食品業界に興味がある学生必見!就活の動向、選考対策、求められる人材像

業界・職種・企業研究

公開日:2023.09.26

食品業界は、市場の巨大さや技術革新、消費者の多様な需要を背景に、絶えず変化しています。その中でキャリアを築くためには、食品の安全や品質管理の基本知識、創造性、幅広い視野が求められます。本記事では、食品業界でのキャリアを目指す学生の皆さんに、必要なスキルや資質、選考対策、そしてマインドセットについて解説します。

食品業界の魅力と動向

食品業界は、常に変化と革新に富んでいます。市場規模は巨大でかつ、商品のラインナップが細分化されていることが特徴的です。

この業界には消費者向けの食品を生産する企業、外食チェーン店などを対象とした業務用食品を製造する企業、さらにこれらの食品の原材料を提供する企業など、多岐にわたる企業が存在しています。

近年のトレンドとして、健康志向やローカルフード、サステナビリティを中心としたSDGs関連の商品開発が増加しています。また、技術の進化を背景に、食品のパーソナライゼーションやオンライン販売の拡大も特筆すべき変化と言えるでしょう。

食品は私たちの生活に欠かせない要素であるため、この業界の企業は比較的安定した業績を維持していることが多いです。今後も食品業界の市場規模は、ますます大きくなっていくことが予想されています。

このような背景から、食品業界は多岐にわたるキャリアパスを提供しています。たとえば、商品開発、マーケティング、物流・供給チェーン管理など、幅広い分野での専門職が存在します。

食品業界に求められる資質・選考対策について

それでは具体的に食品業界で求められる資質・能力と選考対策をご紹介します。

■求められる資質と能力

1:食の安全への意識
食は人々の生命・健康と密接に関わるものです。消費者への安全な商品提供は最も重要な要件となります。食品業界で働く基盤は、食の安全への不変の意識から始まると言って良いでしょう。

2:創造性・観察力
食品業界は多様な商品やブランドで溢れています。その中で独自の地位を築き、消費者の心を掴むための創造性と、消費者のニーズを導き出す観察力が求められます。

3:環境問題への意識
現代社会では、環境問題やSDGsへの取り組みが強く求められています。気候変動や生態系の破壊は収穫量や品質に影響を与え、供給チェーンの安定を危うくします。食品業界で働くうえで環境への配慮、意識の高さは重要となります。

4:幅広い視野と問題解決能力
食品業界は国際的な規模での取引や課題にも直面しています。多様な課題への対応策を模索し、それを解決するための広い視野と実践力が求められます。

■選考対策

1.業界研究
食品業界の動向、トレンド、主要企業の特色や強み、最近のニュースや話題になっているトピックについてしっかりと把握しましょう。日本独特の食文化や消費動向を研究するのはもちろん大事ですが、商材は世界にちらばっています。グローバルに業界をとらえ、世界規模でビジネスをイメージできるようにしましょう。業界専門誌紙、気になる企業や業界団体のリリース情報などをこまめにチェックしましょう。

2.商品知識
気になる企業の主力商品や新商品を実際に試食し、その特徴や差別点、好きな点・気になる点を明確にするのは比較的簡単に行えますね。また食品業界の流行、技術の進歩は目まぐるしく変化していくので、そのスピードに対応できる柔軟性を持つことが大事です。最新情報を追いかけるのも大事ですが、商品の変遷、ロングセラー商品を探して理由などを深掘りしていくと、「ニーズ変化」「ブランドの訴求の変化」も感じとれるようになります。

3. 持続可能性やSDGsに関する知識
近年、食品業界でのSDGsへの取り組みが重要視されているため、関連する基本的な知識を備えておくと良いでしょう。背景として、食品業界は地球全体の持続可能性に直接影響を与えるセクターであり、適切な資源の利用、持続可能な生産手法、廃棄物の削減など、多くの課題を抱えています。SDGsの目標は、これらの課題に対応するための指針として重要となってきます。

また、消費者の意識も変化しており、環境や社会への配慮を行った商品やサービスを求める傾向が強まっています。このため、企業がSDGsに取り組むことは、ブランド価値の向上や新しい顧客層の獲得にも寄与します。

食品業界は多岐にわたるため、特定の企業や業態によって求められる資質や知識は異なることがあります。従って、応募する企業や職種に応じて上記の対策を調整し、最適化していくことが大切です!

