【業界を徹底解剖】サービス業界の魅力・求められる資質とは?

業界・職種・企業研究

公開日:2024.11.13

サービス業界と聞いてイメージする仕事は、どのようなものでしょうか?レストランやホテルなどの接客業を思い浮かべる就活生も多いことでしょう。実は、サービス業界には接客業以外にもさまざまな仕事があり、それらは現代社会において欠かせない重要な役割を果たしています。

本記事では、サービス業の基本的な仕組みや、業界の動向について詳しく解説します。またサービス業のもつ多様なキャリアパスや、この業界が多くの人々に選ばれ続けている魅力について探ります。

そもそもサービス業界とは?

サービス業界とは、目に見える物だけではなく、顧客に対するさまざまなサービスを提供する業界を指します。その分野は多岐にわたり、日本においてサービス業界は経済の大きな柱の一つとなっています。

たとえば、サービス業界には下記のような分野があります。

・ホテル・旅行
・外食・レストラン・フードサービス
・教育
・アミューズメント・レジャー
・コンサル・調査
・人材サービス
・介護・福祉サービス
・専門・その他サービス

このように、サービス業界の仕事は日常生活のあらゆる側面をカバーしています。

サービス業界というと、顧客と対面でコミュニケーションをとるイメージをもつ就活生が多いかもしれません。確かにサービス業界には、販売や案内といった対面による接客の仕事も存在します。その一方で、コンサルティングや人材サービスなど情報の提供を行う仕事も含まれます。

サービス業界の大手企業と業界動向

急速な市場の変化や、消費者ニーズの多様化への対応が求められるサービス業界。ここでは、国内におけるサービス業界大手の企業と業界の動向について紹介します。

■サービス業界の大手企業

幅広い分野があるサービス業界のなかでも、特に注目すべき企業を5社ピックアップして紹介します。

・JTB
JTBは、旅行・観光業界の売上高ランキングでトップに位置する企業です。「地球を舞台に『新』交流時代を切り拓く」というグループ経営ビジョンを掲げています。旅行者の満足・課題解決に取り組む「ツーリズム事業」を基盤に、地域の交流促進や課題解決に取り組む「エリアソリューション事業」、企業のコミュニケーションにおける課題解決に取り組む「ビジネスソリューション事業」も展開しています。

2023年9月末時点における拠点数は、35カ国80都市159拠点にのぼります。国境を超えたビジネス展開で、約19,000名のグループ社員にもグローバルな活躍の機会を設けている企業です。グローバル領域では、訪日インバウンド事業として日本到着後のツアー企画や地域振興なども手がけています。

・オリエンタルランド
人々に「夢・感動・喜び・やすらぎ」を提供することを企業使命に掲げるオリエンタルランドは、テーマパークやホテルなどの経営・運営をメイン事業としています。2024年3月期決算では、売上高、純利益ともに過去最高を更新しました。就活生に人気の企業として、さまざまなランキングにも名を連ねています。

今後の新たな収益の柱として、既存事業のノウハウを生かしたクルーズ事業の展開も予定されています。

・パーソルホールディングス
パーソルホールディングスは「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに、人材派遣サービス事業などを展開しています。『テンプスタッフ』『doda』といった人材派遣・転職・就職サービスなどを提供しています。

22年3月期には、売上高1兆円を達成しました。グループ会社数は約140社にのぼり、国内に500以上、海外にも約180の拠点を構えています。

人生100年時代に突入し、個人の働き方が多様化する現代において、性別・年齢・国籍などに関係なく、すべての「はたらく」が笑顔につながる組織・社会の創造を目指す企業です。

・野村総合研究所
野村総合研究所は、日本のコンサルティング業界を牽引する企業です。「コンサルティング」「金融ITソリューション」「産業ITソリューション」「IT基盤サービス」の4つの事業を行っています。

課題の発見から的確な解決策に導くコンサルティング機能と最先端技術を駆使したシステム開発・運用などにより、課題を解決するITソリューション機能を組みあわせたモデルを展開しています。
日本国内に加え、アジアやアメリカ、ヨーロッパなどさまざまな場所に事業拠点をもちます。

