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公的金融機関の意味や役割ってなに?

公的金融機関のうち「政府系金融機関」は、政府が全額(または一部)を出資している金融機関のことで、国のさまざまな政策に沿って、貸付取引を行っている政策金融の担い手として位置付けられている。住宅金融支援機構は、国土交通省と財務省が所管する独立行政法人。住宅金融市場において民間金融機関では対応が難しい公的な融資を中心に行っている。

住宅×政策×金融

提供:住宅金融支援機構

政府系金融機関として、豊かな住生活の実現に貢献

さまざまな金融商品の提供を通じて、日本の住生活向上に貢献している住宅金融支援機構。前身の旧・住宅金融公庫から2007年に生まれ変わった政府系金融機関である。
機構は、「住まいのしあわせを、ともにつくる。」というパーパス(存在価値)を掲げ、国の政策に込められた意図を具現化し、国民へ“広くあまねく”魅力ある住宅金融商品を届けている。
近年では、2050年までにカーボンニュートラルを目指すという我が国の目標の実現に向け、機構では高い水準の省エネルギー性能を持つ住宅の普及を促進。脱炭素社会の実現に貢献している。また、管理不全の空き家や高経年マンションの増加が社会問題となっているが、さまざまな金融サービスの提供等を通じてこれらの課題の解決に取り組んでいる。

少子化という社会課題に向き合う
【フラット35】子育てプラス

機構の主力業務が【フラット35】の提供だ。皆さんも耳にしたことがあるかもしれない。【フラット35】はマイホームの夢を応援し、良質な住宅の取得をサポートする全期間固定金利の住宅ローンである。ローン返済終了までの借入金利・返済額が確定するため、長期にわたるライフプランを立てやすくなることがメリットだ。

他に省エネルギー性や耐震性などに優れた質の高い住宅の取得を応援する【フラット35】S、中古住宅の購入と併せてリフォームを行う際に利用できる【フラット35】リノベ等があるが、大きな話題を集めているのが2024年2月スタートの【フラット35】子育てプラスである。これはこどもの人数等に応じて金利引下げ幅を拡大し、最大年1%引下げを可能とするものだ。また、子育て支援に力を入れている地方公共団体の財政支援と連携して、さらに金利を引き下げる【フラット35】地域連携型(子育て支援)もある。

住宅というハード面だけではなく、こどもの数という“人”に着目して子育て世帯の住居費の負担軽減を図り、地域社会で安心してこどもを育てられる環境づくりに貢献している点は、まさに政府系金融機関ならではの先駆的な試みだろう。

総務人事部 井田人事グループ長

豊富なノウハウを駆使して、災害対応や高齢化への対応にも注力

災害対応や高齢化への対応などにも力を入れている。

令和6年元日に発生した能登半島地震において住宅金融支援機構は、国、地方公共団体、各支援団体等と連携して、相談会の開催等の支援活動に取り組んでいる。東日本大震災や熊本地震など数多くの災害で住まいの再建を支援してきた人材とノウハウが蓄積されており、それらを惜しみなく投入することで、被災者の一刻も早い住まい再建の後押しをしている。

一方、多様化する高齢者の住生活ニーズに応えるため、【リ・バース60】の供給を支援。自宅のリフォーム、建替え、住替え等に利用できる。毎月の支払は利息のみで、元金は申込者が亡くなった際に相続人が一括返済するか、担保物件の売却によって返済する仕組みだ。【リ・バース60】を利用し、住宅の価値を維持保全していくことにより、深刻化する空き家問題の発生を防止する効果も期待される。

少数精鋭の組織だからこそ得られるやりがい

人材こそが最大の「財産」と考える住宅金融支援機構では、多様な人材が能力を最大限発揮できる組織づくりを目指してダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進している。男性職員も対象とした、仕事と育児の両立支援に関する研修の実施、あらゆる世代が育児に参画できる休暇制度の構築など、性別・世代の違いを問わずに仕事と育児の両立を図りやすい環境づくりを進める。さらに、さまざまな観点から職員の健康の維持・増進に取り組んできた姿勢が評価され、「健康経営優良法人2024」に認定された。

また、職員には、人材開発に係る投資を惜しまずに行い、職員一人ひとりのリスキリング、アップスキリングを継続して支援している。

人材採用においては、自ら学び、自ら考えることができ、業務遂行に必要な理解力及び判断力を備え、企業文化を変革しようとする熱意と行動力を持った人材を高く評価。特に重視するポイントとして「共感力」を挙げる。

「我々の仕事には、お客さまの悩みや地域の課題を正しく理解し、解決に結びつけていくために、相手の立場に立って考える力が不可欠です。こうした共感力を持つ人材には大いに期待を寄せています」と総務人事部人事グループ長の井田氏は語る。

職員数は900人強と、まさに少数精鋭の組織となっている。そのため若手のうちから責任ある仕事を任せる文化が根付いており、それがやりがいに結びついている。

記者の目 WEB限定

住宅金融支援機構の前身である住宅金融公庫は、戦後間もない住宅難の時代に設立された。膨大な住宅不足の解消と快適な住空間の実現という“量”と“質”の両面から、日本の住生活の向上に大きな貢献を果たしたのである。「日本の住まいのために」というDNAは住宅金融支援機構にも間違いなく受け継がれている。

パーパス(存在価値)は「住まいのしあわせを、ともにつくる。」である。キーワードは「ともに」だ。インタビューに応じた井田氏もこの策定に携わった一人である。「我々の事業は、国、地方公共団体、金融機関、住宅事業者等のステークホルダーの方々と協力することで成り立っています。これからも多くの方と力を合わせて、お客さま一人一人の住まいのしあわせを作り上げていきたいという思いを込めました」と、策定の背景を語っている。
災害の頻発化・激甚化、少子長寿化の進展、増え続ける空き家など、日本の住まいを取り巻く課題は多い。いずれも一朝一夕に解決することは困難だ。こうしたテーマに長期的な視点で取り組めることが、政府系金融機関である住宅金融支援機構の真骨頂である。「住宅」と「金融」の二軸で語れる企業は多いが、ここに「政策」を加えて語れるのは住宅金融支援機構だけ。大きなやりがいが得られるだろう。

独立行政法人住宅金融支援機構

事業内容 証券化支援業務(【フラット35】)、住宅融資保険等業務、
融資業務(災害復興住宅融資、まちづくり融資等の政策融資)、
良質な住宅の普及、団体信用生命保険等業務、債権管理業務、国際業務、
国内の住宅金融に関する調査業務、資金調達
資本金 6,920億9,542万円
(2024年3月31日時点、全額政府出資)
買取債権等残高 22兆9,043億円(2024年3月31日時点)
役職員数 941名(2024年4月1日時点)

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