インターンに参加していないと採用選考に影響するって本当?対策方法を紹介
インターンシップ・キャリア公開日:2024.08.21
近年、就活においてインターンシップ・キャリアの経験は、ますます重要視されています。特に5日間以上のインターンシップは、実務経験を積み企業理解を深める絶好の機会です。しかし、すべての学生が5日間以上のインターンシップに参加できるわけではありません。そこで本記事では、インターンシップに参加していないことが採用選考にどのような影響を与えるのか、また、参加できなかった場合の対策について解説します。
インターンシップの概要と参加するメリット
「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」によりインターンシップ等は4つのタイプに分類されました。
・「オープン・カンパニー」:
会社や業界の情報提供、PRを目的としたイベントや説明会
・「キャリア教育」:
企業がCSRの一環として実施するプログラムや、大学が主催する授業・産学協働プログラム
そして本記事で解説するインターンシップは、以下の2つを指します。
・「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」:
学部3年生以上の長期休暇期間に行われる実施期間5日間以上の就業体験プログラム
・「高度専門型インターンシップ」:
高度な専門性を重視した、大学院生向けの実施期間2カ月以上の就業体験プログラム
インターンシップは、企業の業務に深く関与して専門的なスキルを学ぶ実践型のプログラムです。参加する学生は実際の職場環境や仕事の進め方を深く理解でき、企業にとっては学生の適性を見極められる機会となります。
■「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」の特徴と参加するメリット
汎用的能力・専門活用型インターンシップでは実施期間の半分以上を職場での就業体験や具体的なプロジェクトに取り組みます。実際の業務を体験することで業界や職種についての具体的な理解を深められます。また、職場の雰囲気や働き方を体感することで、自分に合う職場かどうかを見極めることもできます。社員やほかのインターン生との人脈作り、基本的なビジネススキルを身につけられる点も参加するメリットとして挙げられます。
※一般的に5日間以上2週間未満を「短期」、2週間以上を「長期」プログラムと呼ぶ傾向があります。
■「高度専門型インターンシップ」の特徴と参加するメリット
高度専門型インターンシップは、主に大学院生向けプログラムです。研究開発や高度な専門知識が必要とされるプロジェクトに参加し、専門性を実践で生かし向上させることが目的です。実践応用したり、最新の技術や研究の動向に触れることで知識や自信を深め、高度なスキルの習得が可能です。また期間が2カ月以上と長期に及ぶため企業との関係性を築きやすいのも参加するメリットとして挙げられます。
これらのほか5日間以上のインターンシップに参加する全般的なメリットして、実際の業務に取り組む中で得られる自己成長や社員の中で活動することによる企業理解の深化といった収穫があります。特に企業理解を深めることにより、入社後のミスマッチを減らすことができたり、志望動機をより具体的かつ説得力のあるものにできたりします。企業のミッションやビジョンを身をもって理解できることは、大きなアドバンテージになるでしょう。
インターンシップの詳細については下記の記事もあわせて読んでみてください。
\あわせて読みたい/
【インターンシップを知る①】「働く」を知って、就活への一歩を踏み出そう
インターンシップに参加しなかった際の採用選考への影響
5日間以上のインターンシップに参加することが就活において有意義な経験になることは明確ですが、就活生全員がインターンシップに参加できるとは限りません。「参加したいけれどできなかった」理由は、事情によってさまざまです。
■インターンシップに参加できない理由とは
・地理的な制約:
特に地方在住の学生だと、インターンシップ実施場所が遠方で通うことが難しい場合があります。また、長期のインターンシップでは現地に一定期間滞在する必要があるため、遠方に住んでいる学生にはハードルが高くなります。
・経済的な理由:
短期インターンシップは無給のことが多く、交通費は自己負担となります。※交通費が支給されるケースもあります。
・インターン募集人数の少なさによる合格率の低さ:
企業側にとってインターン生を受け入れることは負荷がかかるため、募集人数を絞る傾向があります。そのため、応募しても残念ながら選考に通らずに参加できない学生も多くいます。
キャリタス就活が行った2024年2月の「就職意識調査」では、1日以上のプログラムに参加した学生は9割を超えているものの、5日間以上のインターンシップに参加した学生の割合は4割に満たない状況となっています。同じような状況の学生さんはたくさんいますのでしっかり対策していきましょう。
参照:キャリタス就活 学生モニター2025調査結果(2024年2月発行)
https://www.career-tasu.co.jp/wp/wp-content/uploads/2024/02/202402_gakuseichosa_kakuho.pdf
■インターンシップに参加してないと内定はもらえない?
