先輩就活生1,300人に聞く——データでわかる選考・内定・就活準備

就活ノウハウ

公開日:2023.06.27

24年卒生の就活シーズンは既にスタートしています。一般的な就活スケジュールは「3月に採用情報公開・エントリー受付開始」「6月に面接などの選考開始」ですが、実態としてはいつごろ選考を受け、内定をもらっているのか…などまだイメージが湧きづらいかもしれません。そんなとき頼りになるのが、先輩の声。今回、2024年卒の先輩たち1,300人の4月時点でのアンケート結果をまとめました。内定率やインターンシップ等と内定の関係、エントリーした企業数、選考や面接の様子などが見えてきました。読めば来年の就活スタートダッシュに向けて、今から心づもりができるはず。

※株式会社ディスコ「キャリタス就活2024 学生モニター調査結果」(2023年4月発行)のデータに基づいています。

データが語る、先輩たちのリアルな就活事情

■エントリー社数は平均21.9社

本選考にエントリーした企業数は、平均すると21.9社です。

うち選考試験の受験社数は、ES提出社は10.7社、筆記・適性テストは7.5社、面接試験は5.6社でした。
※それぞれ受験者を分母に平均者数を算出

■企業セミナーへの参加は会場と形式によって差が

4月1日時点での企業セミナー(会社説明会)への参加状況について、オンライン形式の参加経験社は全体の9割を超えています。また、会場型に参加した割合は、この3年間で15ポイント増加しました。

参加社数で見ると、会場型は平均3.7社とこれも増加傾向に。コロナ禍の影響が徐々に弱まってきたことが背景にあると思われます。とはいえ、依然としてオンライン形式が多数派であることは変わりません。

参加した感想をいくつか紹介すると、「コースの説明がしっかりあり、質問の時間も豊富だった」「働くイメージが湧いた」「社員の人柄が伝わった」という好印象がある一方で、「ホームページと内容が同じ」「台本を読むだけ」というマイナスの印象も。

4月1日時点で、回答者の半数が内定取得

回答者のうち4月1日時点での内定率は全体の52.9%となり、3月1日の調査から20.5ポイント増加しました。前年同期よりも高く、速いペースで選考が進んでいることがわかります。特に理系は文系より10ポイントほど高く、進行の速さは顕著です。

そして、内定取得学生のうち就職先を決めて就活終了としたのは31.0%と、前年をやや下回ります。その後も就活継続と答えた学生は64.2%で、前年より3.6ポイント増加。まだ納得のいく企業に出会える可能性が高いと見ているのかもしれません。一方で、理系は内定取得者の4割以上がそこで就活を終了。卒業へ向けて学業への注力がうかがえます。

早期の内定ほど、インターンシップ等への参加率が高い

内定を得た企業の7割が、インターンシップ等のプログラム(1日以内のプログラムも含む)参加企業です。月をさかのぼるごとに増えていますから、インターンシップ等参加企業の早期選考との相関関係があることがうかがえます。

■内定を得た業界は情報系が1位

全40業界からの回答を上位で見ると、「全体では情報処理・ソフトウェア」が文系理系ともに1位。2位の「調査・コンサルタント」、3位の「建設・住宅・不動産」までは前年と同じです。

就活継続者の志望業界ついては上記以外に、銀行、水産・食品、官公庁・団体なども上位10業界にランクインしています。

■新たに企業を探す手段、就職情報サイトが断トツ

就活継続者で今後エントリー予定のある学生に、新たな企業を探す手段について尋ねると、「就職情報サイト」が昨年に引き続き9割近くとなっています。SNSと答えた学生が5.3%から8.6%になっているのにも注目。情報収集手段として、SNSの活用が定着しつつあります。就活での利用率上位の3つのサービスは、LINE(49.6%)、YouTube(36.3%)、Twitter(31.5%)となっています。日常的に使っているサービスがそのまま情報収集にも活用されていることがわかります。

これからの就活準備は、就活時期によって変わる

社会人を含む先輩たちに就活を振り返ってもらい、その感想を聞いてみると、就活時期によって「何をやったか」は変わってきます。そこで就活初期・選考時期に分け、各時期でぜひ取り組んでみてほしいことをお伝えします。

■就活初期

まだまだ就活が実感できていない時期には、何から手を付けていいか分かりません。ここでやるべきことは「自己分析」「業界・企業研究」です。それらで共通しているのは「発見すること」、つまり自分自身、そして行きたい業界と企業を見つけること。それぞれについて見ていきます。

