「日本にある大学の数は?」がわかっちゃう?「フェルミ推定」「ケース面接」の例題と考え方、対策方法

就活ノウハウ

公開日:2023.11.14

近年ビジネスの現場では、思考力や問題解決能力がより一層重視されるようになってきました。その中でも、「ケース面接」と「フェルミ推定」という2つのキーワードが注目を集めています。選考の場でも、特にコンサルティング業界などではこれらを採用している企業が多く見受けられます。どちらも今重視されている直感力と応用力、論理的思考の高さを見るためのもので、深い関連性を持っています。この記事では、その関連性を深掘りし、これらのスキルを磨く方法についても触れていきます。

ケース面接とは?

ケース面接は、実際のビジネスにおけるシチュエーションをベースにした問題を提示され、その解決策やアイデアを求められる面接の一形態です。Google社の採用面接でも用いられたと言われ、現在では多くのコンサルティングファームやグローバル企業で採用されており、面接官と対話形式で進行する場合が一般的です。応募者の論理的思考力や問題解決能力を評価する目的があります。

またケース面接の場合、分析・提案した結果だけが全てではありません。採用選考に導入している企業は、学生の思考過程やアプローチの質を重視しており、分析能力やコミュニケーションスキルを評価するための手掛かりとします。職務の現場に置いた時にどれだけ力を発揮できるか、シミュレーションすることにもなります。コンサルタントであれば、その場での対応力やプレッシャーに対する耐性なども見られています。

フェルミ推定とは?ケース面接とはどう関係している?

フェルミ推定は、具体的なデータや詳細な情報が不足している状況でも、既知の情報や論理的思考を基にある問題の答えを大まかに推定する手法を指します。例えば、「日本のコンビニの総数は?」といった問いに対して、大まかな答えを導き出すのがフェルミ推定です。

ケース面接では、売上データや顧客のフィードバックなどが提示された際、その情報を基にした市場のトレンド分析や新しい戦略の提案を求められることが一般的です。しかし一方で、正確なデータや情報が与えられない場面も多々あります。そんな時にフェルミ推定の技術を応用することで、限られた情報の中からも答えを導き出すことが可能となります。したがって、フェルミ推定はケース面接を有利に進めるための非常に重要なスキルとなるのです。

フェルミ推定は、正確な答えにどれだけ近いかというより、どのような思考で答えを導き出したのかが重要です。1つの「正解」に縛られることなく、柔軟な思考と多角的な視点からアプローチして問題を捉えることが重要視されています。

■「ケース面接」と「フェルミ推定」、その関連性のポイント

・両者は推論と論理的思考を基盤としている。
・未知の情報を推定・補完する能力が両方で試される。
・ケース面接での情報ギャップをフェルミ推定で埋めることができる。
・実際の業界経験や知識がなくても、フェルミ推定を駆使して課題に取り組むことが可能。
・両者の組み合わせにより、より高度な分析・提案が期待される。

ケース面接とフェルミ推定を採用選考に導入している業界は?

ケース面接やフェルミ推定は、複雑な問題を分析し、論理的に解決策を提案する能力を評価するツールとして使用されています。そういった能力の高い人材を必要としている業界にとって、とても有効な選考方法です。導入している業界は──

コンサルティング業界
特に戦略コンサルティングファームでの採用選考では、ケース面接が中心となることが多く見られます。

・金融業界
投資銀行や、M&A(合併・買収)といった企業評価に関連する職種では、フェルミ推定やケース面接が取り入れられることがあります。

また業界に関係なく、急成長しているスタートアップ企業では新しいビジネスモデルを模索しているケースが多いもの。そこで、思考のフレキシビリティや問題解決能力を評価するためにケース面接が導入されることもあるようです。

ケース面接とフェルミ推定の例題と考え方の例を見てみよう

ここからは例題と考え方を見ていきましょう。なお、今回紹介する考え方はあくまで一例です。どのような論理や推定の過程を経て結論に辿り着いたかが重要ですので、異なるアプローチや結論があっても問題ありません。

■ケース面接

例題1:『新製品の市場投入』
ある企業が新しいスマートフォンを市場に投入する計画をしています。どのような市場調査や戦略を立てますか?

考え方:
まず、現在のスマートフォン市場の規模(流通台数、平均単価、普及率など)や成長率(過去5年間の伸び率、新規契約・機種変更の割合など)を調査。次に、競合他社の製品との差別化ポイントを明確にし、メインターゲット・サブターゲットを設定。それぞれのユーザーにおけるペルソナを想定し、ライフスタイルやスマートフォンの使い方、適正価格を設定。その上で、販売チャネル、メディア戦略、プロモーション戦略を立案しキャンペーンを実行。

例題2:『低迷する売上の原因分析』
とあるアパレルブランドの売上が低迷しています。原因を分析し、改善策を提案してください。

考え方:
低迷の背後要因を、内部・外部の視点から分析。内部では商品ラインナップや価格戦略、外部では市場のトレンドや競合状況を考慮。改善策として、新しいコレクションの導入やマーケティング戦略の見直しを提案。

例題3:『新店舗の立地選び』
都市部での新しいカフェの立地を選ぶ際のポイントを考えてください。

考え方:
人通りの多い場所、他の人気店舗やランドマークの近く、アクセスの良い駅近などを考慮。また、ターゲット層の動向や競合店舗の位置も調査し、最適な立地を選択。

■フェルミ推定

例題1:日本にある大学の数は?