インターンシップへの参加を希望していたけれど叶わなかった場合、こんな不安を感じてしまう方もいるかと思います。
・実務経験の不足により具体的なスキルをアピールできないのでは…。
・企業文化や企業風土の理解が浅いと思われるのでは…。
・インターンシップに参加した学生と差がついてしまうのでは…。
・ほかの学生や業界・企業とネットワークが作れないのでは…。
インターンシップへの参加有無が採用選考に影響するか否かでいえば、「影響する」といえます。その理由としては、インターンシップ等のルール改定により2025年卒から、インターンシップの参加者情報として企業が得た情報を、選考開始後に活用できるようになったことが挙げられます。一部の企業において採用選考に影響する場合もありますので、志望企業の選考フローは事前に調べておきましょう。
しかし、多くの企業ではインターンシップ参加が採用の条件とはなっていないため、インターンシップに参加しなかった理由を説明できるよう準備をしておけば、悩む必要はありません。インターンシップの選考に落ちたけれど、同じ企業の採用選考に合格したという先輩が実際にいますので、安心してください。インターンシップの選考に落ちたとしても、採用選考に応募することが大切です。
インターンシップに参加していない場合の対応策
前述のような理由でインターンシップに参加できなかった場合でも、ネガティブに考え過ぎることはありません。採用担当者や面接官に対して、不参加だった理由をきちんと説明できるようにしておきましょう。それ以外の対応として、次のような項目をカバーすることが大切です。
・企業研究の徹底:
応募企業や業界についての徹底的な研究は必須です。そして、企業に合わせたアピール内容を準備しておきます。たとえば、自分のスキルがその企業にとってどう役立つか、自身の気持ちを真剣に語るなど、インターンシップに参加していなくても、積極性を示せるようにしましょう。
・自己分析と強みを明確に:
インターンシップを通じて企業が見ておきたいのは、学生の実務能力やコミュニケーション能力、仕事に対する意欲や態度、適性など、多岐にわたる要素です。自己分析を通じて自分の強みや弱みを把握し、自分の成長過程や課題克服の経験を具体的に説明することで、企業に対して信頼感とポテンシャルを伝えることができます。
・学業や学外での活動・成果をアピール:
授業やゼミ、研究活動などと日程が重なりインターンシップに参加ができなかった場合は、それらを行った努力の過程や研究成果などをしっかりと伝えましょう。そして、アルバイトや学外活動、ボランティアなどでインターンシップに参加できなかった場合は、それらの活動がどのように自己成長に寄与したか、そして社会にどのような影響を与えたのか貢献度を強調します。具体的なエピソードを交えながら、自分の実績をしっかりと伝えることで、インターンシップ経験の不足を補うことができます。
こういった選考過程や面接でのアピールのほかに──
・OB・OGや社会人と関わりをもつ:
インターンシップの目的は、自分が実際に働く姿をイメージすることもその一つ。その代わりに、OB・OG訪問を積極的に行う、学外活動で社会人とコミュニケーションを取る、就活イベントなどに参加して企業の担当者と対話を行うなどの対策ができます。
・今からでも参加できるインターンシップ等を探す:
冬期休暇に実施されるインターンシップやオープン・カンパニー等のプログラムを探して、複数参加することも一つの方法です。
下記リンクにアクセスすることで、あなたの希望職種やエリアなどこだわり条件で検索ができます。地理的な制約がある場合はオンラインで実施している企業を積極的に探してみましょう。
まとめ
インターンシップへの参加は、学生のうちにしかできない貴重な経験です。できれば参加することが望ましいのですが、本記事では参加できない場合の対策を解説しました。参加できなかったとしても、インターンシップ以外で自らが得た経験・成果、そしてスキルをどのように生かしていきたいかを志望企業にしっかりと伝えることで、インターンシップ不参加であることを十分補えます。
ただし、一部ではありますが、採用選考フローにインターンシップが組み込まれている企業・業界もあります。たとえば、外資系コンサルティングファーム、投資銀行、IT関連業界、広告・マーケティング業界などです。「キャリタス就活」を活用して、気になる企業については事前に十分な情報収集を心掛けてください。志望業界や企業が決まっている場合は、大学3年の6月以降からインターンシップが活発になるので、こまめなチェックをおすすめします。
就活を成功させるためにはインターンシップには積極的にかかわることが大切です。しかし、やむを得ず参加できない場合は、ここで解説した項目をしっかりと読み込んでカバーし、自信をもって採用選考に臨みましょう。
PROFILE
鳥羽山 康一郎(とばやま こういちろう)
静岡県生まれ。広告制作会社、外資系広告代理店にてコピーライター、クリエイティブディレクター、プランナーとして勤務後、2006年よりフリーランスとして独立。外資系マーケティング理論の知見を生かし、広告・Webライティング等を中心に執筆活動を展開中。地方取材、インタビューも得意とする。