公務員を目指すあなたが知っておくべき選考スケジュールと試験の種類

業界・職種・企業研究

公開日:2024.08.07

公務員の採用選考には、民間企業とは異なる特徴があります。試験の種類や内容が多岐にわたるので、「全体像がわかりにくい」と悩む就活生も多いのではないでしょうか。志望先によって必要な準備が変わるため、公務員における採用選考の全体プロセスを理解しておくことがとても大切です。そこで本記事では、公務員を目指す就活生がまず押さえておきたい公務員の採用選考スケジュールや試験の種類・内容について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

公務員の種類と区分

公務員の採用選考を知るにあたり、まずは公務員にどのような種類があるのかをチェックしておきましょう。

公務員は、大きく「国家公務員」と「地方公務員」の2つに分けられます。

・国家公務員:国家機関で働く公務員
・地方公務員:地方自治体で働く公務員

また国家公務員・地方公務員のなかでも、以下のように分かれています。

①国家公務員の区分

・総合職:政策の企画・立案または調査・研究に関する職務を担当
・一般職:政策の実行やフォローアップなどに関する職務を担当
・専門職:特定の行政分野に関する専門知識が必要な職務を担当

②地方公務員の区分

・都道府県:市町村単位では対応が難しい業務など、広域的な行政サービスを担当
・政令指定都市:市町村業務のほか、道府県に代わり福祉や都市計画業務などを担当
・市町村:地域住民の生活に密着した、基礎的な行政サービスを担当
・特別区(東京23区):独立した基礎自治体として区民に密着した行政サービスを担当

公務員に採用されるまでの流れ

公務員として採用されるためには、まず志望先の公務員試験に合格しなければなりません。たとえば外務省の総合職として働きたいのであれば国家公務員の総合職試験、神奈川県庁の職員として働きたいのであれば地方公務員(神奈川県)の職員採用試験に合格する必要があります。

公務員試験に合格すると、採用候補者名簿に掲載されます。採用者は、採用候補者名簿の中から決められます。

ここでは、公務員試験から内定までのスケジュールを紹介します。

■公務員試験のスケジュール

公務員試験では、採用前年の春頃から受験申込がスタートし、筆記の1次試験を経て、夏頃から面接試験などの2次試験が実施されるケースが目立ちます。一般的な全体スケジュールは後ほど紹介します。

■採用選考のスケジュール

内定までの採用選考スケジュールは、志望先によって異なります。

たとえば国家公務員の総合職・一般職などでは、人事院による1~2次試験とは別で、各省庁・官庁が実施する面接などを受ける必要があります。民間企業でいう「採用選考活動」に当たるもので、「官庁訪問」と呼ばれています。採用されるためには、官庁訪問を経て、志望官庁から内々定や内定を得る必要があります。

志望先によっては、次のようなケースもあります。

・採用候補者名簿に掲載された公務員試験合格者のうち、成績順に内定が決まる
・採用候補者名簿に掲載された公務員試験合格者は全員内定

前者の場合、試験に合格しても採用されない「名簿残留」となる可能性もあります。

■内定までの全体スケジュール例

公務員試験・採用選考スケジュールは、受験先や年度によって異なります。2023・2024年度の情報を参考に、大卒程度の公務員試験に関する一般的な全体スケジュールを紹介します。

【一般的な全体スケジュール例】

※受験先や年度によってスケジュールは異なります。
※市町村試験にはいくつかの試験日程があります。主な日程はそれぞれA~C日程と呼ばれており、試験の内容や難易度も異なる場合もあるため、志望する市区町村がどの日程で行われるかチェックしましょう。

【参照元】
国家公務員:国家公務員試験採用情報NAVI /人事院
地方公務員(都道府県・政令指定都市):神奈川県職員採用ホームページ /神奈川県人事委員会事務局
横浜市職員採用案内ホームページ /横浜市役所

地方公務員(市町村)
A日程:令和6年度青森市職員採用試験のお知らせ /青森市役所
B日程:令和6年度大崎市職員採用試験(上級採用試験) /大崎市役所
C日程:令和5年度職員採用試験 採用試験案内 /足利市役所

公務員試験の内容

公務員試験の1次試験はマークシートや論文形式の筆記試験、2次試験以降に面接試験が実施されることが一般的です。警察官や消防士、海上保安官など公安系公務員試験の場合は体力試験が課されるケースもあります。

