内定承諾後に辞退できる?いつまで?リスクや断り方のマナー・例文を解説
就活ノウハウ公開日:2025.04.23

内定承諾後にやむを得ない事情により、辞退を考えている方の中には「内定承諾後に辞退したら怒られるかもしれない」と不安を感じている方もいるかもしれません。本記事では、内定承諾後の辞退のマナーや電話・メールの例文などを解説します。スムーズかつ丁寧に辞退を伝えるために、ぜひ参考にしてください。
内定承諾後に辞退できる?いつまで?
内定承諾書を提出した後でも、辞退することは可能です。内定承諾書を提出した後に辞退する場合は労働契約の解約となります。辞退の意思を伝えてから2週間が経過すれば契約は終了します。(出典:民法第627条第1項)
つまり、法律上は入社の2週間前までに意思を伝えれば辞退可能ということですが、企業への影響を最小限に抑えるためにも、辞退の意思が固まった時点で速やかに連絡することが望ましいです。特に、入社準備や人員計画の観点から遅くとも内定式より前に伝えるのが適切とされています。
辞退を決断する際は、企業に与える影響や自身の将来を十分に考慮し、誠意をもって対応しましょう。
■内定承諾書とは?
応募者は、内定(※)後に企業から内定承諾書の提出を求められます。内定承諾書とは、内定者が企業から出た内定を承諾する意思を正式に示す書類です。
企業は内定承諾書の提出をもって、内定者が入社の意思があることを確認します。ただし、内定承諾書には法的な効力はなく、提出しても辞退は可能です。
※この記事では、内々定を含めて内定と呼びます。
■辞退には「内定辞退」「内定承諾後辞退」の2つがある

就活における「辞退」には、「内定辞退(※)」と「内定承諾後辞退」の2つがあります。
内定辞退は企業から内定を受けたものの、承諾前に辞退することを指します。一方、内定承諾後辞退は内定を承諾した後に辞退することを指します。
内定承諾後辞退は、企業の採用計画の見直しが必要になる場合もあります。そのため、特に内定承諾後の辞退は慎重に判断し、できるだけ早く企業へ伝えることが重要です。
※この記事では内々定辞退を含めて内定辞退と呼びます。
内定承諾後に辞退することによるリスク
内定承諾後の辞退にはどのようなリスクがあるのでしょうか。内定承諾後に辞退することによるリスクを解説するのでしっかり理解しましょう。
■損害賠償を請求される可能性がある
内定承諾後に辞退すると、企業から損害賠償を請求される可能性があります。内定承諾した場合、法律上は労働契約に準じた関係になり、辞退すると契約違反とみなされかねないためです。企業が採用活動に多額の費用をかけていた場合、その損失を補填するために法的措置を取ることも考えられます。
ただし、実際に損害賠償が発生するケースは非常に稀です。損害賠償を請求されるリスクを避けるためにも、内定承諾後に辞退をする際は、誠意をもって対応しましょう。
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■子会社や関連会社の選考に影響が出る可能性がある
内定承諾後の辞退は辞退した企業だけでなく、その子会社や関連会社の選考にも影響を及ぼす可能性があります。企業グループ内では情報が共有されることが多く、内定辞退の事実がほかの選考に影響を与える可能性もゼロではありません。
また、同じ業界内の企業同士でも採用担当者がつながりをもっていることがあり、情報が共有されるケースもあります。将来の選択肢を狭めないためにも、内定承諾後に辞退する際は誠意のある対応を心がけましょう。
内定承諾後に辞退を決断する前に知っておくべきこと
・内定承諾後に辞退することは企業に多大な迷惑をかける
・社会人になってから辞退した企業と仕事で関わる可能性がある
・内定承諾後の辞退は慎重に考えることで後悔のない選択ができる
内定辞退以上に、内定承諾後の辞退は企業にとって大きな負担となることを理解しておきましょう。企業は採用活動に多くの時間とリソースを費やしており、内定者が辞退すれば再び採用活動を行う必要が生じます。
さらに、辞退した企業と将来的に仕事で関わる可能性があることも忘れてはいけません。辞退する際にマナーを守らない対応をしてしまうと後々影響を及ぼす可能性があります。
内定承諾後の辞退を検討している方は、自分のキャリアプランと照らし合わせて、本当に辞退すべきか熟考し、納得できる選択をすることが大切です。信頼できる人の意見を聞き、客観的な視点で考えた上で自身が後悔しないように判断しましょう。
内定承諾後の辞退が怖い!連絡する際のマナーをおさえよう

内定承諾後の辞退に不安を感じる方も多いと思いますが、マナーを守って誠実に対応すればトラブルなく辞退することが可能です。内定承諾後の辞退についてポイントを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
■辞退すると決めたら可能な限り早く連絡する
内定承諾後の辞退を決断したら、できるだけ早く企業に連絡しましょう。決断したその日に伝えるのが理想ですが、遅くとも1週間以内には伝えるべきです。
連絡が遅れるほど企業に迷惑をかけることになります。連絡することが怖かったり、言いづらいと感じたりしても先延ばしにしてはいけません。早めに伝えれば企業が再び採用活動をする時間を確保することにもつながります。

