インターン生が受けられる法的保護の境界線【弁護士が答えます】
就活ノウハウ公開日:2026.02.10
この記事でわかること
- インターンシップは就業体験の機会であり、学生・企業双方にメリットがある。
- 労働者かどうかの判断基準は①使用者の指揮命令下にあるか、②労働の対価として賃金が支払われるか。
- 労働者として認められると、賃金請求、労災保険、ハラスメント対策などの法的保護を受けられる。
大学生の皆さんにとって、インターンシップは「企業での就業体験」として身近な存在ですが、実は法律の観点から見ると注意すべき点があります。本記事では、インターンシップの基本や種類を整理するとともに、弁護士の視点から労働者としての法的保護が及ぶ場合と及ばない場合の違いを解説します。長期インターンシップと短期インターンシップで何が問題になり得るのか、皆さんと企業の双方にとって重要なポイントを確認していきましょう。
インターンシップの基本をおさらい
就活準備中の皆さんは、「インターンシップ」という言葉をご存じかと思います。
インターンシップとは、一言でいえば、大学在学中に企業で就業体験を5日以上行うプログラムを指します。インターンシップといっても内容はさまざまで、5日以上~2週間未満の短期インターンシップもあれば、2週間以上~数か月に及ぶ長期インターンシップもあります。
インターンシップは、学生の皆さんから見れば、就業体験を通して自分にマッチする業界や職種、企業を深く知るチャンスになります。また企業の側から見れば、自社にマッチする人材とのタッチポイントになります。双方にとってメリットがある制度といえるでしょう。
インターンシップについて詳しく知りたい方はこちら。
インターンシップとは?参加する目的やメリットは?給料や時期についても解説
就活でよく聞く「インターンシップ」とは具体的にどのような活動なのか知らない方も多いでしょう。この記事ではインターンシップとは何か、就活にどのように役に立てられるのか解説します。参加する目的やメリット、給料の有無などについても確認していきましょう…
インターンシップに潜む法的問題
一見何の問題もなさそうなインターンシップですが、労働法の観点から見ると、検討しなければならない問題があります。
それは、「インターンシップを実施する場合、企業が使用者、学生が労働者となり、労働基準法等が適用されるのではないか?」という問題です。
たとえば、皆さんが半年の長期インターンシップに参加するとしましょう。
もしそのインターンシップで、「従業員と同じ程度の業務を命じられるけども、給料は一切出ない」、「業務中にケガをしたのに、自己責任だから補償はないと言われた」、「明らかなパワハラを受けたのに、誰にも相談できない」といった事態が発生したらどうでしょうか?これはどう考えてもおかしいぞ、というのは直感的に理解できると思います。
この問題を言語化すると、「インターンシップであっても、通常の労働者と同じ法的保護を受けるべきではないか」ということです。
労働者として保護されるかどうかの境界線
「インターンシップであっても、通常の労働者と同じ法的保護を受けるべきではないか」という問題を考えるにあたって重要なのは、「インターンシップに参加する者が労基法等にいう『労働者』にあたるか」という視点です。労基法等にいう「労働者」に該当すれば、インターンシップ生であっても通常の労働者と同じ法的保護を受けます。
労基法等にいう「労働者」の判断基準として重要なのは、①使用者の指揮命令下に置かれているか、②労働の対価として賃金が支払われる関係にあるか、です。
たとえば、インターンシップへの参加が自由ではなく強制で、参加時間が定められ、上司の指揮を受けて業務を行うという形態の場合、そのインターンシップには「①使用者の指揮命令下に置かれている」可能性が高いです。
また、インターンシップの参加について日当制や時給制が設けられている場合は、「②労働の対価として賃金が支払われる関係」であるといえるでしょう。このようなインターンシップでは、参加する学生が「労働者」と扱われることになります。
ただ上司からの指揮もないような形態ですと、労働者性は認められにくいです。
論理必然ではありませんが、以上を踏まえますと、長期インターンシップの場合は業務内容が実務的になるため労働者性が認められる場合が多く、短期インターンシップの場合は長期に比べて参加期間や仕事への関与度が低いため労働者性が認められる場合が少ないといえます。
労働者ならどんな保護を受けられる?
ではもし上記で述べた条件に該当し、インターンシップ生が労働者として保護される場合、具体的にはどのような効果が生じるのでしょうか?
労働者として保護される場合とそうでない場合の違いはさまざまありますが、最も基本的なところは賃金です。労働者として保護される場合、使用者に対し、少なくとも最低賃金ベースの賃金を請求することができます。もちろん、残業をした場合には割増賃金も請求できます。
また、使用者は、労働者を雇用する場合には必ず労災保険(※)に加入させなければなりません。
さらに、インターンシップ中にパワハラやセクハラ被害が起きた場合には、労働者という立場のもと、使用者に対し責任を問うことができます。
労働者として保護される場合の効果は上記だけにとどまりませんが、ともかく、労働者にあたるかあたらないかという違いによって、法的保護の程度に大きな差が生じるということです。
※労災保険とは、業務(インターンシップ)中の事故等によってケガを負った場合に、その補償をしてくれる制度です。
守られる権利を知り、安心してインターンシップに参加しよう
インターンシップは、就業体験を通してキャリア形成に役立つ一方で、法的な位置づけによって学生が受けられる保護の範囲は大きく異なります。インターンシップに参加する際には、プログラムの性質や条件を理解し、自分がどのような立場で働くのかを確認することが重要だといえるでしょう。
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PROFILE
定禅寺通り法律事務所
下大澤 優弁護士
退職代行、残業代請求、不当解雇、パワハラ・セクハラなど、数多くの労働問題を取り扱っています。これまでにも、発令された配転( 転勤) 命令の撤回、未払残業代の支払など多くの事例を解決しています。



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