「公務員=安定」って本当?意外と知らない公務員について理解を深めよう

業界・職種・企業研究

公開日:2024.07.10

公務員の仕事は、国民の日常生活の基盤を支える上で重要な役割を果たしています。教育、医療、災害対策、公安といった幅広い面から、国や地方が抱えるさまざまな課題に対応します。また職種も多岐にわたるため、「安定したイメージの公務員に興味があるけれど、国家公務員・地方公務員などいろいろあってよくわからない」という就活生も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、公務員の概要や職種・仕事内容、公務員になる上で必要な資質などを解説します。ぜひ参考にしてください。

そもそも公務員とは?

公務員とは、国や地方自治体の機関に勤務し、公共サービスの提供や社会の基盤作りを行う人々の総称です。国民生活の質を高め、社会の秩序や環境・安全を維持することが公務員の主な仕事です。公務員にはさまざまな種類があり、その職務内容も多岐にわたります。

ここでは、

・国家公務員と地方公務員の違い

・公務員の職種

について解説します。

■国家公務員と地方公務員の違い

公務員は大きく「国家公務員」と「地方公務員」の2つに分けられます。大きな違いは、担当する業務の規模や範囲です。国家公務員は「国」に関するスケールの大きい業務を行い、地方公務員は都道府県や市区町村といった「地方自治体」に関する地域密着型の業務を行います。同じ「税」を例に挙げると、下記のような違いがあります。

<「税」に関する仕事の違いの例>
国家公務員:国税局で国税専門官として国税を賦課・徴収する
地方公務員:市役所の税務課で地方税を賦課・徴収する

また一般的に、国家公務員はスペシャリスト、地方公務員はゼネラリストと呼ばれる傾向があります。国家公務員は、所属省庁・各機関などが所管する分野に関連した業務を行うことが基本です。たとえば国税専門官であれば、税のスペシャリストとしての働き方が求められます。労働局に採用されたケースであれば、一般的には労働に関連した業務を担当します。

一方、県や市町村で働く地方公務員は、採用された自治体にて数年単位で部署異動します。「税務課から福祉課へ異動し、その後は総務課へ異動」など、まったく分野の異なる部署異動を繰り返すケースも珍しくありません。そのため、幅広い仕事に対応できるゼネラリストとしての働き方が求められます。

勤務地にも違いがあります。職種によって異なるものの、国家機関は全国に存在するため、国家公務員は全国各地に転勤する可能性があります。一方、地方公務員は転勤をともなう異動でも、近隣エリアにとどまることが一般的です。

■公務員の職種

公務員の職種は非常に多岐にわたります。大まかな職種例は、以下のとおりです。

職種具体例
行政職国や地方自治体の一般事務職など
専門職国税専門官、労働基準監督官、裁判所事務官など
公安職警察官、消防士、海上保安官など
技術職土木職、建築職、電気職、機械職、化学職など
心理職・福祉職保護観察官、家庭裁判所調査官補、法務教官など
資格・免許職保育士、管理栄養士、保健師など
教育職公立学校教員など

ひとくちに公務員といっても、事務系から公安系まで、本当にさまざまな仕事があります。民間企業でいえば、業種の垣根を超えた巨大なグループ会社のようなイメージです。とはいえ、どの職種においても、公正かつ中立な立場で公共の利益を考え、国民生活の質の向上に貢献する点は変わりません。

公務員になるためには

公務員になるためには、基本的に公務員試験に合格する必要があります。採用試験は、原則として年に1回実施されます。一次試験として筆記試験、二次試験以降は面接試験を実施するケースが一般的です。

人事院の発表によると、2023年度における国家公務員(大卒程度)の各種採用試験の倍率は以下のとおりです。

試験申込者数合格者数倍率
総合職試験(春・大卒程度)12,886人1,360人9.5倍
総合職試験(教養区分・大卒程度)4,014人423人9.5倍
一般職試験(大卒程度)26,319人8,269人3.2倍
専門職試験(大卒程度・7種類全体)23,831人4,953人4.8倍

出典:
人事院 報道発表資料
2023年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)及び専門職試験(大卒程度試験)の合格者発表
令和5年8月15日]
2023年度国家公務員採用総合職試験(春)の合格者発表~女性の合格者数・割合ともに過去最高、割合は3年連続で3割超え~[令和5年6月8日]

公務員試験の合格率は試験の種類や年度によって大きく異なるものの、難易度は低いとはいえません。大学とは別に専門の予備校やオンラインコースを利用して合格を目指す受験生も多い傾向にあります。希望職種の試験日程をチェックし、計画的に試験の準備に取り組むことがおすすめです。

また職種によって採用フローや試験内容、受験資格(年齢など)が異なるため、人事院や自治体の公式サイトなどで事前に確認しておきましょう。

なぜ「公務員=安定」だと思われているのか?

