経済学部で学んだ知識、どう生かす?──学部で人気の業界・職種はこれ!

業界・職種・企業研究

公開日:2024.10.09

経済学部は、社会の仕組みと経済の本質を解き明かす力を養います。つまり、わたしたちの暮らし、その原点を学ぶことができる学部です。本記事では、経済学部で学んだ知識や教養を生かす、経済学部ならではの就活の進め方について解説します。

経済学部で学ぶ知識は社会でどう生きる?

経済学部とは、「人・モノ・金」の流れなどを分析し、社会課題を抽出して解決策を考えたり、経済活動の発展に必要な仕組みを考えたりする学部です。経済の歴史、経済学の基本的な理論から応用経済学、統計学、金融、国際経済などを、幅広く学びます。そこから他学部では身につけることの難しい力を習得することができます。ほかに以下のような力が企業や社会から求められています。

■分析力と問題解決能力

経済学部で培われる分析力と問題解決能力は、就職活動において非常に有利です。数理経済学やデータ分析を通じて、複雑なデータや情報を論理的に整理し、そこから本質的な課題を見つけ出す能力が身につきます。企業が直面する問題に的確な解決策を提案できる力は、データに基づいた意思決定が重視される場面で特に高く評価されます。

■論理的思考力

経済学部で学ぶ経済理論や統計分析は、論理的思考力を養います。多くのデータや理論を基に一貫性のある結論を導き出す力は、企画や戦略立案などの分野で強みになります。企業が新規事業や戦略を検討する際、論理的かつ説得力のある提案や意思決定を行うためにこの力は必要不可欠です。

■コミュニケーション力

複雑な経済理論やデータをわかりやすく他者に伝えるためにもコミュニケーション能力は重要です。これは特に人と多くかかわる職種で役立ちます。企業が求めるのは、ただ知識をもっているだけでなく、それを効果的に他者に伝え、説得力のある提案ができる人材だからです。こういった知識と教養は、多くの職種で重宝されるスキルとなります。就活の際の自己アピールなどでも効果的に訴求できるポイントです。

経済学部ならではの就活の進め方とは

就活の進め方は、自己分析⇒業界・職種研究⇒選考対策というステップに沿って進みます。それらステップそのものは、学部によっての違いはありません。しかし、各ステップで経済学部生ならではのメリットを生かし差別化を図ることができます。

STEP1:自己分析

経済学部では、データに基づいた客観的な分析を学びます。すなわち、これを自己分析にも応用できるのです。自分の強み・弱み、性格を数値的に把握し明確にすることで、企業や社会にどのような貢献ができるのか具体化が可能です。また、自分の価値観ややりたいことのイメージをクリアにしていくことで、企業や職種とのマッチ度を高めることができます。このように、他学部の学生と比べ、感覚や経験に頼らない、冷静で根拠のしっかりした自己評価を行えます。

STEP2:業界・職種研究

経済学部生は、業界や職種のトレンドを、経済理論やデータ分析を基に的確に把握することに長けています。人気の就職先として金融やコンサルティング業界がありますが、それらに留まらず、幅広い選択肢の中から業界の成長性やリスクを判断し、自分に合った業界に的を絞っていきましょう。気になる業界や職種があったら、トレンドや経済指標などを読み解き、深掘りすることが大切です。

STEP3:選考対策

経済学で培ったデータ分析力や論理的思考力は、面接やエントリーシート作成において魅力的に自分をPRする上で有効です。また経済的な知識を活用し、グループディスカッションなどのシーンに他者とは異なる観点から論理的にアプローチができるため、強い印象を残すことができます。

では、次のブロックからより深掘りした経済学部生ならではの就活の進め方について解説していきます。

STEP1:自己分析〜経済学部生ならではの強みを見つけよう

就活の最初のステップは、自己分析といっても過言ではありません。自分がどんな人間なのか、何が得意でどんな仕事が向いているかを理解するために欠かせないプロセスです。

経済学部生は、データや論理的思考を生かして自己分析を進めることができるという大きなメリットがあります。具体的には、過去に参加したインターンシップや学業の成果を数値で整理し、どの場面で自分がもっとも力を発揮したかを客観的に振り返ることが重要です。