●自己分析対策:今まで自分を客観視する機会はあまりなかったことでしょう。どんな長所があって、何を頑張ってきたか、何が得意なのか。そして強みの他に弱みも一度書き出してみましょう。具体的なエピソードを並べていくうちに、ガクチカもはっきりしてきますし、自分の「就活軸(企業選びの際に重視する自分なりの価値観)」も見えてきます。

●業界・企業研究対策:どの業界で何の仕事をすればいいのか──漠然としていてなかなか見つけ出せないかもしれません。まずは自己分析を行っておけば就活軸が定まり、それとマッチングする業界・企業を絞り込み、選定にまで持っていくことができます。

就活初期に就活準備イベントへ参加することも、非常に役立ちます。自己分析のきっかけとなるコーナー、業界別に分けられた企業ブースなどもあり、会場を回っていくうちに気持ちも就活モードに切り替わってくることでしょう。

また、「大学1・2年生のためのキャリタス就活 」ページも参考に進めてみてください。

■選考時期

この時期では、インターンシップ等の選考、さらに本選考、それらに伴う面接対策、インターンシップ等でのグループディスカッションが、先輩たちの記憶に強く残っているようです。特に、慣れない提出書類の制作を乗り越えたことが印象深いという声も多く聞かれます。まずは「学生生活の整理」から始めるとその後の面接もうまく乗り切ることができます。

●書類選考対策:企業の選考の多くはエントリーシート(ES)から始まります。企業はこれを吟味して選抜するので、文章でしっかりと伝えなければなりません。まず、自分の学生生活を整理してみましょう。学生の本分である「学業」と、それ以外のサークル活動やアルバイト、資格取得などに分けます。学業では、学部や学科、専攻の説明、卒論テーマなどを年次ごとに書き出します。学業以外のことも同じです。その整理表からアピールしたい点を見つけ、文章にしてみます。注意すべきは「何を」より「どのように」取り組んだかを表現することが大切。ESの読み手に、あなたはどんな人なのかが伝わるかどうかを常に意識してください。

●面接対策:多くの先輩にとって記憶に残っているのが面接。企業には「こんな学生に来てほしい」という求める人物像があり、ホームページや説明会で知ることができますので、それに合致する回答をすることが肝心です。よく聞かれる「志望動機」「自己PR」「強み」などに対して、どう答えたら求める人物像に合わせられるか整理しておきましょう。また、面接では「上がってしまう」こともあり、用意してきた答えが頭から飛んでしまったりもします。就活イベントで模擬面接を受けるなど、リハーサルをしておくことも有効です。面接対策は、ESの準備が終わる頃から始めておきましょう。

●グループディスカッション対策:初対面の学生同士がグループを作り、与えられたテーマについて議論し結論を導き出します。漠然としたテーマが多いので、様々な意見が飛び交って収集が付かなくなることも。結論よりも、実際の業務のシミュレーションとして見ているので、自分がどのポジションに立ったらいいか見極めることが大切です。とにかく意見を言う人、流れを変える人、進行管理をする人など、メンバーそれぞれの個性を見極めるほか、自己分析の結果をそこに当てはめて自分の役どころを決めるのもいいでしょう。

「キャリタス就活 就活成功ガイド」でさらに具体的な対策を解説しています。「#面接 」のタグで検索してみてください。

データを参考にしつつ自分なりのアプローチを

いかがでしたか。多かれ少なかれ、就活にはプレッシャーが付きものです。それらをうまく超えるためには、「マイペースを保つ」ことと「モチベーションを保つ」ことが大切です。就活はあくまでも近い将来の職業を決めるもの。そのコアにあるのは自分の未来をどうするかというしっかりした思いです。

まず、周囲との比較はやめましょう。そして逆に力を借りましょう。情報をもらったり、自己PRやガクチカを聞いてもらったり。自分のペースを崩さないようにすること。さらに、今まで知っていたのとは違う業界・企業のリサーチも始めてみてはいかがでしょう。思ってもいなかったマッチング、気付かなかった自分のポテンシャルが、新たなモチベーションを生み出す可能性も高いものです。

就活を自分の成長機会と捉えれば、いつもポジティブでいられるでしょう。先輩たちのデータを取り込みつつ、自分なりのアプローチで就活を切り拓いていってください。

PROFILE

鳥羽山 康一郎(とばやま こういちろう)
静岡県生まれ。広告制作会社、外資系広告代理店にてコピーライター、クリエイティブディレクター、プランナーとして勤務後、2006年よりフリーランスとして独立。外資系マーケティング理論の知見を活かし、広告・Webライティング等を中心に執筆活動を展開中。地方取材、インタビューも得意とする。

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