【企業分析の質に差がつく】IR情報で見るべきポイントと活用法とは

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公開日:2024.09.18

【企業分析の質に差がつく】IR情報で見るべきポイントと活用法とは

IR情報は、投資家などに向けに開示される情報ですが就活をする際に企業の財務状況や経営戦略を理解するための貴重な情報源となります。IR情報が就活に役立つと聞いたものの、「何だか難しそうだけれど、どの資料をチェックすればよいの?」「どのように活用するの?」と悩む就活生も多いのではないでしょうか。

本記事では、IR情報とは何か、チェックすべき内容、企業研究・ES・面接への活用方法など、就活生が押さえておくべきIR情報のポイントを解説します。

企業研究に役立つIR情報とは?

そもそも、IR情報とはどのような情報を指すのでしょうか。ここでは、就活生が押さえておきたいIR情報の基本知識について解説します。

■IR情報とは?

IR(インベスター・リレーションズ)情報とは、企業が株主や投資家に向けて提供する情報のことです。企業の安定性や事業内容を、具体的な数字をもとに確認できます。具体的には、以下のような情報がIR情報に該当します。

IRの開示情報と記載されている情報について

■企業がIR情報を開示する目的とは?

企業は、主に次の3つの目的でIR情報を開示しています。

・自社への投資を促すため
・株主や投資家と良好な関係を築くため
・企業の社会的な価値を高めるため

このような目的があるため、IR情報は読み手にとってわかりやすい状態を意識して提供されます。企業の過去・現在・未来の情報を理解しやすいため、就活生にも有用といえるでしょう。

IR情報が就活において重要である理由

「株主や投資家に向けたIR情報が、就活に関係あるの?」と疑問に思う就活生もいるかもしれません。就活生にとってIR情報は、主に次の3点において役立ちます。

・一次情報をもとに多角的に企業分析できる:
就活生の多くは情報収集にあたり、就活イベントや就活サイト、企業のWEBサイトなどを活用することでしょう。その中でもIR情報は企業が「ありのままの姿」を直接公開しているものです。正確な一次情報から、より多角的に企業を分析できます。

・企業が求める人物像を把握できる:
IR情報には、企業の展望や経営計画、社長によるトップメッセージなどが記載されています。このような情報を読み解くことで、企業が求める人物像を把握できます。志望企業において必要とされる能力やスキル、価値観などを理解し、面接対策を万全にしましょう。

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・自己PRや志望動機の強化に役立つ:
 IR情報から企業が求める人材や今後の展望を読み解ければ、その内容にマッチした自分の強みや志望動機、就職後に実現したいことなどをアピールしやすくなります。

IR情報から読み解くための3つのチェックポイント

就活生がIR情報から企業情報を読み解くためのチェックポイントを紹介します。

ただ、「情報が多すぎて、どの資料を見ればよいかわからない」「資料のどこを確認すればよいかわからない」という就活生もいることでしょう。

就活生が優先的に把握しておきたい、企業の「成長性」「安定性」「方向性」は、以下からチェックできます。

1.財務状況
わかること:企業の成長性
チェックすべき主なIR情報:決算説明資料/有価証券報告書/財務(業績)ハイライト/決算短信

売上高・営業利益・負債の状況などをチェックすることで、企業の経済的な安定性や成長性を評価できます。特に、過去数年間の財務データを比較し、企業の成長トレンドや財務体質の変化を把握することがポイントです。

重要な情報を効率よく集めたいときは、有価証券報告書や決算短信などの情報がわかりやすく記載されている「決算説明資料」を確認することをおすすめします。

また企業の財務状況をチェックする際は、以下の用語を押さえておくと理解しやすいでしょう。

財務状況チェックリスト

2.企業概要
わかること:企業の安定性
チェックすべき主なIR情報:有価証券報告書

就活において、企業が提供する商品やサービス、主力事業や新規事業の状況を把握しておくことは重要です。企業概要を押さえることで、自分がその企業でどのように貢献できるかを具体的にイメージしやすくなります。

なお有価証券報告書では従業員数をはじめ、平均給与・平均勤続年数・平均年齢など、就活生の関心が高い情報も確認することが可能です。

3.経営戦略や展望
わかること:企業の方向性
チェックすべき主なIR情報:中期経営計画/統合報告書/トップメッセージ

企業が将来どのような方向に進もうとしているかを知るためには、企業が掲げる長期ビジョンや成長戦略を理解する必要があります。

入社後のミスマッチを防ぐためにも、「企業が掲げる経営方針や戦略」と「自分のキャリアプラン」に通ずるところがあるかどうかを確認しておきましょう。入社後どのように活躍したいのか、具体的にイメージするきっかけにつながるほか、志望動機を書く際にも役立ちます。

IR情報を就活に活用する方法を紹介!!

