「親会社」や「子会社」とは?違いを理解して就活に生かそう!!

業界・職種・企業研究

公開日:2024.11.13

「親会社」や「子会社」とは?違いを理解して就活に生かそう!!

就職活動でよく耳にする「親会社」「子会社」という言葉。これらの意味や関係性を理解することで、自分に合ったキャリアビジョンに基づいて適切な企業選びができるようになります。本記事では、親会社と子会社の基本的な定義や意外と知らない関係性など事例を交えてご紹介します。

親会社や子会社などの定義とは?

企業の成り立ちや構造にはさまざまな形がありますが、「親会社」や「子会社」などの関係は、企業間の力関係や役割分担に深く関わっています。まずは、それらの定義や位置付けを説明しましょう。

■親会社とは

会社法の定義では親会社とは株式会社を子会社とする会社、そのほかの当該株式会社の経営を支配している法人のことを指します。なお一般的に親会社は、子会社の議決権の過半数を所有し、その経営に影響力をもっています。ただ過半数未満の保有でも、経営に対する実質的支配が認められれば親会社とされる場合があります。

たとえば、大手メーカーの親会社は、複数の子会社をもち、各子会社が専門分野を担当することでグループ全体の利益を最大化させています。親会社の役割は、こうした子会社の経営を支援し、全体としての相乗効果を生み出すことにあります。

■子会社とは

子会社とは、会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社、そのほかの当該会社がその経営を支配している法人のことを指します。親会社の方針に基づきつつ、独自の経営を行うこともあり、特定の市場や分野に集中することで、より専門的なサービスや商品を提供することができます。

たとえば、親会社が大手の自動車メーカーであれば、その子会社は自動車部品の生産や設計を担当していることが多いです。子会社のもつ専門性と親会社の資本力が結びつくことで、強力な事業展開が可能になります。

■関連会社・グループ会社とは

企業研究を進めていくと、親会社や子会社のほかに「関連会社」や「グループ会社」という言葉も目にすることが多くなります。二つの違いについて、あわせて理解しておきましょう。

関連会社とは、親会社が議決権を20%以上、50%未満保有している企業です。完全支配ではないものの議決権を20%以上保有しているため親会社は関連会社の重要な経営判断に影響を与えることができます。関連会社は、親会社とは異なる分野で事業を展開しつつも、親会社との協力関係を生かして事業を広げることができます。
※議決権の保有比率が15%以上、20%未満でも、条件を満たすことで関連会社として規定されます。

グループ会社という言葉は、親会社、子会社、関連会社などの企業を総称して使われ、法的な定義はありません。企業によっては、グループ会社の範囲や関係性が異なりますが、共通の事業目的に向けた協力体制を築いている場合が多いです。

たとえば、大手メーカーが、製品の販売やアフターサービスを行う子会社と協力し、グループ全体で顧客に対して一貫したサービスを提供するケースがあります。

グループ会社の仕組み

親会社・子会社クイズで学ぼう!

クイズ形式で親会社と子会社の関係性を学んでみましょう。意外な企業が親子関係にあることを知ることで、企業研究の際に役立つ知識が増えます。これらの知識を活用して、企業の経営方針や戦略的なつながりを理解し、よりよい企業選びを行うための参考にしてください。

■ここでクイズ!次の企業を親会社と子会社として線で結んでみましょう。

親会社・子会社クイズ

※正解は、記事の最後に。


このように、知っている企業でも意外なつながりが存在することがあります。また企業の親子関係を理解することで、グループ全体の強みや戦略を把握し、就職先選びに活用できるでしょう。たとえば、親会社のもつブランド力と子会社のもつ専門性を組み合わせたビジネスモデルは、就職する際の安定感と成長機会のバランスを考える上で重要です。

なんとなく親会社や子会社について理解を深めた上で、それぞれの会社で働くと、どのようなメリットがあるのか見てみましょう。

親会社に勤めるメリットとデメリット

親会社に勤務した場合、どんなメリットを得ることができるでしょうか。また反対に、デメリットはあるのでしょうか。それぞれを解説します。

■親会社に勤めるメリット

1. 給与水準の高さ
親会社は大企業であることが多く、社員の給与水準は比較的高めです。福利厚生(住宅手当や通勤手当、企業年金など)が整っているケースが多いため、安定した生活が期待できます。

2. キャリアパスの豊富さ
展開する事業や部署が多岐にわたり、異なる部署や業務にチャレンジできる機会が多く、キャリアパスの選択肢が豊富です。たとえば、営業、マーケティング、企画、管理職など、さまざまな部署で業務経験を積むことができ、将来的な昇進や転籍のチャンスも多くなります。さらに、親会社では海外展開を行っている企業も多いため、海外赴任や国際的なプロジェクトにかかわる機会も期待できます。