■筆記試験

公務員試験で実施される筆記試験には、主に次の2種類があります。

・教養試験:幅広い分野の出題から公務員として必要な一般的な知識や知能を測る試験
・専門試験:受験する職種に応じた専門知識を測る試験

教養試験と専門試験は、それぞれ五肢択一のマークシート方式または記述式で実施されます。どの試験がどの形式で出題されるかは、職種や試験区分によって異なります。

【大卒程度の採用試験における筆記試験の一例】

■面接試験

公務員試験で実施される面接試験は、主に「個別面接」「集団面接」「グループディスカッション」の3種類です。

・個別面接
受験者1名に対して2~3名の面接官で実施される面接です。面接時間は約15~30分です。事前に提出した面接カードやエントリーシートを元に、志望動機・自己PRといった基本的な質問をされるケースが一般的で、受験者の志望動機、強みや弱み、適性などが評価されます。

・集団面接
3〜6名の受験生に対して、複数人の面接官で実施される面接です。面接時間は30分~1時間程度です。自己PRや志望動機、面接官からの質問に順番に答えていくことが一般的で、面接官が回答者を指名する「指名制」のほか、受験生による「挙手制」や「端から順番に回答」というケースもあります。この面接ではマナーやコミュニケーション能力、志望度などが評価されます。

・グループディスカッション
与えられた課題について約5~10名のグループで討議し、30分程度の制限時間の中で意見をまとめる試験です。コミュニケーション能力・協調性・タイムマネジメント能力などが評価されます。

公務員の採用選考にまつわるQ&A

公務員の採用選考に関するよくある質問と、その回答をまとめました。

・公務員と民間企業の採用選考は何が違うの?
民間企業の場合、まずは書類選考に通過しなければ次の選考に進めないことが一般的です。公務員試験では、受験資格を満たせば誰もが採用試験を受験できます。民間企業の選考と比べて筆記試験のウェイトが大きい傾向にあることも、公務員試験の特徴と言えます。

また、採用方法にも違いがあります。民間企業の場合、最終選考に合格した段階で内定が出ます。一方、公務員試験における試験合格とは、「採用候補者名簿に登載される」ことを意味します。試験合格=採用ではなく、採用候補者名簿の順に内定の通知を受けてはじめて正式内定となります。

・公務員試験は併願できる?
併願可能です。日程が被らない限り、併願数に上限はありません。そのため、受験生の多くが複数の公務員試験を受験しています。ただし、1次試験の日程が被らなかったとしても、2次試験以降に試験日が重なる可能性はあります。

例:
・国家一般職の2次試験(面接)と特別区の2次試験(面接)が重なる
・A官庁とB官庁の官庁訪問が重なる

受験者は受験先から割り振られた日程で試験を受ける必要があり、多くのケースにおいて日時の変更はできません。スケジュール管理をしっかり行うとともに、志望先についてある程度の優先順位をつけておくことも大切です。

・公務員にもインターンシップ等はある?
国家公務員にも地方公務員にもインターンシップ等があります。業務説明やグループワークなどを行う「座学型」のプログラムもあれば、職場での実務や地域イベントの運営などを体験できる「体験型」のプログラムもあります。

インターンシップ等に不参加だからといって、公務員試験の採用選考に不利になることはありません。しかし、インターンシップ等の経験は志望動機や業務理解を深めたり、自分に合った職場環境かどうかを見極めたり、受験のモチベーションを高めたりすることにも役立つでしょう。

公務員のインターンシップ等に興味のある方は、各自治体や官庁の公式サイト、大学のキャリアセンターや就職課などで、応募方法やスケジュールを確認してみてください。

まとめ

公務員としてのキャリアは魅力的ではありますが、簡単な道のりではありません。受験する公務員の種類に応じてスケジュールや採用フローが異なりますので、人事院や自治体が公表する情報をチェックし、しっかりと試験対策と準備を行い、万全な状態で採用選考に挑みましょう。

PROFILE

麻 桃子(あさ ももこ)
印刷会社の制作部門にてコピーライター・ディレクターとして勤務後、2021年よりフリーライターに。市役所での勤務経験もあり。会社員・公務員・フリーランスなどさまざまなスタイルで働いた経験を生かし、幅広いジャンルで執筆中。

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