キャリアアドバイザーからの一言
辞退の連絡をする際は、企業の営業日・営業時間内であることを確認しましょう。営業時間内だとしても始業前後やお昼時間帯は避けるのがマナーです。またゴールデンウィークや夏季休暇といった企業の長期休みがある場合、可能な限り休暇がはじまる前に連絡しましょう。
■基本的に電話で伝える
内定承諾後の辞退の連絡は、基本的に電話で伝えるのがマナーです。直接話すことで誠意が伝わりやすく、メールよりも迅速かつ確実に意思を伝えることができます。電話をかける際は、事前に伝える内容を整理し、落ち着いて話せるように準備しておくと安心です。
また、相手の都合を考慮し、始業直後や昼休み、終業間際を避けて適切な時間帯に連絡しましょう。電話での伝え方は下記を参考にご覧ください。
■誠意をもって謝罪と辞退の理由を伝える
内定承諾後の辞退をする際は、誠意をもって謝罪と理由を伝えることが重要です。企業は採用に多くの時間と労力を費やしており、辞退することへの謝意をしっかりと示すことが求められます。
辞退の理由があいまいだったり、ごまかしたりすると不誠実だと受け取られる可能性があるので、具体的かつ正直に伝えましょう。また、選考でお世話になったことに対する感謝の気持ちを添えることも大切です。
内定承諾後に辞退する理由には下記のような例が挙げられます。
内定承諾後に辞退する理由の例
・他社から内定を承諾したため
・改めてキャリアを見直すことにしたため
・卒業見込みが立たなくなったため
内定承諾後に辞退の連絡をする際の電話・メールの例文
内定承諾後に辞退する場合、企業にはどのように伝えるのがよいのでしょうか。電話とメールそれぞれの例文を紹介しますので、参考にした上で自分のケースに置き換えて考えてみましょう。
■内定承諾後に電話で辞退の連絡をする場合
内定承諾後に電話で辞退を伝える場合は、以下のポイントに注意しましょう。
電話で内定承諾を辞退する際のポイント
・内定をいただいたことへの感謝を伝える
・内定を辞退する旨を誠意をもって納得できる理由でしっかり伝える
・内定承諾後の辞退となったことを謝罪する
ポイントを理解した上で、ここからは電話での会話例を確認していきましょう。
担当者が在席している場合の電話の例文
お世話になっております。私、〇〇大学の〇〇(苗字+名前)と申します。お忙しいところ恐縮ですが、採用担当の◆◆様はいらっしゃいますでしょうか?

―担当者にかわったら―

お電話変わりました。◆◆です。
お世話になっております。〇〇大学の〇〇(苗字+名前)です。◆◆様、ただいまお時間よろしいでしょうか?


はい、大丈夫です。
この度は内定をいただき、誠にありがとうございました。大変申し上げにくいのですが、内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。


それは非常に残念です。差し支えなければ、辞退の理由を教えていただけませんか。
はい。改めて自分の将来について見つめ直し、他社の選考を受けたところ、そちらからも内定をいただきました。非常に悩みましたが、自分の将来や適性を考えた結果、そちらの企業に入社することを決意しました。


そうでしたか。◯◯さんとは一緒に働きたいと思っていたのでとても残念ですが、承知しました。
本来であれば御社に直接伺うべきところですが、電話での連絡となってしまい申し訳ございません。


いえ、大丈夫です。他社でのご活躍を心より期待しています。もし仕事上で関わる機会があればよろしくお願いします。
ありがとうございます。貴重なお時間を割いていただきながら、このような形になってしまい申し訳ございません。また機会がありましたらよろしくお願いします。それでは、失礼いたします。

電話の場合、相手が忙しい中での連絡となるため、時間を取りすぎないように心がけましょう。また、相手の話をしっかり聞く姿勢も大切です。
担当者が不在の場合の電話の例文
お世話になっております。私、〇〇大学の〇〇(苗字+名前)と申します。お忙しいところ恐縮ですが、採用担当の◆◆様はいらっしゃいますでしょうか?


大変申し訳ございません。◆◆は現在外出しております。
ご確認いただきありがとうございます。改めてお電話させていただきたいのですが、◆◆様はいつごろお戻りになるご予定でしょうか?


