求人票と雇用契約書で給与が異なる場合って?【弁護士が答えます】

就活ノウハウ

公開日:2024.01.09

求人票を見たら魅力的な条件であり、応募して内定をもらったところ、示された雇用契約書には求人票とは異なる(より低い)条件が示されていて、「騙された!」となるケースが後を絶ちません。このような場合、応募者としては何か打つ手があるのでしょうか。

裁判例は「求職者は当然求人票記載の労働条件が雇用契約の内容になるものと考えるし、通常求人者も求人票に記載した労働条件が雇用契約の内容になることを前提としていることに鑑みるならば、求人票記載の労働条件は、当事者間においてこれと異なる別段の合意をするなど特段の事情がない限り、雇用契約の内容になるものと解するのが相当である。」としています(大阪高判平成2年3月8日)。

しかし、求人票は「雇用契約」自体ではなく、雇用契約の申込みの誘引(雇用契約を申し込んで欲しいと、会社から労働者に呼びかけること)という位置づけになりますので、求人票と異なる合意をすること自体が禁じられる訳ではありません(前記の裁判例も「当事者間においてこれと異なる別段の合意をするなど特段の事情がない限り」という留保をしています)。

もっとも、職業安定法の改正(平成30年1月1日施行)により、求人票に記載された労働条件を変更する場合には、その旨を労働者に明示することが義務づけられました。明示の手段としては雇用契約書を提示する時点での再説明や、人事面談での説明、メールでの通知といった方法が考えられます。

雇用契約書が交付された場合には、求人票に記載された労働条件からの変更が明示されているといえますので、残念ながら、求人票の条件による雇用契約を会社に対して強硬に求めることは難しい可能性があります。

キャリタス就活は厚生労働省主管の「優良募集情報等提供事業者」に認定されており、法令に則り「求人情報を正確・最新の内容に保つ措置」を講じ、掲載情報の審査を行っています。求人企業には「当初明示した労働条件に変更等が生じた場合、変更内容を明示する義務」「募集情報の保存義務」が課せられており、情報がいつ時点のものなのかは各情報ページに明記されているので、更新日付が古い時点の場合は手元に控えをとり、企業に問い合わせしてみることをおすすめします。

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PROFILE

英明法律事務所
浦辺 英明弁護士
解雇問題、従業員の処遇問題、残業代請求問題、ハラスメント問題など、幅広く人事労務分野における活動を行っています。著書に「Q&Aで納得!労働問題解決のために読む本」(日本労務研究会編・共著)など。

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