研究までできていることを示すことで、あなたのリサーチ力を評価してもらえます。

「御社のIR報告書を拝見しました。今後の○○事業に関して、△△の導入が業務プロセスや製品にどのような影響を与えるでしょうか?」

「今後数年間で予測される市場変化や規制の改正は、業界にどのような影響を与えるでしょうか。また、御社はどのように対応なさいますか?」


2.自分の成長と学びの意欲に関する質問
企業は長期的に貢献してくれる社員を求めています。そのため成長や学びに対する強い意志を示すことで積極的な姿勢を評価してもらえます。

「社員の成長やキャリアアップを支援するために、どのような研修制度やサポート体制がありますか?」

「将来○○職につきたいと考えています。そこに至るにはどのようなキャリアパスが考えられますでしょうか?」


3.企業文化や職場環境についての質問
企業とのマッチ度を測る上で、企業が大切にしている文化やチームについて質問することは有効です。またそれらの環境に適応できる、適応したいとアピールすることでその企業の一員になりたいと強く望んでいることを伝えられます。

「社内のコミュニケーションはどのように行われていますか?交流を深めるイベントや活動は開催されていますか?」

「普段の業務で、チームでどのように協力しあっているか知りたいです。具体的なプロジェクトの進め方について教えてください。」

■逆効果!逆質問のNGポイントと例文

1.企業情報・採用情報を見ればわかるような質問
企業は逆質問を通じて、応募者の企業への関心度を測りたいと考えています。その上で、企業情報や採用情報等で簡単に調べることのできる質問をすることは、準備不足の印象を与える場合があります。

「御社の主要製品は何でしょうか?」

「勤務時間は何時から何時ですか?」


2.待遇や福利厚生に過度に焦点を当てた質問
働く上で給与や休日・休暇に関することは大事な点です。しかし待遇等の質問ばかりしていると、短期的な利益を目的に就活をしているかのような印象をもたれる場合があります。

「昇給の頻度と、ボーナスの支給額はどれくらいでしょうか?」

「残業は平均何時間ほどでしょうか。また、有給休暇の消化率はどれくらいですか?」


3.ネガティブな印象を与える質問
どれだけ面接の内容がよくても、最後に与える印象は合否の結果に大きく影響を与える可能性があります。最後までよい雰囲気でコミュニケーションを行えるよう、ネガティブな印象を与えかねない質問は避けましょう。

「御社では離職率はどれくらいでしょうか。どのような退職理由が多いか教えてください。」

「今まで、どのようなプロジェクトが失敗に終わったのでしょうか。その事例を教えてください。」

逆効果となってしまう質問には、「時期尚早」の場合もあります。特に待遇に関することは、採用過程が先に進んでから聞くようにしましょう。

聞きにくい質問を上手に言い換える例

先のブロックで「逆効果となってしまう質問例」を挙げましたが、実はそういった内容こそいちばん知りたいことだったりしませんか。そこで、そのままストレートに質問してしまうとネガティブな印象を与えかねない逆質問は、上手に言い換えてみましょう。

いくつかセンシティブな質問を言い換えた例文とポイントを紹介します。

1.残業・休日出勤についての言い換え例
直接的な質問:「残業・休日出勤は多いですか?」
言い換え:
「社員のワークライフバランスを維持するために、作業の効率化など取り組んでいる活動はありますか?」

ポイント:
労働時間をワークライフバランスに結び付けて言い換えます。企業が社員の生活の質をどのように考えているかに興味があることを示します。


2.福利厚生に関する言い換え例
直接的な質問:「福利厚生にはどのようなものがありますか?」
言い換え:
「社員の働きやすさを実現するために、〇〇という制度を導入されていることを拝見しました。このほかに導入されているサポート制度はありますか?」

ポイント:
具体的な福利厚生をリストアップしてもらうのではなく、働きやすさに対する企業の取り組みに焦点を当てます。


3.離職率についての言い換え例
直接的な質問:「離職率はどれくらいですか?」
言い換え:
「社員の定着率を高めるために、どのような取り組みをなさっていますか?」

ポイント:
離職率を直接問うよりも、会社がどのようにして社員の定着を図っているかについてのポジティブな情報を求めることで、企業の育成と支援の体制に対する興味を示します。


4.有給取得についての言い換え例
直接的な質問:「有給休暇は取りやすいですか?」
言い換え:
「入社後は○○に関する資格を取得し、会社に貢献したいと考えています。試験等が平日の場合もあるのですが、資格取得のために有給休暇を取得することは可能でしょうか?」

ポイント:
言い換え例では、資格取得に対する会社のサポート体制にフォーカスを当てています。これにより、面接官に対して応募者は前向きな姿勢をアピールすることができ、会社に貢献しようという印象を与えることができます。


5.転勤の有無についての言い換え例
直接的な質問:「転勤はありますか?その頻度はどれくらいですか?」
言い換え:
「このポジションにおけるキャリアパスを教えていただけますか?将来的に異動の機会も含まれていますか?」

ポイント:
転勤の頻度を「キャリアパス」という視点から問いかけることで、自己の成長とキャリア展望に関心があることを示します。また、異動の機会について質問することで、自然な形で転勤の可能性に触れることができます。


6.勤務形態についての言い換え例
直接的な質問:「勤務形態はリモートが多いですか?」
言い換え:
「入社後はチームとの密なコミュニケーションを取って働きたいと考えております。それに伴い、御社での出社とリモートワークの比率をおうかがいできますと幸いです。」

ポイント:リモートワークの頻度のみを尋ねるのではなく、コミュニケーションという切り口から質問を行うことで、フレキシブルな勤務形態への関心を示しつつ、会社の先進性や柔軟性についても理解を深めることができます。

まとめ

面接において逆質問をする機会が与えられたら、あなたの企業に対する関心の高さをアピールするチャンスだと思いましょう。業界・企業研究を徹底することで自身の評価を高めることができるほか、その企業について聞きたかったこと・知りたかったことを面接官から引き出せるからです。またそれらの質問をすることで、自分と企業とのマッチ度を確認できます。同時に質の高い逆質問は面接官との信頼関係を築く手段になりますので、質問内容の選択と表現方法に注意を払い、逆質問を有効に活用して自己PRを行いましょう。

PROFILE

鳥羽山 康一郎(とばやま こういちろう)
静岡県生まれ。広告制作会社、外資系広告代理店にてコピーライター、クリエイティブディレクター、プランナーとして勤務後、2006年よりフリーランスとして独立。外資系マーケティング理論の知見を生かし、広告・Webライティング等を中心に執筆活動を展開中。地方取材、インタビューも得意とする。

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