考え方:
人口が集中している東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)・名古屋圏(愛知)、大阪圏(大阪、京都、兵庫)・福岡圏(福岡)の4大都市圏にそれぞれ30校あると仮定。その合計都府県数は9であるので、それ以外の38道府県(47-9=38)に平均10校あると仮定する。さらに東京は大学が集中して存在すると仮定して100校追加すると、その数値を元に計算すると、9×30+38×10+100=750校。

例題2:新宿駅で1日に乗車する人数は?

考え方:
新宿駅を通る主要な路線が8路線あると仮定します。1路線あたりの1日の乗車人数が平均40万人と仮定します。合計すると8路線 × 40万人 = 320万人
※新宿駅はショッピングモール、ホテルなど多くの施設が隣接しており、単なる通勤・通学のためだけでなく、これらの施設を利用するための乗車も考慮する必要があります。

例題3:日本にいる飼い猫の総数は?

考え方:
4家庭に1家庭が猫を飼っていると仮定。また、猫の平均飼育数を1.5匹とする。日本の家庭数を5000万家庭として計算、5000万÷4×1.5 = 1875万匹。
※問題が「猫の総数」だと、野良猫や地域猫の数も考え合わせる必要があります。

例題4:日本にあるスターバックスの店舗数は?

考え方:
大都市には約100店舗、それ以外の都市には30店舗と仮定。大都市10都市と他30都市で計算すると、10×100+30×30=1900店舗。
※「大都市」の具体名となぜそこを選んだかも答えるともっと現実性を帯びてきます。

対策方法を知って選考をスムーズに進めよう!

特定の業界を志望する学生だけではなく、「ケース面接」と「フェルミ推定」に対する対策方法を知ることで、自分がイメージしていない、面接官の質問などに自信を持って臨むことができます。

■ケース面接の対策

事前に様々なビジネスシチュエーションを模倣して考える練習を重ねることが有効です。具体的な産業や市場の知識はもちろん、問題を構造的に分解し、論理的に考える力を養うことが重要です。

・業界研究
応募する業界や会社のトレンド、競合状況、主要な製品やサービスを把握しておきましょう。これにより、具体的なケースに即した解答がしやすくなります。

・時間配分を意識
与えられた時間内に効率的に分析を進め、自分の意見を論理的に順序立てて伝える練習をしましょう。

・リスニング力の向上
面接官の質問や提示される情報をしっかりとキャッチするためのリスニングのスキルアップを図りましょう。友人や先輩とロールプレイを行うことも有効です。

・クリティカルシンキング
問題を多角的に考える習慣を身につける。一つの情報や視点だけに固執せず、異なる視点からのアプローチに挑戦しましょう。

・実例の学習
過去のケース面接の例や、ビジネススクールの教材などを活用して、さまざまなケーススタディを研究しましょう。

ケース面接の対策は、一夜漬けでは難しいものです。日々の情報収集や継続的な練習が必要となりますので、早めの準備を心がけることをおすすめします。

■フェルミ推定の対策

大まかな計算で問題を近似する技術が求められます。例として「東京都内のピザ屋は何軒あるか?」のような問いに答える訓練をし、推定にたどり着くまでのロジックを明確に伝える能力を身につけましょう。

・よく出題されそうな数値の習得
日本の人口、都市の大きさ、世帯数など、基本的なデータや数値を頭に入れておくと、推定の際に役立ちます。

・計算スキルの向上
基本的な数学や統計のスキルを磨き、必要な計算が素早く行えるようにしましょう。

・過去の問題の復習
既存のフェルミ推定の問題を定期的に解き、推定のスキルを磨いてみましょう。

・日常の疑問から推定
普段の生活での小さな疑問(例:この電車に乗っている人数は?)から仮説を立て、推定する練習を行うことで、日常生活を鍛える場に変えましょう。

・大胆な仮定を恐れない
完璧な答えを求めるのではなく、大胆な仮定を立てて推定を進めて、全体の流れや構造を掴みましょう。

「フェルミ推定」は繰り返しの練習や経験を積むことで、より洗練されたスキルとして身につけることができます。日常の中で感じる小さな疑問から始め、徐々にスキルを磨いていくことが大切です。

業界問わず面接全般の「自信付け」にも

いかがでしたか?「ケース面接」と「フェルミ推定」は、これからの就職活動においてとても価値があり、磨き上げることで就活の成功確率を大幅に上げることができます。日常生活の中でのさまざまな疑問をフェルミ推定で解く練習を重ねることで、ケース面接における迅速かつ的確な思考の基盤を築くことができます。

また、コンサルティング業界に限らず、これらのスキルを持っていることは、面接における自信や「度胸」を付けるための大切な要素となります。特に、予期せぬ質問や突然の投げかけにも、冷静に的確な解答を返す力を身につけることができますので、ぜひ習得していきましょう。

PROFILE

鳥羽山 康一郎(とばやま こういちろう)
静岡県生まれ。広告制作会社、外資系広告代理店にてコピーライター、クリエイティブディレクター、プランナーとして勤務後、2006年よりフリーランスとして独立。外資系マーケティング理論の知見を活かし、広告・Webライティング等を中心に執筆活動を展開中。地方取材、インタビューも得意とする。

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