ジョブ型・メンバーシップ型雇用を比較!あなたに合った働き方とは?
就活ノウハウ公開日:2024.08.14
この記事を読む皆さんは「ジョブ型雇用」と「メンバーシップ型雇用」という2つの雇用形態をご存じですか?どちらの雇用形態を選ぶかによって、今後のキャリアパスや働き方のスタイルが大きく変わります。本記事では、これらの雇用形態の特徴や違い、メリット・デメリットを詳しく解説します。
ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の定義と違いは?
卒業後に選択する働き方は大きく分けて「ジョブ型雇用」と「メンバーシップ型雇用」という二つの雇用形態があります。ここでは各雇用の概要と違いを押さえていきましょう。
■ジョブ型雇用とは
ジョブ型雇用とは、職務内容を明確に定義し、その職務に適したスキルや経験、資格をもつ人材を採用する雇用形態です。職務範囲が明確であり、専門性を重視するため、特定のスキルセットをもつ専門職や技術職に多く見られます。海外(特に欧米)では、新卒一括採用の概念がないため、学生も大学等で学んだ専門知識やインターンシップの経験を生かして就職活動を行い、ジョブ型で雇用されることが一般的です。採用時に職務記述書(ジョブディスクリプション)で仕事内容・勤務地・労働時間・報酬などを明確に定め、雇用契約を結びます。
■メンバーシップ型雇用とは
メンバーシップ型雇用とは、人を採用してから仕事を割り振る、日本特有かつ長年用いられてきた新卒一括採用型の雇用スタイルです。人材のポテンシャルを重視し企業全体の一員として採用するため、職務内容が必ずしも明確でない雇用形態です。勤務地や職種を限定されず、ジョブローテーションが行われる可能性があります。長期雇用を前提にゼネラリストを育成することが目的です。また入社後の研修や仮配属を経て、社員の適性を見極めてから配属されることが多いです。また、複数の職種を経験したのちに、専門分野に特化していくケースもあります。
ジョブ型雇用のメリットとデメリット
ジョブ型雇用は、特定の職務に対する専門性を重視し、明確な職務範囲と責任が定められた雇用形態です。職務に応じたスキルや経験が重視されるため、専門的なキャリアを構築していきたい方にとってはおすすめです。ここでは、ジョブ型雇用の主なメリットとデメリットを具体的に挙げていきます。
■ジョブ型雇用のメリットやデメリットは?どんな人に向いている?
メリット
・専門性の向上かつキャリアパスが明確:特定の職務に集中するため、専門スキルや知識が深まる。また職務内容が明確なため、将来のキャリアパスを描きやすい。
・高報酬の可能性:専門職としての価値が評価され、高報酬を得やすい。
・柔軟な働き方:ワークライフバランスを考慮し、契約更新時に正規雇用から非正規雇用へ転換するなど選択肢が多い。
デメリット
・職務変更が難しい:専門性が高いため、異なる職務への転換が難しい。
・雇用の不安定さ:経済状況や企業の業績により、契約が更新されないリスクがある。
・労働時間の長さ:高い専門性を求められるため、労働時間が長くなることがある。
ジョブ型雇用に向いている人の特徴
・専門スキルを伸ばしていきたい人
・高収入を得たい人
・勤務地を自ら決めたい人
メンバーシップ型雇用のメリットとデメリット
メンバーシップ型雇用は、日本の企業文化に深く根付いた雇用形態であり、企業全体の一員としての働き方を重視します。新卒一括採用に代表されるように、職務内容が必ずしも明確でない中で、さまざまな業務を経験しながら成長していくことが求められます。ここでは、メンバーシップ型雇用の主なメリットとデメリットを具体的に挙げていきます。
■メンバーシップ型雇用のメリットやデメリットは?どんな人に向いている?
