【例文付き】課外活動で得た経験を就活でアピールする方法
自己分析公開日:2024.04.24
就職活動における課外活動の経験は、あなたのESや面接での自己PRを際立たせる重要な要素です。本記事では、アルバイトからサークル活動、ボランティアなど、さまざまな課外活動の経験をどのように就職活動に生かしていくのかポイントや例文を紹介します。
課外活動の定義とは
「課外活動」とは、大学生が取り組む「学業以外の活動」のことです。サークルをはじめとする大学内での活動と、アルバイトなど学外における活動があります。
・学内における課外活動例:
サークル、部活動(文化系・体育会系)、学園祭実行委員、学生自治会、大学生協の学生委員会など
・学外における課外活動例:
アルバイト、趣味、ボランティア、資格取得、インターンシップ、海外留学、地域イベントや団体への参加(スポーツチーム、音楽団体)など
この記事を読んでいる皆さんも、何らかの課外活動に取り組まれている方が多いのではないでしょうか。
課外活動の経験を語る上でポイントは?
普段何気なくやっているように思える課外活動。実はその活動を通して皆さんは、コミュニケーション能力、チームワーク、リーダーシップ、問題解決能力、時間管理など、社会人に求められる多くのスキルや能力を磨いているのです。まずここをしっかり意識しましょう。
例えば、飲食店で調理のアルバイトをしている場合。スピーディにおいしい料理を提供するために、効率の良い調理の手順を考えながら仕事をしているのではないでしょうか。こうした経験を通して、「納期を守るための時間管理スキル」や「仕事の段取りを考える力」が身に付いているはずなのです。
また、キッチン内で複数のスタッフに指示出しをする役割を担っているような場合は、「チームの力を向上させるリーダーシップ」も磨かれているに違いありません。上記は一例ですが、課外活動を通して身に付けたスキルや経験を、就職活動でのアピール(自己PR)に生かさない手はありませんね!
課外活動を通して身に付けたスキルや経験をアピールする際には、それを磨いたプロセス、つまり具体的なエピソードを必ず示していきましょう。
企業は応募者が語るエピソードを通して、それぞれの能力や価値観、人間性、モチベーションの源、ポテンシャルなどさまざまなことを知りたいと考えているからです。
以下は、企業の人事担当者に伺った「課外活動を魅力的に伝える5つのポイント」です。
1:何をPRしようとしているのかが端的に示されており、具体的なエピソードがある。
2:困難な状況に対し、「どのような問題があるかを見極め、それに対する考えや行動を取り、その結果をどのように評価し、そこから何を学んだか」というプロセスで話すことができる。
3:組織やチーム内における問題解決に取り組み、ポジティブな変化を促したり、その取り組みの過程でイニシアチブを取ったりした経験を持っている。
4:他の人を巻き込んだり、動かしたりして成果を上げた経験を持っている。
5:活動を通じて獲得したスキルや技能、知識について語ることができる。
課外活動をESや自己PRにうまく活用するには、具体的なエピソードを用いて「課外活動で取った行動や成果、そこから学んだこと」をしっかり伝えていくことが重要なのですね。
なお、課外活動は自己PRへの活用だけでなく、それら経験から身に付けたコミュニケーションスキルも面接などの場で生かすことができます。
例えば、接客のアルバイトや社会人に混じってスポーツや音楽の活動をしているような場合は、社会人など異なる世代の人との接点も多いでしょう。その際に、どんな言葉遣いや態度で対応すればよいかを身をもって学んでいるはずです。
こうした経験で身に付けた「異世代コミュニケーション」の力は、面接をはじめとした就職活動の場において、自分とは年代や立場の異なる社会人(志望企業の社員)とやりとりをする際に非常に役立つのです。
例文付き!ESや自己PRで課外活動の経験をアピールしよう
実際に就活におけるESや自己PR作成のシーンにおいて課外活動を記載する際のポイントをお伝えしましょう。
ずばり最も重要なことは、ただ活動の名前や内容を羅列するのではなくその経験がどのように自分の成長につながったか、具体的な成果や学びを明確に示すことです。
ここでは、自分についてPRする項目である「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」と「自己PR(私の強み)」について、2つの例をお示しします。
【学生時代に力を入れたこと】
学生時代、私はレストランでのアルバイトでソフトクリームのデザート盛り付けを改良しました。
私が働いていたレストランで提供していたソフトクリームは平皿の上に4回巻いて高く盛り付けるデザインでしたが、お子様が食べにくそうであることと、20回に1回は運ぶときに盛り付けが崩れてしまい作り直しとなってしまう2点が従来の商品の大きな課題と感じていました。
