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中小企業が元気になれば日本も元気になる
日本の会社で中小企業の占める割合は実に99.7%。自動車産業も、エレクトロニクス産業も、優秀な中小企業が下支えしている。今や「中小企業=弱い会社」ではない。そんな経営者を支え、伴走するのが東京中小企業投資育成。投資を通じたパートナーとして厚い信頼が寄せられている。
経営者と語る企業の未来
提供:東京中小企業投資育成
中堅・中小企業への投資を通じて日本経済の活性化に貢献する
東京中小企業投資育成という社名には“投資”と“育成”という二つのキーワードが含まれている。その一つ、投資とは何か。一般的に投資とは、資金を払い込む代わりに株式を引き受け、株主となり経営の一部を担うことである。似たような言葉に融資があるが、融資は返済が前提となる負債、つまり借金であるのに対し、投資は返済の必要がない点が大きな違いだ。
この投資を通じ、60年以上にわたって日本の中堅・中小企業を支援してきたのが、東京中小企業投資育成である。
「国の中小企業政策の流れを見ても、現在では日本経済のけん引役となる中堅・中小企業をより強くしていこうと後押ししています。こうした我が国にとって大切な企業のさらなる成長を支援することが当社のミッションです」(人事部長・庄川和宏氏)
これまで同社グループ(姉妹会社の大阪中小企業投資育成、名古屋中小企業投資育成含む)では累計約6,000社に投資。現在も支援し続けている投資先の売上高を合計すると20.4兆円にも達し、従業員数では51万人を超える。日本のトップ企業と肩を並べる数字だ。同社の影響力の大きさがわかる。
「たった一つ欠けるだけでも自動車の製造が止まってしまう特殊な部品をつくっている中小企業もあります。企業規模は決して大きくないかもしれませんが、サプライチェーンに不可欠な企業を、投資を通じて支えています」(人事部・松本将氏)
株主になり経営の一部を担うものの、経営支配が目的ではない。上場なども求めない。投資先の経営の自主性を尊重しながら、長期の安定的な株主として支援し続けるのが同社のスタイルだ。ほかに類のない、オンリーワンの存在といわれるゆえんである。
長い時間をかけて信頼関係を醸成し、パートナーとして認めてもらう
同社が国の政策実施機関で経営支配を目的としていないとわかっていても、外部の株主を迎え入れることに対する経営者の抵抗感は小さくない。
「だからこそ大切なのが、信頼関係の醸成です。当社や担当者をご信頼いただき、パートナーとして認めていただけた結果、初めて投資をご検討いただくことになります。投資に至るまで20年というケースも珍しくありません」(庄川氏)
それだけにいざ投資という局面を迎え、経営者と握手を交わす際の喜びは言葉に表しきれない。
中堅・中小企業には創業者一族が株式を100%保有しているケースが珍しくない。そうした企業が東京中小企業投資育成を株主として受け入れることで、よりガバナンスの効いた“開かれた会社”と認められるようになる。これも投資を受ける大きな効果の一つだ。社会的存在としての企業がさらに成長していくための大きな一歩である。
同社では新たな投資案件が決まるつどプレスリリースしているが、銀行などの金融機関はそれを見て「東京中小企業投資育成が認めた会社」と認識する。いわば企業に“お墨付き”を与える存在でもある。
「 同じ船に乗る」かのように、経営者に伴走して行う育成支援
投資に至った瞬間は大きな達成感が得られるものの、それはゴールではなく新たなスタートでもある。さらなる支援に向けて同社は一歩を踏み出すが、それが社名に含まれるもう一つのキーワード、“育成”だ。
育成は、担当者が経営者と個別に相談に乗ることを中心とした「個別育成」と、研修やセミナーなどを通じた「集団育成」の両面で展開している。
VUCAの時代にあって、企業経営者の課題も多様化・複雑化している。サイバーセキュリティや経済安全保障など、新たな課題も増えてきた。現在の経営者は24時間365日、悩み続けているといっていい。同社は長期安定株主として経営者に寄り添い、まるで同じ船に乗るかのように大海をこぎ進んでいくのである。
「経営戦略、人事戦略、マーケティング、コンプライアンス対応など、あらゆる課題に真摯に向き合い、経営者と一緒に悩み考え、解決に向けて取り組んでいきます。経営者から真っ先に相談していただける関係性をつくることも大きなやりがいです」(松本氏)
経営者の相談相手としては公認会計士や弁護士、社労士、コンサルタントなどもいる。それらスペシャリストと経営者の間に立って“通訳”を務めるのも同社の役割だ。経営者と共にこれら専門家にアドバイスを仰ぎ意見に耳を傾ける、まさに良きパートナーである。
人材育成に5倍の投資。投資先へのより手厚いサポート実現のために
基本理念の第一文に「多様で特色ある中小企業の事業活動こそが、我が国経済の基盤を形成している」と掲げる東京中小企業投資育成。こうした企業の健全な成長発展を図るという理念の実現を支えているのは、いうまでもなく人材である。同社では人材育成にかける予算を2025年度に一気に前年の5倍に増額。今まで以上に社員の能力開発に力を入れていく姿勢を打ち出した。
具体的には役職別、テーマ別の研修カリキュラムをさらに充実させていくほか、社員の主体的な学びを促す制度にも力を入れる。現在でも自己啓発補助として1人当たり年間10万円まで会社が負担しているが、この拡充も考えている。
「学ぶことに積極的な社員が多いです。人事部としても社員の学びたいという意欲には惜しみなく応えます」(松本氏)、「今まで以上に中小企業を手厚く支えるため、人材の育成に力を入れていきます」(庄川氏)と、同社は人材への投資も前のめりだ。
記者の目 WEB限定
東京中小企業投資育成の本社ロビーには投資先の企業名を記したプレートが飾られている。60年を超える同社の取り組みの蓄積に圧倒される。
一般的な投資会社とは異なり、投資先の株式上場に伴うキャピタルゲインは期待しないという姿勢には驚いた。収益の基本は何かというと、投資先からの配当、すなわち利益の分配である。IPO(新規公開株式)による早期のリターンを求めるのではない。投資先を支える長期安定株主としてふさわしい盤石な経営基盤は、この独特の経営モデルによって支えられているようだ。
取材では、投資先のことを常に「お客さま」と呼んでいた。お金を出すのはこちら側なのになぜ、と問うと「投資先の皆さんが頑張ってくれるから配当がいただける。だからお客さま」とのこと。上下関係はなく、手を取り伴走するパートナーなのである。
取材終了後、庄川氏が手にしている名刺入れとノートを見せてもらった。投資先の製品なのだという。投資先への支援を続けるうちに、その企業のことなら何時間でも話せるほど好きになる社員が多いらしい。庄川氏もその1人。投資先企業の製品に触れながら「大切に使っています」と誇らしげに語る姿に、同社社員の「お客さま」に対する“愛”を見た気がした。
東京中小企業投資育成株式会社
事業内容 | 日本経済を支えている中堅・中小企業に対する投資事業およびコンサルテーション |
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資本金 | 66億7,340万 |
売上高 | 131億円(2025年3月期) |
従業員数 | 100名(2025年4月現在) |