◯時ごろには戻っているかと思います。
かしこまりました。◯時ごろに改めてお電話させていただきます。それでは失礼いたします。

担当者が不在の場合はほかの人に伝えるのではなく、再度電話して担当者と直接話しましょう。ほかの人に取り次いでもらうと誤った伝言をされてしまう可能性があるため注意する必要があります。
■内定承諾後にメールで辞退の連絡をする場合
内定承諾後にメールで辞退を伝える場合は、以下のポイントに注意しましょう。
メールで内定承諾を辞退する際のポイント
・件名には内定辞退の旨を明記する
・内定をいただいたことへの感謝を伝える
・内定承諾後の辞退となったことを謝罪する
・内定辞退の理由をしっかり伝える
・メールでの連絡になったことを謝罪する
ポイントを理解した上で、ここからはメールの例文を確認していきましょう。
件名:内定辞退のご連絡 / 〇〇大学 〇〇(苗字+名前)
株式会社◯◯◯◯
人事部 ◆◆ ◆◆様
お世話になっております。
内定をいただきました〇〇大学の〇〇(苗字+名前)です。
先ほどお電話させていただきましたが、席を外されているとのことでしたのでメールにて失礼いたします。
この度は内定をいただきまして誠にありがとうございます。
内定承諾書を提出した後に誠に恐縮ですが、自分の適性を考えた結果、別の企業へ入社することを決め、内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。
選考過程では貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、ご迷惑をおかけしてしまうこととなり誠に申し訳ございません。
本来ならば直接貴社へお伺いしてお詫び申し上げるべきところですが、メールでのご連絡となりましたこと、何卒ご容赦いただきたくお願い申し上げます。
採用をご担当いただいた◆◆様をはじめ、皆さまには大変お世話になりましたことを心より感謝しております。
末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
—————————————————
大学 学部 学科
苗字+名前(ふりがな)
携帯番号:090-××××-××××
メール:〇〇〇〇@××××.co .jp
—————————————————
電話で連絡をした際に担当者が不在だった場合はメールで辞退を伝えても問題ありませんが、最初からメールのみでの連絡はNGです。
件名は一目で用件がわかるように、「内定辞退のご連絡」と大学名・氏名を記載しましょう。本文の冒頭には、電話で連絡したことを記載します。メールの文面は正しい言葉遣いを心がけましょう。
【シーン別】内定承諾後に辞退を伝えた際の反応への対処法

内定承諾後に辞退を伝えた際に、企業側が予想外の反応を示す場合もあります。不安を解消するためにも、さまざまなケースへの対処法を事前に確認しておきましょう。
■怒られたときの対処法
内定承諾後の辞退を伝えた際、誠実に対応すれば怒られることは少ないですが、企業によっては担当者に怒られてしまう可能性もあります。怒られたときは、まず冷静に話を聞いた上で、感情的にならず誠意をもって謝罪することが大切です。
「選考にお時間をいただいたにもかかわらず、辞退という形となってしまい申し訳ございません」といった言葉で、謝罪とともに感謝を伝えましょう。落ち着いて対応することでトラブルを最小限に抑えられます。
■引き止められたときの対処法
内定承諾後の辞退を伝えた際、企業から引き止められることも少なくありません。引き止められたときは、冷静に自分の決断を再確認し、本当に辞退の意思が変わらないかを考えましょう。
意思が固まっている場合はあいまいな返答を避け、「ご期待に沿えず大変申し訳ございませんが、他社への入社を決心しております」といった言葉ではっきりと伝えます。感情に流されず毅然とした態度を保つことが大切です。
■呼び出されたときの対処法
内定承諾後の辞退を伝えた際、企業から呼び出されるケースがあります。しかし、無理して呼び出しに対応する必要はなく、自分の気持ちを優先して問題ありません。呼び出しに応じると強く引き止められたり、怒られたりする可能性があるので注意が必要です。ただし、今後の採用活動の参考にしたいので、辞退の理由を詳しく教えてほしいなど丁寧に依頼された場合、応じる気持ちがあれば誠実に対応しましょう。
呼び出しを断る際は、「面談の機会をいただいたところ大変申し訳ございませんが、今回はこのまま辞退させていただきます」と丁寧に伝えましょう。

キャリアアドバイザーからの一言
就活生が内定辞退を伝える際に企業と揉めるケースも稀にあります。誠実に対応しても収集がつかず、トラブルに発展しそうな場合は、大学のキャリアセンターや労働基準監督署などに相談すると伝えましょう。
内定承諾後の辞退に関するよくある質問
■Q.内定承諾後の辞退はよくあること?
A.内定承諾後の辞退は少なくないのが実態ですが、安易にしてよいものではありません。内定承諾後の辞退には、損害賠償請求や引き止め、呼び出しなどのトラブルに発展する場合もあります。内定承諾書はしっかり考えた上で提出しましょう。
■Q.内定承諾後の辞退の連絡は誰にする?
A.内定承諾後の辞退の連絡は、選考でやり取りをした担当者にするのが基本です。特定の担当者がいない場合は、採用・人事担当者宛に連絡するのがよいでしょう。担当部署の連絡先がわからない場合は、企業のホームページの採用情報ページを確認してください。
内定承諾後の辞退は誠意をもって連絡することが大切
内定承諾後の辞退は法律的には可能ですが、企業に多大な迷惑がかかります。そのことを理解した上で、内定承諾後の辞退を決断する必要があります。将来のキャリアにとって後悔のない選択となるよう、じっくり考えた上で判断することが重要です。辞退を決めた場合は、本記事で紹介した内定承諾後の辞退のマナーやポイントを理解し、誠意をもって連絡しましょう。
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キャリタス就活編集部
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