実際に食品業界で働いている人に「求められる人材像」を聞いてみた

・大手食品メーカー 
従業員数(連結):4,700人
在籍年数:23年
部署:人事部

1.革新性:
食品業界は日々変化する消費者のニーズに応える必要があります。新しいアイディアや商品開発への情熱が重視されることが多いです。

2.コミュニケーション能力:多様なステークホルダー(都内の三つ星シェフから沖縄の70歳の漁師さんまで)との連携が必要とされるため、円滑なコミュニケーション能力が必要です。

3.チームワーク:
製品の企画から製造、販売までの一連の流れには多くの部署との連携が求められます。そのため、チームの一員として協力的に動ける人物が求められます。

・水産(主に貝類)加工・販売・輸出会社 
従業員数:26人
在籍年数:4年
部署:営業部

1.専門知識の習得意欲:
貝の生態、養殖技術、品質管理、食品衛生など、関連する専門的知識を学ぶ意欲が重要です。

2.環境配慮:
貝の養殖は海洋環境と深く関連しています。環境の変動や影響に敏感であり、持続可能な養殖方法の研究や導入に関心を持っている方が今後求められるようになると思います。

3.高い倫理観:
食品としての安全性や、環境への影響を考慮し、適切な養殖方法や加工技術を選択するための高い倫理観を持つことが重要です。

4.健康な体:
養殖場での作業は体力を要する場面が多いため、基本的な体力が必要です。

・イタリア食材、酒類の輸入・販売、都内レストラン事業の展開
従業員数:30人
在籍年数:9年
部署:オンラインサイトの商品管理・販売

1.専門的知識:
イタリアワインの種類や特性、チーズやオリーブオイルなどの食材の特徴や使い方、保存方法など、商品に関する専門的な知識が求められます。

2.語学力:
イタリア語はもちろん、英語でのコミュニケーション能力も求められる場面が多いため、語学力があると大きなアドバンテージとなります。

3.流通・輸入業務の知識:
輸入規制、関税、流通システムなど、国際取引に関する知識や経験が必要です。

4.対人関係スキル:
イタリアやアジア圏との取引や交渉をスムーズに行うための対人関係スキルやマナーが求められます。

──

一部の知識や技術は、入社してからでないと習得できないものがあります。そのため、入社前にすべてを知っておく必要はありません!

むしろ、不安に思うことなく、入社してからその専門知識を学ぶ意欲が大切です。熱心に学び、成長を求める気持ちがあれば、必要なスキルは時間と共に身につきますので、自分の意欲を信じ、挑戦する気持ちを大切にしてください。

食品業界でのキャリアの価値とは

食は私たちの生活の根幹をなしています。食品業界での経験は、消費者の健康や生活の質向上に貢献するチャンスが広がっており、その成果を直接感じられるのは大きなやりがいとなります。

また、持続可能な食の供給や地域社会の発展にも繋がるため、社会的意義も非常に高い業界です。従って、食品業界は単にビジネスの一環としてではなく、社会全体の幸福と発展に寄与する素晴らしいフィールドと言えるでしょう。

PROFILE

鳥羽山 康一郎(とばやま こういちろう)
静岡県生まれ。広告制作会社、外資系広告代理店にてコピーライター、クリエイティブディレクター、プランナーとして勤務後、2006年よりフリーランスとして独立。外資系マーケティング理論の知見を活かし、広告・Webライティング等を中心に執筆活動を展開中。地方取材、インタビューも得意とする。

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