そこで私は、ソフトクリームの巻き数を4回から3回に減らし、崩れにくいよう盛り付け時に直径を広げる新デザインを考えました。失敗を重ねながらも改良を行った新しい作り方を店長に提案しました。
初めは否定的だった店長に対して諦めずにメリットを伝え続けた結果、案を採用していただくことができました。その後10名のアルバイトに作り方をレクチャーし、全員に新しい作り方をマスターしてもらうこともできました。その結果、お客様からのクレームと廃棄の両方を減らすことができ、提案した甲斐があったと思います。この経験から、仕事は工夫次第でいくらでも改善することができると学びました。
【自己PR】
私の強みは、前例にとらわれない改革力です。
私は温泉施設でのアルバイトをしております。以前お客様が店舗内で倒れた際、後輩がうまく救護対応できなかったことがありました。私は「お客様の命に関わることなのにこれはまずい」と思い、改革に乗り出しました。
まずアルバイト全員に対して、これまでに救護対応で困った事例などをヒアリングしました。その結果を踏まえて社員の方と相談し、3カ月ごとに座学やロールプレイでの救護研修を実施することにしました。
忙しい中での研修実施を全員に理解してもらうことは大変でしたが、その目的やお客様へのメリットなどを一人一人と話すことで、皆の意識を統一することができました。
研修実施後は、実際に急病人が発生した際でも全員が落ち着いて素早く救護を行えるようになりました。この経験を通じて、人と協力して物事を行う際には全員と目的を共有することが重要だと実感しました。貴社においてチームで業務に当たる際にも、目的を常に意識し、メンバーにも発信していきたいと考えております。
課外活動をしていない場合はどうすれば良いの?
読者の中には、課外活動の経験がない方もいらっしゃるかもしれません。おそらく、学業に専念していた、家庭の事情で活動が難しかったなど、さまざまな理由があるのではないかと思います。
その場合は、課外活動を行わない代わりに力を入れていたことについて取り上げ、その中で培ったスキルやあなたの人間性などについてアピールしていきましょう。
例えば学業に力を入れてきた方であれば、大学の正課授業に真剣に取り組んだ経験も立派なアピールポイントになります。さらに、各種研究プロジェクトや文献調査、実験などに真剣に取り組んでいれば、自ずと論理的思考、分析力、計画性、粘り強く取り組む姿勢などの能力が培われているはずです。学業をガクチカにする場合においても、ただ研究内容を羅列するのではなく、その経験がどのように自分の成長につながったか、具体的な成果や学びを明確に示すことが重要です。自信を持ってアピールしていきましょう。
また、「趣味の活動も学業もがんばった」という方は、「学業と課外活動の両立」をガクチカとしてアピールすることも有効です。研究活動等で忙しいスケジュールの中、どうやって効率的に課外活動を行い、双方でどのような成果を上げたのか、その活動を通して得られた新しい視点や成長など、アピールできることはたくさん見つかります。
まとめ
課外活動を深掘りし、自分をアピールする材料としてぜひ活用しましょう。それぞれの経験から学んだことや成し遂げたことを具体的に説明することで、ESや自己PRをより魅力的なものにすることができます。
課外活動の経験がない場合でも、自分が取り組んできたことから培ったスキルや価値観を効果的にアピールすることが大切です。
そして効果的に自身をアピールするためには、単に経験を列挙するだけでなく、ストーリーテリングの技術を用いて自分の経験を魅力的に伝えることが重要です。
また、自己PRを魅力的に伝える技術は個人練習だけでなく、他者の視点を取り入れることでさらに洗練されます。他者からのフィードバックは、自分一人では気づかない弱点を洗い出し、より面接官を引き込む内容にするために役立ちます。友人同士でお互いの自己PRについて感想を述べあったり、就活事情に詳しい大学のキャリアセンターなどでアドバイスをもらうのもよいでしょう。
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PROFILE
濱野 裕貴子
キャリアコンサルタント・公認心理師・ワークショップデザイナー
大学卒業後、教育系出版社に入社。通信教育の先生方のマネジメントを中心に、キャリアインタビューや機関誌の編集などに携わる。業務を通じて感じた「同じ仕事をしているにも関わらず働く理由や価値観の違いが出るのはなぜか」という問題意識から、「キャリア」に興味を持つように。14年間の勤務後独立し、以後、大学ではキャリアカウンセラーや非常勤講師、企業では研修講師として、学生や若手社会人のキャリア支援に当たってきた。演劇や落語、お笑いなどのパフォーミングアーツに触れることが大好きで、身体表現を使った自己理解のワークショップなども手掛けている。筑波大学人間総合科学研究科生涯発達専攻カウンセリングコース博士前期課程修了(カウンセリング修士)。