たとえば統計学の授業でのプロジェクトや、インターンシップで営業成績をデータ化した経験を振り返るとしましょう。「1カ月で顧客獲得数が20件増加した」、「マーケティングのデータ分析で、サイト訪問者数が10%改善した」など、具体的な数字を出すことで、自己PRに説得力が生まれます。自分の強みや成果を客観的に数字や事例で表現することができれば、エントリーシートや面接でのアピールが効果的になります。

また、経済学で学んだ論理的思考を活用し、自分の強みや弱みを冷静に評価することができる点も、ほかの学部生に比べて有利なポイントです。

STEP2:業界・職種研究〜経済の知識を生かし選択肢を広げる

次のステップは、業界・職種の研究です。これは、自分に合った仕事を見つけるためにとても大切です。経済学部生がもつ大きな強みは、経済理論やデータ分析の知識を使って、どの業界が成長しているか、どの職種が将来性をもっているかを見極める力です。

たとえば、経済動向や市場のトレンドを把握することで、今後成長が期待できる業界や職種を発見することができます。最近ではIT業界やDX推進が進んでいる企業、またはサステナビリティに関連する分野などが注目されています。

経済学部ならではの知識を生かし、業界の成長可能性を分析することで選択肢を広げることができます。

参考までに、経済学部生に人気の業界・職種を紹介します。

■経済学部生に人気の業界

・金融:
金融市場の分析、投資判断、リスク管理など、経済学の知識が直接活用される場面が多くあります。特に、金融商品の価格設定やマクロ経済の動向を予測する際に役立ちます。

・コンサル・調査:
経済理論やデータ分析能力を生かして、企業や政府の経営戦略や政策立案をサポートします。具体的な分析と提案に力を発揮できます。

・官公庁・団体:
公共政策や経済政策の設計・評価の場面でも経済学の知識は重要です。経済学を基にした政策提言や、社会福祉、税制、国際貿易政策などの分野で発言力を高められます。

・商社:
多種多様な商品を取り扱い、国際的な取引も頻繁に行うため、国際経済や貿易に関する知識が重要です。経済動向の分析、貿易政策や為替の理解を武器に、ビジネス戦略を策定する能力をふるうことができます。

・マーケティングリサーチ:
消費者行動や市場の動向を分析し、企業のマーケティング戦略や製品開発に関する提言を行います。経済学の知識とデータ分析のスキルが重要となる業界です。

\キャリタスの業界マップも参考にしてみましょう。/

■経済学部生に人気の職種

・営業
培ったデータ分析力や消費者行動を理解する力を生かすことで、顧客のニーズを的確に把握し、提案力を高めることができます。また、経済の動向や市場のトレンドに敏感になることで、販売戦略の見直しや新たな提案に生かすことができます。

・調査・マーケティング
経済をマクロ・ミクロの視点から分析する力は、製品の開発や販売戦略に活用できます。さらに、消費者行動の分析や市場調査の知識を基に、効果的なマーケティング戦略の立案と実行に結び付けることができます。

・経営企画
経済学部で得た分析力や論理的思考力を生かせます。管理部門での効率化や人員管理も対象です。データを用いた業務プロセス改善、経済環境の変化に応じた戦略の見直しにも貢献します。

・財務・経理・会計
財務諸表の読み解きや企業の財務状況の分析に、経済学の知識は不可欠です。数理的なアプローチでコスト管理や予算編成に効率的な提案ができるでしょう。学部で学んだ知識を活用し、経営戦略における対応策を考えることも可能です。

・証券アナリスト
株式や債券市場の分析、投資判断を行う職種です。経済理論を基にした投信判断やリスク管理を行い、投資家に対して的確に助言をすることが求められます。証券会社や投資銀行などで就くことができる職種です。

こうして業界・職種の研究を進め、自分の強みと市場のニーズを結びつけることが、最適なキャリア選択につながるでしょう。

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STEP3:選考対策〜専門知識をアピールしよう

最後のステップは、いよいよ選考対策となります。エントリーシートや面接を通じて、自分をどうアピールするかが問われます。

順を追ってポイントを解説します。

まずエントリーシートは、学業やインターンシップでの経験を具体的に整理し、成果を数字で示すことが大切です。たとえば「統計分析のスキルを生かし、インターン先の売上データを分析し、売上が20%向上する提案を行った」というように、成果を数字でアピールすることで、志望企業に対して自分の価値を明確に伝えることができます。