・ゼンショーホールディングス
フードサービス業界において売上高トップのゼンショーホールディングスは、業界世界一を目指し、「食」を中心とした事業を展開しています。「すき家」などを経営する国内および海外外食事業をはじめ、小売事業としてスーパーマーケットチェーンを展開しているほか、高齢者向け住宅や介護サービスといった介護事業も手がけています。

世界の合計値として、2024年3月期の売上高は9,657億円となっており、2024年3月末時点における店舗数は約15,000店舗、グループ会社数は167社、従業員数は約18万人にものぼります。

■サービス業界の業界動向

続いて、サービス業界の業界動向を見ていきましょう。

・コロナ禍からの回復:
新型コロナウイルス感染症により、2020年以降、市場は大きな影響を受けました。2019年まで過去最高を更新していた訪日外国人観光客数は激減しました。サービス業界も苦戦を強いられ、さまざまな工夫が凝らされました。

たとえば、外食業界ではテイクアウトやデリバリーサービスが普及し、観光業界ではデジタル技術を活用したオンラインツアーなどが展開されるようになりました。

そしてコロナ禍が終息した現在、サービス業界の業績は回復傾向にあります。入国制限が緩和されたことから、旅行業では特にインバウンド(訪日外国人旅行)需要が急速に回復しています。2023年の訪日外国人旅行者による年間消費額は5兆3,065億円となり、パンデミック前の2019年をも約10%上回りました(※1)。

さらに2024年(1月~12月)の訪日外国人旅行者数は、過去最高の3310万人(前年比131.3%)という推計(※2)もあります。

※1 出典:訪日外国人消費動向調査2023年年間値(確報) /国土交通省観光庁
※2 出典:2024年(1月~12月)の旅行動向見通し /株式会社JTB

・課題は人手不足:
サービス業界が抱える課題の一つが人手不足です。特に、介護サービスにおける人手不足が続いています。団塊の世代が75歳以上となる2025年以降の介護需要増加を見据え、さらなる介護人材の確保・育成が求められています。人手不足の課題解決のために、若手人材の採用強化やアウトソーシングの活用などが企業に求められています。

・IT化
企業のさまざまな業務がアナログからデジタルへと移行している昨今、サービス業界でもIT化が進んでいます。IT化によって、業務効率の改善や人手不足の解消も期待できます。サービス業界におけるIT化の例は、次のとおりです。

・ホテル・旅行:デジタル観光ガイドやオンライン観光体験の提供
・外食・レストラン・フードサービス:タッチパネルや配膳ロボット、セルフレジの導入
・教育:学習管理システムの導入、デジタル教材やeラーニングコンテンツの提供
・アミューズメント・レジャー: 仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の活用
・コンサル・調査: ITソリューションサービスの提供
・人材サービス: オンライン面談の導入やマッチング精度の向上
・介護・福祉サービス:オンライン予約システムや電子カルテの導入

IT技術が発達したとしても、サービス業界には引き続き人が中心となって行うべき仕事が多々あります。臨機応変で人間らしさあふれるサービスは、今後も求められていくことでしょう。

サービス業界で働く魅力

ここでは、サービス業界で働く魅力を紹介します。

・仕事のやりがいを感じやすい:
顧客の喜ぶ姿を目にしたり、感謝の言葉をかけられたりするなど、人々とのかかわりを通じて自分の仕事に対する結果や評価をダイレクトに実感しやすいという魅力があります。

直接的に顧客とかかわる機会が少ない職種であっても、「社会に貢献できている」「人々の生活を支えている」というやりがいを感じながら働けるでしょう。

・フレキシブルな対応力が身につく:
サービス業の特徴として、定型業務を淡々とこなし続けるといった「ルーティンが少ない」ことが挙げられます。変化のある仕事に対して日々対応することで、柔軟性も身につけることができるでしょう。

