就活準備の第一歩!ワークシートで「自己分析」に取り組もう
自己分析公開日:2023.05.02
就職活動の準備としてまず取りかかりたい「自己分析」。今回は、ワークシートを使ってひとりでも気軽に取り組める自己分析の方法をふたつご紹介します。
「自分らしさ」は日常生活に埋もれている
いよいよ新年度がスタートしました!「そろそろ夏のインターンシップ等に向けて動き始めなければならないなあ。でも就活準備って、何をしたらいいんだろう?」と思っていらっしゃる方も多いかもしれませんね。
これから就活準備を進めていこうと考えている方は、まず「自己分析」から始めましょう。「自己分析」の目的は、「自分らしさ」を知ることです。具体的にはあなたが「得意なこと・発揮できる能力」、「強み・長所」、「興味を持っていること」、「どんなことに動機づけられ、モチベーションが上がるのか」などについて言語化して、自覚するということ。
「自分らしさ」を知ることは、あなたが就職活動を通して「自分らしい生き方や仕事とは?」、「自分にとっての仕事のやりがいとは?」、「自分は社会の中でどう貢献したいのか?」などを考える際のベースになり、志望企業を検討する際の軸にもなるのです。さらに、企業へ自分を売り込む際の「アピールポイント」も「自分らしさ」の中からピックアップして作ることができます。
「学生時代、何もしてきませんでした」・・・?
能力や強みなどに代表される「自分らしさ」は、あなたの日常生活の中で発揮されています。ところが、その「自分らしさ」はあなたにとっては当たり前のことだったり難なくやれてしまうことだったりするので、その存在や価値になかなか気づくことができません。
私は普段大学生のキャリア相談に乗っていますが、学生の皆さんと自己分析のお話をしていてよく出てくるのが、「私は学生時代に何もしてきませんでした」というフレーズです。「えっ?」と思ってよくよく話を聞いてみると、「私には人とは異なる変わった経験もないし、受賞歴もないし、リーダー経験もないから」などとおっしゃいます。
つまり「何もしてきませんでした」とおっしゃる学生さんは、人が聞いて驚くような特別な活動をしていたり、輝かしい成果をおさめていたり、組織のトップに立ってメンバーを導いたりしていない限り、「何かをしてきた」と自信を持って言うことができない、と思っているのです。実際には何もしてこなかったはずはないのに…。本当にもったいないと思います。
このように人と比べて自分の経験を過小評価してしまうと、その中で発揮されているはずの「自分らしさ」に気づくことはますます難しくなってしまいます。「経験」や「自分らしさ」を人と比べるメリットはひとつもありません。比べるべきなのはむしろ、過去の自分と今の自分です。
今回は、これまでの学生生活を丁寧に振り返って、それぞれの経験の中で発揮されている「自分らしさ」を掘り出していく自己分析の方法をご紹介します。「こうやって振り返ってみると、私のやってきたこともまんざら悪くないな」、「私の『自分らしさ』が少しずつわかってきたぞ」と思っていただけたら幸いです。ぜひやってみてください。
学生時代の経験を振り返ろう①~大学生活ラインチャート~
1つめのワークは、「大学生活ラインチャート」です。ワークシート①をご覧ください。大学に入学してから現在まで、さまざまな経験をしてきたと思います。これまでのことを思い出しながら、あなたの歩みを可視化するグラフを作ってみましょう。
横の矢印ラインは、大学入学時から現在までの時の流れを示しています。矢印ラインの右端を3年生の4月とすると、ラインの真ん中あたりが2年生の4月になりますね。左サイドの+と-は、その時々の気持ちやテンションのレベルを表しています。+は楽しかった、いきいきしていた、嬉しかった、燃えていたなど。-はうまくいかなかった、行き詰まっていた、つらかった、凹んでいたなどです。
入学時から時の流れに沿って、どんなことがあったかを思い出してみましょう。学業、部活・サークル、アルバイト・ボランティア、趣味、留学・自己研鑽・資格取得などについて思い出してみるとよいですね(もちろんそれ以外でもOKです)。