また、面接の際は自分が志望する企業の業界やビジネス戦略について論理的に説明することが効果的です。たとえば、「この企業の成長戦略が、今後の経済成長にどう影響するか」を経済理論に基づいて話すことで、面接官にあなたの知識と分析力をアピールできます。授業やゼミで培った論理的思考と問題解決能力をフル活用し、選考の場で自信をもってアピールすることが成功へのカギです。

また、面接では経済学部生に対してよく聞かれる定番的な質問もあります。回答例とあわせて、参考にしてみてください。

Q1:経済学部で学んだ内容をどのように仕事に生かせると思いますか?
回答例:「経済学部で学んだデータ分析のスキルを、マーケティング部門での消費者動向の予測に生かせると考えています。特に、統計学や回帰分析の知識を用いて、市場のトレンドや消費者の購買パターンを定量的に捉え、戦略立案に貢献したいです。」

Q2:行動経済学をどのように実際のビジネスで役立てられると思いますか?

回答例:「行動経済学で学んだ消費者の非合理的な意思決定のメカニズムは、マーケティングやプロモーションの分野で活用できると考えています。たとえば、商品選択の際にどのような心理的バイアスが働くかを理解することで、より効果的な広告戦略を提案できると感じています。」

※「行動経済学」の代わりに「マクロ経済学」「ミクロ経済学」「統計学・データ分析」「国際経済学」など、あなたの専攻によって質問は変わります。

Q3:なぜ経済学部を選びましたか?その理由は今の就職活動にどう影響していますか?
回答例:「わたしは、社会の仕組みやお金の流れに興味があり、経済学部を選びました。特に、経済が企業や個人の意思決定にどのように影響を与えるかに関心をもっています。この興味が高じて、現在は経済動向を分析しており、将来は企業の経営戦略に貢献したいと考えております。経済学部での学びが、わたしのキャリア選択に大きな影響を与えました。」

■取得しておくと有利!おすすめ資格

在学中に経済学部ならではの資格を取っておけば、就活での優位性はグンと上がります。経済学部生と関係の深い、代表的な資格をいくつか挙げます。

・日商簿記検定
財務諸表の作成や会計処理の基礎を学ぶ資格です。特に経理職や財務関連の仕事を目指す際に有利です。3級から1級まであり、1級は高度な会計知識を要求されます。

・ファイナンシャル・プランナー(FP)
資産運用や税制、保険など、個人や企業の資産管理に関する知識を学ぶ資格です。金融業界でのキャリアを目指す場合に有利です。3級から1級まであり、CFP(Certified Financial Planner)という国際的な資格もあります。

・証券外務員資格
証券会社などで金融商品を取り扱う際に必要な資格です。証券業務に関する基礎的な知識を証明するもので、特に証券会社や銀行の営業職で求められます。一種と二種があり、一種はより高度な商品を取り扱うことができます。

・経済学検定試験(ERE)
経済学の数理的・理論的な基礎知識の習得程度と実体経済での応用能力のレベルを判定する試験です。オンラインで行われ、ミクロ経済学、マクロ経済学の2分野から総合的に経済学の実力を判定します。

・中小企業診断士
中小企業の経営診断やアドバイスを行うための資格です。コンサルタント業務や経営戦略に興味がある人に適しています。筆記試験と口述試験があり、経営全般に関する幅広い知識が求められます。

まとめ

いかがでしたか?経済学部の皆さんは漠然と「幅広い就職先がある」とは思っていたかもしれませんが、いざ具体的業界・職種に絞って解説を読むと、よりイメージがわいてくると思います。自己理解を深め、業界や職種の情報を収集し、実際の経験を通じてさまざまな職業とのフィット感を確認。満足度の高いキャリア選択を進めていきましょう。

PROFILE

鳥羽山 康一郎(とばやま こういちろう)
静岡県生まれ。広告制作会社、外資系広告代理店にてコピーライター、クリエイティブディレクター、プランナーとして勤務後、2006年よりフリーランスとして独立。外資系マーケティング理論の知見を生かし、広告・Webライティング等を中心に執筆活動を展開中。地方取材、インタビューも得意とする。

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