日本では、「公務員は安定している」というイメージが定着していますよね。その理由として、主に次の3点が挙げられます。

  1. 解雇リスクが低い
  2. 収入が安定している
  3. キャリアパスの明確さ

順を追ってみていきましょう。

1.解雇リスクが低い
国や自治体が直接雇用する公務員は、解雇されるリスクが非常に低いことが特徴です。公務員の労働条件は、法律によって保護されています。また公的な仕事を担うため、経済的な不況時でも公務員の職は削減されにくい傾向があります。

解雇リスクが低く、安心して長く働ける点は、公務員の大きな魅力といえるでしょう。

2.収入が安定している
収入が安定していることも、「公務員=安定」というイメージにつながっています。公務員の給与体系は、年功序列が基本です。民間企業のように「高いスキルがあれば、若い人材でも能力に応じた高い報酬を得られる」という可能性は低いものの、勤続年数を重ねるとともに収入が増えていきます。そのため、平均年収で見れば、民間企業と比較して公務員の年収は高めです。

職業平均年収
国家公務員約682万円(※1)
地方公務員約662万円(※2)
民間企業約523万円(※3)

※1:平均給与月額(俸給及び諸手当の合計)413,064円(出典:令和4年国家公務員給与等実態調査/人事院)、特別手当(年間4.5か月分)として算出。
※2:全地方公共団体の平均給与月額(一般行政職)401,372円(出典:令和4年地方公務員給与実態調査結果等の概要/総務省)、特別手当(年間4.5か月分)として算出
※3:[出典]令和4年分 民間給与実態統計調査/国税庁 正社員(正職員)の平均給与

たとえ経済状況が悪化したとしても、比較的安定した収入が保証されていることも魅力です。さらに、いわゆる「ボーナス(「期末手当」や「勤勉手当」と呼ばれます。)」が支給されるほか、退職後の生活を支える年金制度も整っています。収入が安定しているぶん、長期的なキャリアプランを立てやすいでしょう。

3.キャリアパスの明確さ
公務員は昇進や昇格の基準が明確に定められていること多く、業績や市況の影響を受けやすい民間企業に比べると、自身のキャリアパスを予想しやすい点があります。また定期的に研修などが実施されることが多く、専門知識やスキルの向上ができる点も魅力です。

公務員になる上で必要な5つの資質

社会貢献を実感できるなど、さまざまな魅力がある公務員ですが、実際に目指す上で資格以外に主に次の5つの資質が求められます。

1.コミュニケーション能力
国民が求めるものを理解し、それに対する受け答えや説明を行うコミュニケーション能力は公務員にとって必須スキルといえます。また、民間企業同様にチームで協力して業務を進める必要があるため、ほかの職員とのコミュニケーションも欠かせません。

2.問題解決能力
公務員も、日々さまざまな課題に直面します。公共サービスの質を向上させるため、複雑な問題を効果的かつスピーディに解決する能力はどの職場においても重要です。

3.倫理観と公正性
公共の利益を守り、国民からの信頼を維持するためには、高い倫理観と公正性を備えて行動する必要があります。国民が納めた税金で給与が支払われている自覚を持った行動も求められます。

4.柔軟性
政策や環境の変化に応じて柔軟に対応できる能力は、効率的な公務実施において重要です。公務員としてルールを守ることも大切である一方、常にマニュアル通りに動けばよいわけではありません。変化に適応し、新しい状況に対して臨機応変かつ効果的な解決策を提供する能力は、重要視されることでしょう。

5.協調性
公務員には、チームで働く仕事が多々あります。日常業務をスムーズに進めるため、協調性を大切にしたチームワークが求められます。

まとめ

公務員は、国民の日常生活を支え、社会の安定と発展に不可欠な役割を果たす職業です。

「安定性」は公務員の魅力の一つではありますが、公務員になることの価値は、単に安定した職を得るということだけではありません。社会に対して積極的に貢献し、人々の生活の質を直接的に向上させる機会をもつことには、大きな意味があるでしょう。

公務員として社会への貢献を実感しながら働く経験は、ほかの多くの職業ではなかなか体験できないものです。「人の役に立つ」「地域に貢献する」「日本を元気にする」ことなどに働く価値を見出す就活生の皆さんにとって、公務員はぴったりの仕事といえるでしょう。

公務員の仕事に興味のある就活生は、ぜひ自分に合う職種を探してみてください。

PROFILE

麻 桃子(あさ ももこ)
印刷会社の制作部門にてコピーライター・ディレクターとして勤務後、2021年よりフリーライターに。市役所での勤務経験もあり。会社員・公務員・フリーランスなどさまざまなスタイルで働いた経験を生かし、幅広いジャンルで執筆中。

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