特に印象に残っているできごとについては、グラフに反映します。そのできごとが起きた時期を踏まえて、当時の気持ちのレベルをプロットしてください。その付近にできごとの概要とその時の気持ちをメモします。印象に残っているできごとのプロットがすべて終わったら、プロットを線で結んでグラフを描いてみてください。
入学から今まで、どんな曲線が描けましたか?+の高い部分、-の部分ではどんなできごとがありましたか?-から浮上している部分があれば、何がその要因だったでしょうか?グラフを眺めながら、ご自身の大学生活にどんな紆余曲折があったのか、その時々でどのような行動をしたのか、自分らしいなと思うことはどんなことか、などを味わってみてください。ワークシートの2枚目に、「学生生活ラインチャート」のまとめシートがありますので、気づいたことを言語化しておきましょう。
学生時代の経験を振り返ろう➁~自分らしさ発見シート~
2つめのワークは、「自分らしさ発見シート」です。ワークシート➁をご覧ください。学生生活ラインチャートをやってみて、印象に残ったできごとがいくつかピックアップできたと思います。今度はそれをもう少し掘り下げてみましょう。
まずは、「記憶に残る経験」の欄です。学業、部活・サークル、アルバイト・ボランティア、趣味、留学・自己研鑽・資格取得、その他上記に含まれない活動という6つのカテゴリーで、特にあなたの記憶に残った経験を2つずつ取り上げて、それらがどのようなものだったのかを詳しく書いていきましょう。なお、6つのカテゴリーすべてを埋められなくても気にしなくて大丈夫です(例えば、サークルやアルバイトをしていないとか、資格取得には取り組んでいないという方もいますよね)。「記憶に残る経験」を書く際には、あなたが取った行動の中で工夫したこと、苦労したこと、楽しめたことなど、あなたの行動や思考、感情を思い出して具体的に書いてみてください。
「記憶に残る経験」を書き終えたら、右の「どんな『自分らしさ』が見られた?」の欄を書いてみましょう。経験に書かれた内容を改めて読んで、「私なりに頑張ったなあ、よくやったなあ」、「以前と比べて成長したなあ」、「結果はどうあれ達成感を感じるなあ」など、ポジティブな自己評価をしてみてください。ここで謙虚さを出す必要はありません!少し自信過剰かなと思うくらいで大丈夫です。そして、この経験に表われた「自分らしさ」がどのようなものなのかを、自分の言葉で表現してみてください。
なお、ワークシートの下の方に「自分らしさ発見シート」のまとめ欄がありますので、全体を通して気づいたことを言語化しておきましょう。
いかがでしたか?このようなワークシートは、就活中に何度か見返す、あるいは再度やってみるとよいですね。自分の成長や変化が把握でき、自己理解も深まりますよ。
なお、もし可能であれば、これら2つのシートを使って、お友達とペアワークをやってみることをおすすめします。書いたシート①②を互いに見せ合い、自分が書いたことを差し支えのない範囲で相手に説明しましょう(もちろん、言いたくないことを無理に話す必要はありませんよ)。
その後、説明を聞いて興味を持ったことについて質問したり、気づいたことをフィードバックしあったりします。ペアワークをすることで、自分では普通で当たり前だと思っていることが実はすごいことだったことに気づくなど、新しい発見があるかもしれません。
雛形のラインチャート、ワークシートは下記ボタンからダウンロードできます。
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PROFILE
濱野 裕貴子
キャリアコンサルタント・公認心理師・ワークショップデザイナー
大学卒業後、教育系出版社に入社。通信教育の先生方のマネジメントを中心に、キャリアインタビューや機関誌の編集などに携わる。業務を通じて感じた「同じ仕事をしているにも関わらず働く理由や価値観の違いが出るのはなぜか」という問題意識から、「キャリア」に興味を持つように。14年間の勤務後独立し、以後、大学ではキャリアカウンセラーや非常勤講師、企業では研修講師として、学生や若手社会人のキャリア支援に当たってきた。演劇や落語、お笑いなどのパフォーミングアーツに触れることが大好きで、身体表現を使った自己理解のワークショップなども手掛けている。筑波大学人間総合科学研究科生涯発達専攻カウンセリングコース博士前期課程修了(カウンセリング修士)。