3.社会的信頼性と安定性
親会社は、その規模やブランド力から社会的信頼が高く、顧客や取引先からも安定した評価を受けることが多いです。経営基盤がしっかりしているため、長期的な雇用の安定が期待できる点が、親会社の大きな魅力です。また、ボーナスも年に数回支給されることが多く、社員にとってはモチベーションにつながります。

■親会社に勤めるデメリット

1.グループ会社全体の影響を受けやすい
親会社はグループ全体の経営方針に強く左右されます。そのため、子会社の業績悪化や市場の変動によって、親会社にも影響が及び、リストラや事業の見直しなどが急に行われる可能性があります。個々の部署や社員が直接関わっていないプロジェクトの失敗で、予期せぬ影響を受けることも考えられます。

2.意思決定の遅さや組織の硬直性
大規模な親会社では、意思決定に時間がかかる傾向があります。多くの階層が存在するため、決定が下りるまでに複数の承認プロセスを経る必要があり、これが原因で迅速な対応が難しくなることがあります。また、革新的なアイデアがあっても、既存のルールや慣習に縛られ、柔軟な対応ができない場合があります。

3.昇進や昇格の制約
親会社では従業員の数が多いため、昇進や昇格に関する競争が激しくなりがちです。特に大企業では、同じポジションで長期間過ごすことも少なくなく、昇進の機会が限られる場合もあります。また、上層部に空きができるまでの時間が長く、個々のキャリア成長が停滞するリスクがあります。

子会社に勤めるメリットとデメリット

では次に、子会社に勤めた場合のメリットとデメリットについて解説します。

■子会社に勤めるメリット

1. 専門性と裁量の大きさを生かしたキャリア形成
子会社では、特定の事業分野に特化していることが多いため、より専門的なスキルや知識を深めることができます。また、親会社ほどの大組織ではないので、一人ひとりに任される裁量も親会社より大きいことも特徴です。

2.親会社からのサポートを活用できる
親会社からの資本や経営サポートによって、安定した事業基盤の上で業務を進めることができます。親会社の経営支援やブランド力を背景に、子会社でも新しい事業やプロジェクトに挑戦できる機会があります。特に親会社のグローバルなネットワークや技術支援を活用することで、会社規模が小さくても大きな成果を上げることができる点は魅力です。

3. フレキシブルな環境で成長できる
親会社ほど大規模な組織ではないため、意思決定が比較的迅速です。新しいアイデアや取り組みが採用されやすく、若手社員でもリーダーシップを発揮する機会が多く与えられます。また上層部との距離が近いケースが多く、意見を直接伝えやすい環境が整っていることもあります。

■子会社に勤めるデメリット

1.親会社の経営方針に大きく依存
子会社は、親会社の経営方針に従うことが多く、親会社の意思決定が事業に大きな影響を与える場合があります。たとえば、親会社が新しい市場への進出や事業の縮小を決定した場合、子会社の業務内容や方向性が急に変わることがあります。このため、子会社では親会社の影響を常に考慮しながら業務を進める必要があります。

2. キャリアパスの限定性
子会社は、親会社ほどの規模や多彩な事業を行っていないため、キャリアの選択肢が限られることがあります。特に昇進や部署異動のチャンスが少ないことも考えられるでしょう。親会社におけるデメリットでも昇進や昇格の制約を挙げましたが、長期的なキャリアパスを考える際には、これらの点を慎重に比較検討する必要があります。

3. ブランド力や認知度の低さ
子会社は親会社に比べて知名度が低い場合が多く、特に転職や外部の取引先との交渉において不利になることがあります。親会社のブランド力を背景に事業を展開しているものの、子会社自体の名前や存在感は大手企業と比べると弱くなりがちです。したがって、外部からの認知度が低い分、自己成長や実績を積み上げて自分の価値をアピールする姿勢が求められます。

まとめ

親会社と子会社、それぞれの特徴とメリット・デメリットについて理解できたでしょうか。これらを頭に入れておくと、就職活動において非常に役立ちます。

企業研究を行う際には、親会社や子会社の関係性を理解し、それが自分のキャリアにどのように影響するのかを考慮することが重要です。最終的には、自分のキャリアビジョンに合った企業を選ぶことが就活成功へのカギとなります。親会社と子会社、それぞれの特性をよく理解した上で自分にとってどちらが適しているかを判断し、ベストと言える企業選びを進めていきましょう。

※クイズの答え

親会社・子会社クイズの回答

注)ミスタードーナツブランドはダスキンのフード事業部が企画運営、店舗運営等は100%子会社のエムディフードが行っています。
注)ユニリーバ・ジャパンの子会社であるエカテラ・ジャパン・サービス株式会社がリプトンブランドを運営・展開しています。

PROFILE

鳥羽山 康一郎(とばやま こういちろう)
静岡県生まれ。広告制作会社、外資系広告代理店にてコピーライター、クリエイティブディレクター、プランナーとして勤務後、2006年よりフリーランスとして独立。外資系マーケティング理論の知見を生かし、広告・Webライティング等を中心に執筆活動を展開中。地方取材、インタビューも得意とする。

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