・多様なキャリアパスを描きやすい:
多様なキャリアパスを描きやすい点も、サービス業界で働く魅力の一つです。

店舗スタッフとして入社する例でいえば、現場での接客経験を積んで店長やエリアマネージャーにキャリアアップしたり、本社で管理業務に携わったりするケースもあります。

またサービス業界には、外国人と接する仕事も多くあります。企業によっては海外拠点をもち、国際的なキャリア成長の機会を得られることもあります。

・チームワークを発揮しやすい:
サービス業界ではお客様によりよいサービスを提供するために個人プレーだけではなく、仲間との協力が求められます。チームワークを生かした協力体制によりさまざまな課題を解決する経験も得ることができます。チームの結束力が高まれば楽しく働くことができるでしょう。

・継続的なスキルアップ:
新しいトレンドや顧客ニーズへの対応が求められるこの環境は、常に自己成長を促進させてくれます。新しい知識や力を得ることで自身をもって業務に取り組むことができるようになります。

サービス業界で働く人に求められる資質

サービス業界の仕事は多岐にわたるものの、一般的には次のような資質が求められます。

1 .マナー・ホスピタリティ:
顧客との接点が多い接客業は特に不快感を与えてしまうことのないよう、マナーやホスピタリティが求められます。ホスピタリティとは、心からのおもてなしや思いやりのことです。人とかかわる接客業はもちろん、教育・介護・教育などもホスピタリティ産業としての認識が拡大しています。

マナーやホスピタリティを意識するには、顧客が望むことを考えながら行動する必要があります。サービス業で扱うサービスは、決まった形の「物」だけを提供するわけではありません。「どうすれば相手に喜んでもらえるだろう?」と考えながら行動することが求められるでしょう。

2.傾聴力:
適切なサービスを提供するには、「顧客の話にしっかりと耳を傾ける力」が大切です。顧客が抱えている悩みやニーズを把握し、迅速に対応する必要があるためです。また、それらの課題を引き出すために話を聞く際は相づちを打ったり、必要に応じて質問をしたりするなど、顧客が心地よく話せるような気配りができれば、スムーズにコミュニケーションを取れるでしょう。

3.トラブルに対する柔軟性:
マニュアル通りにいかない予想外のトラブルが発生することもあります。そのようなとき、落ち着いて臨機応変に対応できる能力が役立ちます。また、多様化する顧客のニーズに柔軟性をもって応えることで、競争の激しい業界においても顧客の満足度を高めることができるでしょう。

4.チームとの協調性:
協調性も大切な資質の一つです。
たとえば店舗や施設で、顧客にとって居心地のよい雰囲気の中、満足度の高い接客サービスを提供するには、周囲のスタッフとの相互協力が欠かせません。接客を必要としない職場であっても、組織で業務を円滑に進めるためにはチームワークが求められます。周囲と協力し、サポートし合いながら業務に取り組める能力は、どのような職場でも重宝されるでしょう。

5.自己管理能力:
自分の思考や感情、行動をコントロールする自己管理能力も求められます。高い自己管理能力があれば、顧客満足度をアップさせるために主体的に目標を設定したり、目標達成に向けて率先して行動したりできるでしょう。

まとめ

目に見える「物」だけではなく、顧客に対するさまざまなサービスを提供するサービス業界では、マナー・ホスピタリティをはじめ、傾聴力や柔軟性なども求められます。

同じサービス業界でも、志望先によって業務内容が大きく異なるため、自己分析をしっかり行い、自分に合った仕事を見極める必要があります。業界研究において、自分がどの業界に興味があるか把握するためにも、自己分析は大切です。

自己分析の結果をもとに、じっくりと業界研究に取り組みましょう。

PROFILE

麻 桃子(あさ ももこ)
印刷会社の制作部門にてコピーライター・ディレクターとして勤務後、2021年よりフリーライターに。市役所での勤務経験もあり。会社員・公務員・フリーランスなどさまざまなスタイルで働いた経験を生かし、幅広いジャンルで執筆中。

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