チェックしたIR情報を、実際の就活シーンでどのように活用すればよいのでしょうか。以下に、具体的な利用法を紹介します。

■企業研究
企業研究においては、IR情報からチェックした財務状況や経営戦略をもとに、業界におけるポジションや企業の強み・弱み、将来性を分析しましょう。自分のキャリアビジョンと企業のビジョンに重なる部分があるかどうかも判断できるため、ミスマッチ防止にもつながります。

■エントリーシート(ES)
企業の財務状況や事業戦略を把握することで、より具体的な志望動機や自己PRを練ることが可能です。たとえば企業の成長戦略や業績向上の取り組みを知っていれば、企業のビジョンと自分の志向・スキル・キャリア目標を照らし合わせて具体的にアピールできるため、説得力のある文章に仕上がります。

例:私が大学4年間で身につけた○○の経験を生かし、営業職として御社が掲げる○○の達成に尽力したいと考えております。

■面接
IR情報から企業が直面している課題や将来の展望をつかむことで、面接に向けてより具体的な質問・回答を用意できます。たとえば、IR情報をふまえて企業の財務状況や新規事業について質問することで、企業に対する関心の高さをアピールできます。企業が新しい市場に進出する計画や技術革新に向けた取り組みがあれば、自分の視点や提案を示すことも可能です。

例:御社の最新のIR資料によると、売上高が前年比で10%増加しています。この成長を実現するために、特に注力した施策や戦略があれば教えてください。

IR情報に関してよくあるQ&A

IRに関するよくある疑問とその回答を、Q&A形式で紹介します。

■IR情報はいつ・どこで確認できる?
IR情報は、企業のコーポレートサイトの「投資家の皆様へ」「株主・投資家情報」「IRについて」といったページに記載されていることが一般的です。

IR情報の公開義務があるのは上場企業に限られるため、すべての企業が情報を開示しているわけではありません。志望企業のIR情報を確認できない場合、まずは類似企業のIR情報をチェックしてみるとよいでしょう。参考にすることで、志望企業に関する情報を読み解きやすくなります。

またIR情報を公開するタイミングは決算時期に準じるため、企業によって異なります。企業のコーポレートサイトのIRニュースまたはIRカレンダーから、情報開示のタイミングを確認することが可能です。

■IRとCSRの違いは?
IRと並び、企業のコーポレートサイトなど上で目にする言葉に「CSR(コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ)」があります。CSRとは、企業が事業を通して社会的責任を果たすことです。具体的には、環境保護・社会貢献・倫理的経営など、社会全体の利益を考慮する活動のことを指します。IRは「経済的価値」、CSRは「社会的価値」の創出にそれぞれ重点を置いている点が、両者の違いです。

なお、IR情報に位置付けられる「統合報告書」では、財務データとともにCSR情報も確認できます。

まとめ

IR情報は、就活生が企業を深く理解するための重要な情報源となります。企業概要や財務状況、経営戦略などからは、企業の実態を客観的に把握することが可能です。自分に合った企業を見つけやすくなるだけでなく、ESや面接にも役立つでしょう。

もちろん、就活に必要な情報は、IR情報だけに留まりません。最新の経済ニュースや業界ニュースなども定期的にチェックしながらIR情報を上手に活用し、納得のいく就活を進めましょう。

PROFILE

麻 桃子(あさ ももこ)
印刷会社の制作部門にてコピーライター・ディレクターとして勤務後、2021年よりフリーライターに。市役所での勤務経験もあり。会社員・公務員・フリーランスなどさまざまなスタイルで働いた経験を生かし、幅広いジャンルで執筆中。

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