給料なしの「無給インターンシップ」って違法?【弁護士が答えます】

就活ノウハウ

公開日:2025.09.24

給料なしの「無給インターンシップ」って違法?【弁護士が答えます】

この記事でわかること

  • インターンシップが労働とみなされるケースとしてノルマや業務指示があることなどが挙げられる
  • たとえインターンシップでも労働基準法は適用され、条件によっては保護を受けられる
  • 「経験を積むこと」と「権利を守る」ことはまったくの別物!!

近年、就活前の経験としてインターンシップに参加する学生は増えています。そのような中で「インターンシップに参加したけれど、報酬が出なかった。これって普通なの?」といった疑問をもつ学生さんは少なくありません。
この記事では、インターンシップと労働の境界線について弁護士が解説します。

そもそもインターンシップとは?

皆さんの中には就活準備の一環としてインターンシップを経験される方も多いと思います。インターンシップは実際の職場で業務を体験したり、現場の社員と接することで、「自分はどのような仕事にやりがいを感じるか」、「どのような職場が合っているのか」など、自己分析と業界・企業研究を深める貴重な機会となります。

以下の記事では、インターンシップの基本や参加するメリットを紹介してます。参加する前に参考にしてみましょう。

インターンシップとは?参加する目的やメリットは?給料や時期についても解説

インターンシップとは?参加する目的やメリットは?給料や時期についても解説

就活でよく聞く「インターンシップ」とは具体的にどのような活動なのか知らない方も多いでしょう。この記事ではインターンシップとは何か、就活にどのように役に立てられるのか解説します。参加する目的やメリット、給料の有無など…

インターンシップは無給が当たり前って本当?

本来、インターンシップは学生のキャリア形成支援の場であり、学生の皆さんにとって成長の機会であることが重要です。しかし、現実には企業によってインターンの内容や位置付けもさまざまで、中には「お給料のいらない社員」であるかのような不当な扱いを受けたというケースがあるのも事実です。

学生さんもインターンシップに参加する際に「勉強させてもらっているのだから」、「貴重な経験をさせてもらっているから」といった理由から無給でも仕方ないと思いがちです。しかしインターンの内容によっては、法律上、「労働」に該当する場合があります。

インターンシップが「労働」と判断されるケースとは?

インターンシップにおいても給料が発生すべきケースがあります。そのポイントは、参加者が使用者の指揮命令を受けているかどうかということです。
たとえば、以下のようなものが挙げられます。
①業務内容が厳格に決められている・業務指示にしたがう必要がある
②任意の参加ではなく、勤務時間・勤務日が厳格に決められていて、遅刻や欠勤が咎められる
③社員と同じく企業の利益につながる仕事(営業、制作等)を求められる
④長期間、継続してインターンシップに参加している
これら一つでも当てはまるものがある場合は労働基準法9条に該当し、労働者とみなされるため「違法」な可能があります。

一方で単日や数日から1週間程度の短期プログラムで社員の業務を近くで見学する、模擬体験、グループワーク、実際の売上や成果にかかわらないプロジェクトへの関与(ディスカッション)などは、「労働」に該当しない可能性が高いです。

仮に、インターンシップが「労働」に該当する場合、通常の労働者と同じく、学生にも労働基準法などの法律が適用されますので、労働時間に応じた給与が支払われる必要があります。それ以外にも、休憩時間、残業代(割増賃金)や最低賃金法による保護などについても通常の労働者と同じ取り扱いとなります。有給の場合でもこれらのルールが守られているか確認しましょう。

経験を積むこと、権利を守ること、どちらも大切に

インターンシップであっても実際の業務に従事し、企業の命令を受けて働いている場合、労働基準法の「労働者」にあたる可能性があります。インターンシップは将来のキャリアを考える上で貴重な機会ですが、「勉強だから無給で当然」と安易に納得する前に、その活動が教育の一環なのか、労働にあたるのかということを見極めることも大切です。
もし、インターンシップ先の企業の説明や対応に疑問がある場合、まずは大学のキャリアセンターや各都道府県に設置されている労働相談窓口に相談してみましょう。知ることで、自分を守ることができます。

『キャリタス就活』では求める条件に絞ってインターンシップを探すことができます。有給インターンを探している方は下記の検索ページで「報酬あり」をチェックし、自身の目的に合うインターンシップを見つけてみましょう。

福島 一代弁護士

PROFILE

英明法律事務所
福島 一代弁護士
パワハラ・セクハラ、労働条件、給料・残業代請求、不当解雇、労災認定など、労働者が抱える様々な法的問題を解決しています。人事労務分野の活動も幅広く行っています。

この記事のタグ

関連記事

最新記事

編集部のおすすめ記事

公式アカウントで最新情報を配信中!