学生時代の活動は内定取り消しに影響する?実例から学ぶ就活リスク【弁護士が答えます】

就活ノウハウ

公開日:2026.04.08

学生時代の活動は内定取り消しに影響する?実例から学ぶ就活リスク【弁護士が答えます】

この記事でわかること

  • 学生時代の活動が内定や評価に影響する場合がある
  • 企業が内定取り消しを行う場合は、正当な理由が必要
  • 想像以上に企業は応募者の学生時代の経験を見ている!

就職活動では「学生時代に何をしてきたか」が評価されることがあります。アルバイトやサークル活動など自己PRの材料として語られることも少なくありません。ただし、学生時代にしていた活動を理由に内定取り消し事件につながったケースがあることをご存じでしょうか。本記事では実例を基に学生時代の活動と内定取り消しの関係について弁護士が答えます。

学生時代の活動は内定に影響する?

企業が学生を採用する際、学業成績だけでなく、アルバイトや課外活動など、学生時代の経験を総合的に評価します。
そのため、「学生時代にどのような活動をしていたか」が採用判断に影響すること自体は、決して珍しいことではありません。
ただし、学生時代の活動そのものを理由に、内定を取り消すことが許されるかどうかは、まったく別の問題です。
ここで重要になるのが、「内定」が法的にどのように扱われているか、という点です。

実際にあった内定取り消し事件

2014年に、ニュース記事等でも広く報道された事件があります。
この事件は、日本テレビにアナウンサーとして内定を得た女性が、学生時代にホステスのアルバイトをしていたことを理由に内定を取り消されたという内容です。
日本テレビ側としては、女性がホステスとしてアルバイトをしていたことが、「高度の清廉性を求められるアナウンサーにふさわしくない」と主張して内定を取り消したようです。
対して女性側は、内定取り消しに納得ができず、裁判にまで発展することになりました。
気になる裁判の行く末ですが、報道記事を見る限り、日本テレビ側が内定取り消しを撤回する内容での和解が成立し、女性は2015年4月から入社することができたようです。提訴からわずか数カ月でのスピード解決であり、内定取り消しの撤回が実現したことからすると、女性の請求がほぼ認められたと判断してよいでしょう。

そもそも内定取り消しってどういうこと?法的な視点をおさらい

SNSにおける『炎上』を理由とする内定取り消し」記事でも触れていますが、内定取り消しについて整理します。
内定取り消しとは「企業が一度出した内定を入社前に一方的に撤回すること」を指します。ただ判例上は、「内定」は雇用契約の一類型であり、会社側が内定を取り消すには、客観的に合理的な理由が存在し、かつ、社会的通念上相当であることを要します。
このような視点から考えますと、上記の日本テレビアナウンサー事件では、そもそも内定取り消しをすべき合理性・相当性がなかったと言わざるを得ません。ホステスのアルバイトは、性風俗に反する違法な仕事ではなく、それ自体特に問題にはなりません。日本テレビ側はアナウンサーという仕事に高度の清廉性が求められることを主張しましたが、アナウンサーといっても特別な資格が必要なものではなく、ピンときません。そもそも、「ホステス経験があると清廉性が疑われる」という前提自体が成り立たないのではないかという疑問もあります。
日本テレビアナウンサー事件は、妥当な結末を迎えたと言うべきでしょう。

学生時代の経験が重視されていることを意識しよう

「結果よければすべてよし」と言いたいところですが、日本テレビアナウンサー事件は、学生の皆さんが考えるべき教訓を示しています。
この事件の女性は、自ら裁判を起こすことによって権利を確保することができました。ただ、実際に裁判を起こすとなれば、費用や労力の負担は大きいです。いくら不当な内定取り消しであっても、権利を主張できないまま諦めてしまうケースは多々あるはずです。そうしますと、内定取り消し事件に巻き込まれること自体が、学生の皆さんにとっては大きなリスクなのです。
もうひとつは、内定取り消し事件に巻き込まれた後のキャリア形成の問題です。無事に内定取り消しの撤回を勝ち取ったとしても、入社後の会社で適切な人事評価がされる保証はありません。場合によっては、「会社と争った人物」として、不遇な人事評価を受けるリスクもあります。

この事件の背景を踏まえると、就職活動において学生時代の経験が重視される理由も見えてきます。企業が学生時代の活動を見るのは、単なる経歴の確認や過去の行動を評価するためではありません。企業が見ているのは、その経験を通じてどのような価値観が形成され、どのように考え、行動する人物なのかという「現在の姿」が将来、企業にどのような形で貢献していく可能性があるのか見極めようとしているのです。

評価される視点や内定取り消しのリスクも理解した上で学生生活を送ることが、不要なトラブルを避け、自分のキャリアを守ることをにもつながることを覚えておきましょう。

下大澤 優弁護士

PROFILE

定禅寺通り法律事務所
下大澤 優弁護士
退職代行、残業代請求、不当解雇、パワハラ・セクハラなど、数多くの労働問題を取り扱っています。これまでにも、発令された配転( 転勤) 命令の撤回、未払残業代の支払など多くの事例を解決しています。

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