インターンシップの定義変更――4タイプのキャリア形成支援と就活への影響は?

インターンシップ・キャリア

公開日:2023.04.03

2025年卒対象学生から、産学協議会によりインターンシップの定義が変更となり内容や目的により4つのタイプに分類されました。そして一定の要件を満たせば、インターンシップ中に取得した学生情報を広報活動・採用選考活動に活用することが可能になりました。今回は変更の背景や4つのキャリア形成支援のタイプについての概要、タイプ別の活用法などを詳しく説明していきます。

なぜインターンシップの定義が変わるのか

今までのインターンシップは、「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義されており、そこで取得した学生情報を広報活動や採用選考活動に使用してはならないとされていました。

しかし、「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」は、2022年4月に公表した報告書において、インターンシップ等について新たな定義を定めるとともに、一定の基準に準拠するインターンシップで得られた学生情報については、その情報を採用活動開始後に活用可能とすることで合意に至りました。

この定義変更の背景には、2つの理由が考えられます。

1つ目は企業の採用方法の多様化・複雑化への対応、2つ目はグローバル社会に適応した人材を採用・育成し、自律的なキャリア形成を支援するためです。

変化が激しい現代においては、多様な人々の想像力や創造力を融合して、様々な社会課題を解決して価値を創造していくことが重要です。そのため企業はイノベーションを創出できる多様な人材を必要とするようになり、企業ごとに採用方法の多様化や複雑化が進んでいます。

また、多様性や専門性が重視されるなか、転職や起業も一般化していくことが想定されます。学生の皆さんも学生時代から自らのキャリアを主体的に考え、デザインしていくことがとても重要だと言えるでしょう。

しかし今までは「インターンシップ」という名の下に、就業体験の乏しい短期プログラムが多数実施され、学業に影響を及ぼしているという懸念や、国際的なインターンシップと大きく乖離しているため、外国人留学生など海外の学生の理解や参加が得られにくい現状がありました。

そのため、企業と大学等が政府・地方自治体とも連携・協働して学生の皆さんの自律的なキャリア形成を支援していくためにインターンシップの定義が変更されることになりました。

今回の変更はキャリア形成支援を通じて学生と仕事・職場とのマッチングの向上を目指し、国際競争力のある人材を育成することが狙いとされています。

4つのキャリア形成支援

今回4つに分類された(インターンシップ等の)学生のキャリア形成支援に係る取り組みを以下の表にまとめました。

タイプ1オープン・カンパニー
対象学生・修士・博士課程(年次不問)
代表的ケース企業・就職情報会社や大学キャリアセンターが主催するイベント・説明会
学生にとっての目的企業・業界・仕事を具体的に知る
実施時期時間帯やオンラインの活用など、学業との両立に配慮し学士・修士・博士課程の全期間(年次不問)
実施期間何日でも可
就業体験の有無なし
フィードバックの有無任意
取得した学生情報の採用活動への活用不可
タイプ2キャリア教育
対象企業主催:学士・修士課程(年次不問)
大学主催:学士・修士・博士課程(年次不問)
代表的ケース主に、企業がCSRとして実施するプログラムや、大学が主催する授業・産学協働プログラム
学生にとっての目的自らのキャリア(職業観・就業観)を考える
実施時期学士・修士・博士課程の全期間(年次不問)
企業が行う場合は時間帯やオンラインの活用などが学業との両立に配慮
実施期間何日でも可
就業体験の有無任意
フィードバックの有無任意
取得した学生情報の採用活動への活用不可
タイプ3汎用的能力・専門活用型インターンシップ
対象学部3年・4年・修士1年・2年
代表的ケース主に、企業単独、大学が企業あるいは地域コンソーシアムと連携して実施する適性・汎用的能力ないしは専門性を重視したプログラム
学生にとっての目的その仕事に就く能力が自らに備わっているか見極める
実施時期学部3年・4年ないしは修士1年・2年の長期休暇期間
(夏休み・冬休み・入試休み・春休み)
※大学正課および博士課程の場合は長期休暇期間に限定されない
実施期間汎用能力活用型:短期(5日間以上)
専門活用型:長期(2週間以上)
就業体験の有無必須(学生の参加期間の半分を超える日数を職場で就業体験)
フィードバックの有無職場社員が学生を指導し、インターンシップ終了後にフィードバック
取得した学生情報の採用活動への活用採用活動開始以降に限り可
タイプ4高度専門型インターンシップ(試行)※今後内容が変更になる可能性あり
対象大学院生向け
代表的ケース■ジョブ型研究インターンシップ
■高度な専門性を重視した修士課程学生向けインターンシップ(仮称)
学生にとっての目的自らの専門性を実践で活かし向上させる(実践研究力の向上等)
実施時期博士:全期間
修士:検討中
実施期間ジョブ型研究:長期(2カ月以上)
就業体験の有無必須
フィードバックの有無ジョブ型研究終了後、面談評価を行い評価書・評価証明書を発行
取得した学生情報の採用活動への活用採用活動開始以降に限り可
 ※基本的に、卒業・修了後少なくとも3年以内の既卒者も含む。

定義変更=採用直結・早期選考ではない

今回の定義変更は、2023年4月より、主に2025年卒対象学生から適応されます。

「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」「高度専門型インターンシップ」は、採用広報活動には学部3年の3月以降、採用選考活動には学部4年の6月以降に、取得した学生情報や評価を活用できるようになります。

しかし、インターンシップ等はあくまでキャリア形成支援の取り組みであり、そのまま採用活動に直結したり早期選考につながるものではありません。

採用活動には改めてエントリーが必要となります。

キャリア形成支援プログラムを活用し、業界研究・企業研究を進めながら自分に合った企業を探せるように就活準備を進めましょう。

タイプ1~4のキャリア形成支援の活用法

今回の定義変更は、学生の皆さんにとっては選択肢が広がることにも繋がります。一方で、どのタイプを選べばよいか分からない、というケースも出てくるかもしれません。そんな場合は、下記のような選び方を参考にしてみてください。

・どんな業界や企業に興味があるのかまだ決まっていない場合
「オープン・カンパニー」で幅広い業界、企業の情報を収集する

・実際に社員の話を聞いたり、雰囲気を見たりしたい場合
・気になる業界・企業への理解をより深めたい場合

「キャリア教育」を通じて、自らの職業観や就業観を深める

・就業体験を通して自身が働くイメージを描きたい場合
→就業体験が必須で5日間以上行う「汎用的能力インターンシップ」にて具体的な仕事内容・やりがいを知ったり、その仕事に就く能力が自らに備わっているかを見極めたりする

・企業からのフィードバック等を通して自身の成長につなげたい場合
→2週間以上行う「専門活用型インターンシップ」に参加し、その企業の社員の方にフィードバックをもらい、自身の強みや弱みなどを客観的に知るきっかけにする

・自らの専門性を実践の場で活かしながら向上させたい場合
→2カ月以上行うジョブ型研究の高度専門型インターンシップ」に参加して、より専門性を高める

まとめ

今回のインターンシップの定義変更は、学生の皆さんにとっては将来のキャリアに向けて選択肢や視野を広げ、自分に向いている仕事や企業を探すきっかけになるでしょう。

ぜひ前向きに捉えて、積極的に取り組んでいきましょう。

キャリタス就活におけるインターンシップ等の区分はこちら

この記事のタグ

関連記事

最新記事

編集部のおすすめ記事

公式アカウントで最新情報を配信中!