メリット
・安定した雇用:終身雇用の形態が一般的で長期的に働けるため、安定した雇用が期待できる。
・幅広い経験:さまざまな部署で業務を経験することで、総合的なスキルが身につく。
・社内でのキャリアアップ:同じ企業で長期間働くことで、昇進のチャンスが増える。
デメリット
・専門性の不足:幅広い業務を経験するため、特定の専門性が身につきにくい。
・キャリアの不透明感:どの部署に配属されるかがわからないため、将来のキャリアパスを描きづらい。また、本人の意向ではない異動や転勤の可能性がある。
・転職の難しさ:他社でも評価されるスキルが身につきにくく、転職が難しい場合がある。
メンバーシップ型雇用に向いている人の特徴
・職務内容より、業界などに興味がある人
・さまざまな業務を経験したい人
・長期的なキャリア形成を重視する人
自分に合った雇用形態を選択するには?
自分に合った雇用形態を選択することは、長期的なキャリア形成において非常に重要です。ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用のどちらが自分に適しているかを判断するために、考慮すべきポイントを具体的に挙げていきます。
・自己分析でやりたいことを明確にする:
自分の興味や得意分野を明確にすることで、ジョブ型の専門職かメンバーシップ型の多様な業務経験が合うかを判断できます。
・将来の目標や理想の働き方を考える:
自分の将来像を明確にすることで、専門性を高めるジョブ型か、多様な経験を積むメンバーシップ型のどちらが適しているかを判断できます。
・企業ごとの雇用形態をリサーチする:
企業ごとの雇用形態を理解することで、自分の働き方やキャリア目標に適した企業を選びやすくなります。
・企業で働く人の声を参考にする:
実際に働く人の意見を聞くことで、ジョブ型とメンバーシップ型の実際の違いや、自分に合う働き方を具体的にイメージできます。
・理想のライフスタイルを検討する:
将来のライフスタイルに合った働き方を選ぶことで、長期的に無理なく働ける環境を見つけやすくなります。
・価値観の変化を考慮する:
自分の価値観の変化を考慮することで、柔軟にキャリアプランを見直し、ジョブ型やメンバーシップ型の長所を生かすことができます。
・キャリアセンターのアドバイスを聞く:
専門家の意見を聞くことで、自己分析がより深まり、適した雇用形態を客観的に判断する助けになります。
まとめ
ジョブ型雇用の専門性を重視するか、メンバーシップ型雇用で幅広い経験を積むか、いずれかを選択するには自己分析と企業分析が欠かせません。どちらがよいといったことはないためそれぞれの雇用形態の特徴や違い、メリットとデメリットを理解し、長期的に満足できるキャリアを見据えて判断するようにしていきましょう。
なお、メンバーシップ型であっても初任配属先を確約する企業が増えています。この場合は、最初の配属先が確約されるだけで、その後は異動・転勤の可能性があります。契約により将来にわたる職務内容・勤務地を明確に規定されるのか、とりあえず最初に配属される部署が約束されるだけなのか、応募先企業のしくみをよく確認するとともに、自分自身のキャリアビジョンを見極めて入社する企業を選択しましょう。
PROFILE
中尾 あずさ
大学卒業後、新卒で旅行会社にて営業・海外添乗員を経験後、大手人材会社へ転職。営業・人材育成・研修講師を行う。その間、アルバイト→契約社員→正社員→時短勤務と様々な勤務形態を経験。在籍中に3人の子供の出産・育児休暇を経て仕事と子育てを両立。2011年にキャリアカウンセラー(CDA)資格を取得。副業にてトータル3500人の相談業務に従事し独立。高校、大学でエントリーシートの添削や面接対策、進路相談など就職活動支援や就業中の方へのキャリアコンサルティングを実施。
【主な資格】
・キャリアカウンセラー CDA(キャリア・ディベロップメント・アドバイザー)
・国家資格キャリアコンサルタント
・青山学院大学社会情報学部ワークショップデザイナー
・育休後アドバイザー